闇の不在:異界の侵略者
「リーフィア、闇のソーサリーエレメントの所持者は?」
ハーベルが心配そうに尋ねる。
「それが、ルナシェイドだけ連絡がつかないのよ…。」
リーフィアの声には、微かな不安が滲んでいた。
「そうなのか…。」
ハーベルは何か嫌な予感がしていた。
闇のソーサリーエレメントは、全ての属性を凌駕する可能性を秘めた、最も強力で危険な力だ。それが、今、誰の手にあるのか、あるいは……。
ホムラたちがその言葉を聞き、真剣な表情になる。
ルナシェイドと連絡が取れないという事実は、彼らの間の結束を固めつつあった空気に、新たな緊張をもたらした。
「でも、こうしていても仕方がないですわ!」
リヴァイアが口火を切った。
「そうでござるよ…。この5人でも十分に強力なパーティーでござるからな!」
フウマも賛同する。
「ああ、闇のソーサリーエレメントの所持者のことは気になるが、今は置いておこう!どうだ、ハーベル?」
ホムラがハーベルに同意を求めるように肩に手を置いた。
ハーベルは考え込むように空を見上げた。
••••••••••
闇のソーサリーエレメントの保持者が誰なのか、そしてその行方が分からないのは気がかりだが、目の前のサリエルに対処する必要があるのも事実だ。
••••••••••
「……分かった。今は、サリエルを倒すことに集中しよう。」ハーベルが頷くと、ホムラたちは安堵の表情を見せた。
その瞬間、宮殿の入り口の空間全体が激しく歪み始めた。
地面が揺れ、天井から砂埃が舞い落ちる。
まるで巨大な何かが、この次元に強引に侵入しようとしているかのようだった。
「な、なんだ、これ!?」
ホムラが叫ぶ。
「空間が……裂けていますわ!」
リヴァイアが杖を構える。
「サリエルの刺客でござるか!?」
フウマが手裏剣を構え、警戒態勢に入る。
タオは黙って【大盾:ガイアウォール】を前に構え、ハーベルを庇うように立つ。
空間の歪みはさらに激しくなり、やがて宮殿内の空間に、真っ黒な亀裂が走った。その亀裂からは、形容しがたい異臭と、耳をつんざくような不協和音が漏れ出す。
そして、その亀裂の奥から、ゆらりと現れたのは――
「うっひょおおお! ここが例の美味しい世界っスかー!?」
陽気な声と共に現れたのは、奇妙な姿の集団だった。
彼らはまるで、おもちゃ箱をひっくり返したかのような、色とりどりの不気味な衣装を身につけている。
中には、頭にティーカップを乗せた者、全身がゼリー状にプルプル震える者、手足がタコの吸盤になっている者までいる。
彼らの眼はギラギラと輝き、この世界を好奇心と食欲の対象として見定めているようだった。
「こ、こいつらは……!?」
ハーベルは言葉を失った。
次回 次元を渡る食客:愛と胃袋の契約
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