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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン7 【悪魔男爵激闘編】(サリエル戦)

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189/201

五色の協奏曲:ホーリー・エンジェルス

「さあ、どんどんと行きますよ!」

ブロッサムが次々と魔法を繰り出してくる。


「ファントム・グラスプ!」

空間から無数の真っ黒な腕が沸いて出てきてハーベルたちに襲いかかる。それは虚空に潜む影そのものの腕であり、触れるもの全てを引きずり込もうとする。


ハーベルは【神器:シックスセンス】を光らせ、迫りくる腕を最小限の動きで回避しながらブロッサムの動きを読み解く。


タオはガイアウォールで堅牢な防御陣を築き、フウマは残像を残しながら攻撃の機会を伺う。


「今です!」

ハーベルの声が響く。

彼の「解析」スキルが、ブロッサムの魔力の収束点を見抜いていた。


ブロッサムが特大の魔法を唱え始めた瞬間を見逃さなかった。


「エボンシェイド・アビサル・ヴォイド・エニグマ……!」

空間に深い闇の虚空が現れると、少しずつ大きくなりながら周囲の空間ごと引きずり込み始めた。


それは、すべてを無へと帰す絶対的な破壊の力、「虚空魔法」の禁呪だった。


ハーベルは一気に間合いを詰める。

その速度はもはや光の残像。

「光:究極魔法10!クリスタル・バインド!」


光の結晶がブロッサムの全身を瞬時に覆い、その動きを数瞬だけ拘束する。効果はそれほど高くないため、すぐに破られる。だが、それで十分だった…。


「行け!」

ハーベルの叫びが合図となる。

ホムラは咆哮とともに、炎の力を全身に集中させる。


彼の「熱量変換」と「爆炎」のスキルが融合し、禁呪級魔法の真名が紡がれる。

「炎の大精霊に感謝する!劫火の咆哮よ、我が魂に応えよ!原子を砕く熱波、すべてを無に帰す破壊の嵐よ、この現世に顕現せよ!原罪魔法No.12!カタストロフ・フレア!」


対象を中心とした広範囲を、超高熱の劫火が焼き尽くす。それは通常の炎とは異なり、あらゆる物質を原子レベルで分解し、灰燼と化す、まさに大災害だった。


リヴァイアは水晶球を掲げ、その瞳に絶対零度の輝きを宿す。彼女の「氷結」と「精神防御」のスキルが融合し、同じく禁呪級魔法の詠唱が始まる。

「水の大精霊に感謝します。凍てつく絶望よ、我が魂に応えよ!魂を凍らす氷結、精神を蝕む悪夢の幻影よ、この現世に顕現せよ!原罪魔法No.17!コキュートス・イリュージョン!」


絶対零度の氷がブロッサムを凍結させるだけでなく、その精神に深層心理を刺激する幻覚を見せ、精神と肉体の両面から追い詰める。心臓が凍りつくような恐怖と絶望がブロッサムに襲いかかる。


フウマは【風魔手裏剣】を構え、その身が影と一体化する。彼の「神速」と「隠密」のスキルが融合し、真名が紡がれる。

「風と影の大精霊に感謝するでござる。疾風の幻影よ、我が魂に応えよ!五感を奪う乱舞、存在を切り裂く闇の刃よ、この現世に顕現せよ!原罪魔法No.16!ゲイル・シャドウ!」


高速で吹き荒れる風によって生み出された無数の影が、ブロッサムを取り囲み、視覚、聴覚、触覚のすべてを奪い去る。同時に、影そのものが物理的な攻撃力を持ち、ブロッサムの全身を切り刻んでいった。


さらに、それぞれの大精霊を呼び出し、その極技で追い討ちをかけた。


ホムラの炎の大精霊エンフリードが、極技「インフェルノ・カタクリズム」を発動し、燃え盛る巨大な炎の渦がブロッサムをさらに飲み込む。


リヴァイアの水の大精霊リヴセレナは、極技「アブソリュート・ゼロ・テンペスト」で絶対零度の吹雪を巻き起こし、炎の渦を切り裂くようにブロッサムを襲い、その肉体を凍てつかせる。


フウマの風の大精霊ゼイオロスは、極技「ハリケーン・ブレード・ダンス」で無数の風の刃を生成し、ブロッサムを蜂の巣にするかのように切り裂いた。


「殺ったか?」

ホムラの疲労が滲む声が響く。


三人とその大精霊たちが、砂煙を一点に集中し、見つめている。


だが、ブロッサムは煙の中からゆっくりと姿を現すが、その全身は傷つき、魔力も大きく消耗しているのが見て取れる。

「まあ、物騒な!」

ブロッサムは、余裕の笑みを見せながらも、苦しげに息を吐く。

「今のは、効きましたよ。さすがの私も死というものを身近に感じました…。」


「嘘だろ!」

ホムラが絶句する。

「あれで、殺られないのか!」

タオも信じられないといった表情だ。

「くう!万事休すでござるか…。」

フウマが悔しげに唇を噛み締める。


ハーベルはブロッサムの再生能力を「解析」していた。


••••••••••

ハーベルの持つ「再生」や「自動回復」スキルを遥かに上回る、異常な闇の回復力を持っている。しかし、再生にも限界があるはずだ。

••••••••••


「いや、俺が行く!」

ハーベルは再び間合いを詰める。ブロッサムの再生の隙を突く、まさにその瞬間を狙って…。


ブロッサムが疲弊した顔でハーベルを見ていた。

その肩を、ハーベルが後ろから軽くトントンと叩いた。

「ブロッサム、ご苦労様!」

ハーベルは、光属性の極大魔法「ホーリー・エンジェルス」を発動する。


「聖なる光の大精霊に感謝する!浄化の翼よ、我が命に従い、穢れを洗い流せ!

神聖:究極魔法10!ホーリー・エンジェルス!」


ハーベルの全身から溢れ出る圧倒的な魔力が、純粋な光の奔流となってブロッサムの魂に直接作用する。


「ホーリー・エンジェルス」は攻撃力はさほどないが、術者の魔力量に応じて相手の魂を浄化する力が増す。さらに相手が汚れた魂であればあるほどその効力は増していく。


ただし、魔法を発動させる条件として相手に直接触れる必要があるため、実戦には向かない究極の魔法だ…。


「こんな虫けらに…!この私が…!」

ブロッサムの顔に苦悶の表情が浮かび、その肉体が光の粒子となって崩壊していく。やがて、その魂は浄化され、まばゆい光の天使たちに寄り添われながら、ゆっくりと天へと昇っていった。


「やったな!ハーベル」

ホムラが興奮した声で叫ぶ。

「すごいわね。止めがホーリーエンジェルスとは…。」

リヴァイアが感嘆の声を漏らす。

「普通は、使わないでござるな…。」

フウマが冷静に分析する。

「確かに!」

タオも深く頷いた。


「あとは、サリエルだけか…。」

ハーベルの視線が、宮殿の最奥へと向けられた。


ハーベルたちが奥へ進んで行くと、大きくて立派な椅子にサリエルは腰かけていた。その威容は、彼らがこれまで出会ったどの敵よりも強大だった。

次回 絶望の石板:嘲笑う悪魔

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頑張って続きを書いちゃいます!

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