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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン7 【悪魔男爵激闘編】(サリエル戦)

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剥奪された翼:親友の真意

「もうそろそろか…。」

ハーベルは呟いた。仲間たちの準備が整ったようだ。彼らの顔には、ハーベルを信じる決意が刻まれている。


「ハーベル、準備完了よ!」

リーフィアの声が届くのと同時に、レオンが闇のオーラを纏った短剣を構え、ハーベル目掛けて突っ込んできた。

その動きは、見る者全てにハーベルへの殺意を感じさせるものだった。


ハーベルは、レオンの素早い斬撃をギリギリのところでかわす。レオンは瞬間移動と卓越した短剣の戦闘技術を駆使し、ハーベルを追い込んでいく。


その動きはまさに死神のようだ。宮殿の空間を切り裂く短剣の衝撃波が、激しい音を立てて響き渡る。


ハーベルがレオンの攻撃を【神器:シックスセンス】で受け止めた時、レオンが誰も聞き取れないほどの小声で囁いた。

「ハーベル、アスラだ!」

ハーベルはハッとして、レオンの真意を悟った。


レオンは、サリエルの目を欺き、ハーベルと連携するためのサインを出していたのだ。レオンの「隠蔽」スキルが、彼の真の意図を完璧に隠していたのだ。


「了解、アスラ!」

ハーベルはニヤッと笑った。


それは、レオンとの間に確かな信頼関係がまだ残っていることを示す、固い絆の証だった。そして、ハーベルはサリエルへと突進する。


「行くぞ!」

ハーベルは、「零式」を発動させた。

自身の魔力を極限まで集中させ、空間を歪める。一気にサリエルとの距離を詰め、空間の裂け目を生み出し、彼を別空間に押し込もうと試みた。


「なるほど、零式ですか…。」

サリエルは、ハーベルの動きをまるで予期していたかのように、冷たい笑みを浮かべた。しかし、その表情には微かな油断が見て取れる。


「あれ?」

その場にいた全員の動きが一瞬固まった。

何が起こったのか理解できない。


次の瞬間、衝撃的な光景が目に飛び込んできた。

サリエルが、ハーベルの背中に生えていた【神器:漆黒の翼】を掴み、そのまま無慈悲にもぎ取って破壊してしまったのだ。


それは、ハーベルの最後の切り札とも言える翼だった。


「うわー!」

ハーベルの叫び声が響き渡る。


「なるほど、別空間へ移動させておいてその隙に…。」

サリエルは、ハーベルの作戦を正確に読み解いていたかのように呟く。


「あいつ、作戦がばれてる?」

「マジか!」

「万事休すでござる!」


仲間たちの絶望の声が上がる中、ハーベルは痛みに耐えながら立ち上がった。


「サリエル、なぜ分かった?」

ハーベルは問いかける。

「何か企んでいるとは思いましたが、作戦がばれていたわけではありませんよ…。」

サリエルは、高慢な態度で答える。


「どういうことだ?」

「漆黒の翼ですよ。」

サリエルはハーベルが失った翼を見下ろす。


「漆黒の翼を知っているのか?」

「知っているも何も、私が作ったのですから…。」

サリエルの言葉に、ハーベルは凍り付いた。

全身を貫くような衝撃が走る。


「なんだと!」

「まあ、予想はつきますよね。」

サリエルは愉快そうに笑う。


「なんてこと…。」

「もう、打つ手がないわね…。」


ハーベルとしたことが、まさか漆黒の翼がサリエルの作った魔道具だったとは。完全に盲点だった。自分の力を過信し、敵の掌で踊らされていた。このままでは、サリエルに殺られるのを待つだけになってしまう。


なんとか、別の作戦を…。


「万策尽きましたか?」

サリエルが高笑いをしながら、絶望に打ちひしがれるハーベルたちを見下ろしている。彼の勝利を確信したような表情は、彼らの心をさらに深く抉った。


「さあ、もういいでしょう、レオン、止めを!」

「かしこまりました!」

レオンは、サリエルの命令に恭しく応じた。

しかし、彼の瞳の奥には、ハーベルとの間で交わされた合図の光が宿っていた。


ハーベルは再び、レオンのステータスに記載されたスキルを思い出す。「隠蔽」。レオンは、サリエルを欺き続けていたのだ。

レオンは再び、その身体からどす黒い闇の魔力を溢れさせ、【神器:ソウルレンダー】を構えてハーベルへと向かってきた。その動きは、まるでハーベルを葬り去るかのように見えた。


しかし、その剣筋には、どこか不自然な緩急がある。ハーベルは、レオンが何かを伝えようとしていることを察した。


その時、レオンが再びハーベルの耳元で、誰も聞き取れないほどの小声で囁いた。

「ハーベル…もう一つの「剣」だ…!」


レオンが扱う【神器:ソウルレンダー】に秘められた真の力。それは、サリエルすらも計算に入れなかった、レオン自身の闇属性のソーサリーエレメントと深く結びついた「魂を殲滅する」究極の剣技。


ハーベルは悟った。


••••••••••

レオンがハーベルに止めを刺すと見せかけて、実は【神器:ソウルレンダー】の真の力を発動させ、サリエルに一撃を食らわせるつもりなのだ。


そして、その一撃こそが、石板に闇のソーサリーエレメントを嵌め込むための最後のチャンスになるはずだ。レオンは、最初からサリエルを欺き、この状況を作り出すために、あえて下僕のふりをしていたのだ。

••••••••••


「まさか…そんな仕掛けを…!」

ハーベルは内心で驚愕する。レオンの覚悟と、彼への信頼が、ハーベルの心を奮い立たせた。


レオンの表情は冷酷なままだが、その動きはまるでハーベルを誘導しているかのようだ。

ハーベルは、レオンの真意に気づかないふりをしながら、反撃の体勢に入った。彼の心には、勝利への確信が宿っていた。


次回 イメージの力:最後の零式

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