終わらない物語
「終わった…。」
静かに呟いたハーベルは、残された仲間たちが待つサリエルの宮殿へと空間移動した。
瞬く間に宮殿の中央に現れたハーベルの姿に、仲間たちは歓喜の声を上げた。
「ハーベル!」
「やったのね?」
「やったでござるよ!」
ホムラの興奮した声が響き渡る。誰もがハーベルの勝利を信じていた。
「ソーサリーエレメントは?」
ハーベルの問いに、薄れていく姿のリーフィアが寂しげな表情で答えた。
「すべて石板と一緒に砕け散ったようね…。」
サリエルを倒すための代償は大きかった。しかし、それが世界を救った証でもある。
「そっか…。」
ハーベルはリーフィアの言葉に頷き、そしてレオンに向き合った。
「レオン、ありがとう…。」
「ああ、ずっと悪かったな!」
レオンは照れくさそうに言った。
「いや、あの合い言葉ですぐに分かったよ!」
ハーベルは笑顔で答える。
「ハーベルなら、大丈夫だと思ったよ。」
レオンの言葉に、ハーベルは満面の笑みを返した。
二人はすれ違いざまに、強く手を叩き合った。
「バシッ!」と小気味良い音が宮殿に響き渡る。
固い真の友情の証だった。
「これで俺たちもただの魔法使いだ…。」
ホムラが失われた膨大な魔力と禁呪の力を惜しむように言った。
「精霊石の力はすごかったですからね…。」
リヴァイアも悲しそうに天を仰ぐ。
「そうでござるな…。」
仲間たちが口々に呟く中、ホムラがハーベルに尋ねた。
「ハーベル、今、魔道具なしで移動してこなかったか?」
「ああ、魔法やスキルは、道具とは関係ないことに気づいたんだよ!」
ハーベルは、自らの内に秘められた真理を語った。
漆黒の翼を失ったことで、彼は自身の魔力の根源と「イメージ」の力に目覚めたのだ。
「ちょっと何言ってるか分からないけど…すごいね!」
呆れつつも感嘆の声を上げる仲間たち。
彼らは宮殿の外へと出た。
そこには、激しい戦いの傷跡を残しつつも、無事に生き残った仲間たちが待っていた。
「みんな無事でよかった」
ハーベルの安堵の声が響く。
「ハーベル、どうなってるんだ?」
カザキの表情が歓喜と困惑に満ちている。
「急に魔物たちが消えてしまったぞ!」
フレアがハーベルんk駆け寄った。
「やったのね?」
ネルはハーベルに飛びついて泣きじゃくっている。
「ああ…。」
ハーベルの短い返事に、仲間たちは沸き立った。
「やった…!」
「俺たちの勝ちだ!」
歓喜の声が宮殿の周囲に響き渡る。
長く苦しい戦いは、ついに終わりを迎えたのだ。
ホムラたちは、それぞれの役目を終え、それぞれの国へと戻っていった。光の大精霊リーフィアもまた、精霊石として砕け散ったことで、ハーベルと直接会うことはもう叶わなかった。
次回 英雄の帰還:新たなる旅路
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頑張って続きを書いちゃいます!




