魔法警察の規制線の向こうに
校舎裏手にあるごみ捨て場は騒然としていた。
魔法警察が規制線を張り、現場を封鎖しており、中へ入ることは許されていなかった。
ハーベルが現場に到着した頃にはすでに手遅れだった。
「くそ、全然見えない!」
ハーベルは背伸びしたり飛び跳ねたりしながら、どうにか現場の様子を見ようと必死だった。
周りには野次馬が群がり、前に進むのも容易ではなかった。
「くう、レオン…!」
彼は拳を握り締め、野次馬の足元を縫うようにして何とか最前列にたどり着いた。
「おい、そこ!これ以上入るな!」
警察官が彼を押し退け、厳しい声で制止した。
「ねえ、中はどうなってるの?」
ハーベルは食い下がるように警察官に問いかけた。
「うるさい、下がれ!」
警察官は取り合わず、ただ押し返すだけだった。
悔しさに苛まれたハーベルは野次馬たちをかき分けて外へ出ると、深く息をついた。
「くう…何も分からないのか…。」
彼は諦めることができず、少し離れた建物に登ろうと試みた。
足を踏み外しそうになった瞬間、低い声がかけられた。
「おい、坊主!こんなところにいると危ないぞ!」
少し偉そうな態度の警察官が下から彼を支えた。
「ごめんなさい…。」
ハーベルは恐縮しながら答えた。
「いや、そんなに落ち込むな。おじさんも傷つくだろ。」
警察官の声には、どこか親しみのある響きがあった。
「何でそこまでして見たいんだ?気持ちのいいものじゃないだろうに。」
その問いに、ハーベルは絞り出すように答えた。
「実は…俺の親友かもしれないんだ。」
ハーベルの言葉に、警察官は眉をひそめた。
「親友か…。そっか、それは辛いな。でも、詳しいことは話してやれないんだ。すまんな。」
警察官は申し訳なさそうに頭を掻いた。
「男の子なんですよね?」
ハーベルが恐る恐る尋ねると、警察官は少し躊躇してから答えた。
「ああ、男児だ。まあ、それくらいは言っても問題ないだろう。」
ハーベルは続けて質問をぶつけた。
「その子の手には…血がついていませんでしたか?」
警察官は再び躊躇しながらも、口を開いた。
「右手が血まみれだったな…。まあ、これはここだけの話だぞ!」
彼は秘密を漏らしたことに気づき、焦りの色を見せた。
「もう一つだけ!何か紙切れとか落ちていませんでしたか?」
ハーベルの質問に、警察官は顔をしかめた。
「なんでそれを知っているんだ?確か…紙切れに『MAC…』とか書いてあったな。地図みたいなものも描かれていたが、これ以上は話せない!」
「ありがとう!おじさん!」
ハーベルは明るい笑顔を見せ、大きく手を振りながらその場を走り去った。
「話しすぎたかな…まあ、大した問題にはならんだろ。」
警察官は自分の言葉を気にしながら、規制線の中へ戻っていった。
•••••••••
「右手…。」
走りながらハーベルはひそかに笑みを浮かべた。
「レオンは生きている!」
彼は小さくガッツポーズをしながら喜びを噛み締めた。
•••••••••
被害者の男の子のことは胸を痛めたが、レオンの魔法陣は確かに左手だった。自分が治療したときに間違いなく確認している。
「でも、レオンが生きているなら、どこへ行ったんだ?家にも帰っていないようだし…。その紙切れをちゃんと見ておけば…!」
ハーベルは髪をかき乱しながら首を振り、次の手をどう進めるか頭を悩ませていた。
次回 親友の行方と運命の選択
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頑張って続きを書いちゃいます!