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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン7 【悪魔男爵激闘編】(サリエル戦)

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絶望の裏側:ハーベルの奇策

サリエルは、二体のドラゴンの激しい戦いを愉しむかのように、優雅に椅子にふんぞり返っていた。


その刹那、ハーベルは動いた。


「零式!」

サリエルが知らぬこのスキルを使い、ハーベルは一瞬でサリエルの背後に転移する。


「何!?」

サリエルは驚愕の表情を浮かべた。


ハーベルは間髪入れずに、両手に持った神器:シックスセンスと神器:金剛の短剣を構え、サリエルに斬りかかった。しかし、サリエルの身体は微動だにしない。


魔法が無効であるように、物理攻撃もまた、彼には届かないかのように思われた。


その時、ハーベルの脳裏に、かつてリーフィアが告げた言葉が響く。

「石板にソーサリーエレメントを嵌め込めば、サリエルを倒すことができるのよ。」


••••••••••

サリエルを倒すには、魔法も物理攻撃も通用しない。

唯一の方法は、石板に全てのソーサリーエレメントを嵌め込むこと。しかし、石板は動かせず、サリエルを倒さなければ石板に触れることもできない。

まさか、サリエルを倒すのではなく、別の方法で時間を稼ぐ必要があるのか?

••••••••••


ハーベルは再び距離を取った。


ダークネスドラゴンとホーリードラゴンの激しい戦いが、宮殿全体を揺るがしている。


••••••••••

レオンは完全にサリエルの支配下にある。だが、本当にそうなのか?

••••••••••


「レオン…!」

ハーベルは叫んだ。


••••••••••

レオンは、サリエルに支配されているように見せかけて、本当は俺たちを助けようとしているんだな!?

••••••••••


ハーベルの言葉に、レオンの表情が一瞬、揺らいだように見えた。


••••••••••

サリエルは言った! 闇のソーサリーエレメントがないと倒せないと! それはつまり、レオンが闇のソーサリーエレメントを石板に嵌め込む必要があるということ…。

••••••••••


ハーベルは、突如としてホーリードラゴンの攻撃を止めた。

そして、召喚を解除したのだ。


「な、何をしている!? ハーベル!」

ホムラが叫ぶ。


レオンは、ハーベルと目を合わせた。

その目には、確かに親友としての光が宿っている気がした。

「ハーベル…よく気づいてくれたな…。」

消えそうな声で呟く。


すると、なぜかレオンもダークネスドラゴンに影に戻るように促したのだった。


「レオンは、俺が相手する。みんなは、サリエルを何とかしてくれ!」

ハーベルの言葉に、仲間たちは動揺を隠せない。


サリエルに魔法が効かず、石板を動かすこともできない状況で、「何とか」と言われても具体的な策が見えないからだ。


「なんとかって言ったって…。」

一同は顔を見合わせて動きを止めた。


「リーフィア、みんなと作戦を共有するいい方法はないか?」ハーベルは、冷静さを保ち、光の大精霊リーフィアに問いかけた。


「私が、他の大精霊たちと話し合って伝えてもらうくらいしかないわね。」

リーフィアが答える。


「なるほど…。」

ハーベルは、自身の作戦をリーフィアに詳しく説明した。


••••••••••

それは、レオンと連携し、彼がサリエルに一撃を加える隙に、自身がサリエルを別空間に引きずり込み、その間に仲間たちが石板へソーサリーエレメントを嵌め込むというものだった。

••••••••••


「分かったわ、でもレオンはどうするの? あと、あなたがサリエルを抑えている間は私が一緒にいられないから、一人で対処することになるわよ。」

リーフィアが懸念を示す。


「分かってる、レオンは俺に任せてくれ。サリエルの方は死ぬ気でなんとかするよ…。」

ハーベルの瞳には、揺るぎない覚悟が宿っていた。


「早速みんなに伝えるわね!」

リーフィアが動き出すと、サリエルの声が宮殿に響き渡った。


「何をこそこそしているのですか? そちらから来ないのならば行きますよ!」

サリエルが二つの魔法陣を発動させると、真っ赤なグレーターデーモンと真っ黒な魔導騎士が召喚された。その禍々しいオーラは、宮殿の空気をさらに重くする。


「俺たちが相手だ!」

ホムラとフウマが素早く前に飛び出し、召喚された魔物たちの攻撃を受け止めた。


その間に、リーフィアは迅速に仲間たちに作戦を伝えていく。


「何を狙っているかは知りませんが、簡単には行きませんよ!」

サリエルは不敵な笑みを浮かべる。

次回 剥奪された翼:親友の真意

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