五色の光:ソーサリー・エレメンツ
ハーベルは涙を拭うと、真っ直ぐにサリエルを見据え、言い放った。
「サリエル! 俺は、仲間を信じる! お前がどんな卑劣な手段を使おうとな!」
ハーベルの眼には、もはや迷いはなかった。
希望の意思が宿り、その光はサリエルの作り出した絶望の闇を打ち破るかのように輝きを放つ。
「くそ! まあいい…。」
サリエルは少しだけ悔しそうに呟く。彼の作り出した偽りの映像が、ハーベルの強固な意志によって打ち砕かれたことに、苛立ちを覚えているようだった。
「まあ、どうせあなたはここで死ぬのです!」
サリエルが不敵な笑みを浮かべ、再びその手を掲げる。
彼の魔力は依然として圧倒的だった。
ハーベルは身構え、決戦を覚悟する。
その時だった。
突如、周囲の空気が震え、空間がひび割れるような音を立てた。
サリエルの背後、そしてハーベルの左右から、それぞれ異なる色の光が迸り、次々と新たな人影が姿を現す。
まず現れたのは、燃え盛る炎のような赤髪を持つ男だった。
彼の背中には魔剣が、そして腕には魔手が装着されており、その全身からは灼熱のオーラが立ち昇っていた。
続いて、優雅な水色の衣を纏った女性が姿を見せる。
彼女の手には宝杖が握られ、その周りには清らかな水の膜が揺らめいていた。
その直後、風のように現れたのは、漆黒の装束に身を包んだ忍者のような男。
彼の腰には神刀が差され、その存在はまるで幻影のように捉えどころがない。
そして最後に、大地のように揺るぎない巨躯を持つ男が足元を轟かせながら現れた。
彼が持つのは、見るからに重厚な戦鎚と大盾。その存在感だけで、地面が軋むようだった。
彼らは皆、それぞれのソーサリーエレメントの力を宿す、選ばれし保持者たち。ハーベルの危機を察知し、はるか遠方から一斉に集結したのだ。
「よお!これまた、弱そうな奴だな!」
ホムラの力強い声が響く。他の仲間たちも、それぞれサリエルを睨みつけ、臨戦態勢に入る。
サリエルは、突如として現れた強力な保持者たちの姿に、わずかに眉をひそめた。
「な…貴様ら、なぜここに…!」
その顔に、初めて焦りの色が浮かんだ。
ハーベルは、仲間たちの顔を見て、力強く頷いた。
「君たちが、ソーサリーエレメントの保持者?」
その声には、先ほどの絶望は一片もなく、力強い希望と、仲間と共に戦えることへの喜びが満ち溢れていた。
「さて、サリエル。貴様の悪趣味なショーは終わりだ。」
ホムラが魔手を構え、地を這うような低い声で告げる。
「俺たちのソーサリーエレメントの真の力を見せてやる!」
空気が張り詰め、五つの強大な魔力が、サリエルを取り囲むように渦を巻き始めた。
次回 プライマル・オンスロート:チーム結成
続きの気になった方は、
ぜひともブックマークをお願いいたします。
リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。
頑張って続きを書いちゃいます!




