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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン7 【悪魔男爵激闘編】(サリエル戦)

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夜明けの攻防:魂の解放者

子供たちは、どんどんとハーベルたちに近付いてくる。


手に携えた小型のナイフや包丁が、薄暗い中で月明かりに照らされて、次々と輝いていた。


「おい、ハーベル!どうするんだ!」

カザキの動揺が手に取るように分かる。


「今考えています…。」

ハーベルの鼓動も高鳴り、精神的に追い詰められていく。


「とりあえず、家に入れないようにしないと!」

ネルがハーベルにしがみつく。


「うん…。」

ハーベルは頷くと、「設定」スキルですべての窓やドアを開かないようにしてしまった。


子供たちは、虚ろな眼をしたままで家へたどり着くと、手に持った武器で家のあらゆる場所を「グサグサ…。」と攻撃し始めた。


「キャーーー!」

村の女性たちが口々に悲鳴を上げる。

自分たちの子供の豹変ぶりに怯えている者もいる。


「これじゃ、壁が持たない!」

フレアが焦りの声を上げた。子供たちの攻撃は、単純な力ではない。ソウル・コンサンプションの影響か、まるで怨念が込められているかのように、家の壁を削り取っていく。


ギシギシ…、ギシギシ…。

家が嫌な音を発している。


「なんとか、子供たちを傷つけずに、ローブの男を引き離す方法を…!」

アクシアが弓を構えるが、狙いを定めることができない。子供たちの動きは予測不能で、しかも密集している。


その時、ローブの男が不気味な笑みを浮かべ、ゆっくりと手を掲げた。空気が一瞬で重くなる。


「愚か者どもめ…。その選択が、お前たちの命取りとなる!」

男の言葉に呼応するように、子供たちの瞳に、さらに深い闇が灯った。手にした刃の輝きが増し、攻撃が激しくなる。


「くっ…!」

カザキが歯を食いしばる。このままでは、家が破壊され、子供たちが突入してくるのは時間の問題だ。


ハーベルは目を閉じ、深く呼吸をした。

師匠の言葉が頭をよぎる。

「本当に大切なものを守る時、人は想像以上の力を発揮するのよ!

彼はゆっくりと目を開けた。


その瞳には、迷いが消え、凍てつくような冷静さと、燃えるような決意が宿っていた。


「みんな、聞いてくれ!」

ハーベルの声が、緊迫した空間に響き渡る。

「この家の壁は、まだ持つ。俺が外に出る!」

「何だと!?」

カザキが驚きの声を上げた。


「一人で外に出るなんて無謀よ!ソウル・コンサンプションの影響を受けた子供たちに囲まれてしまうわ!」

クラリッサが叫ぶ。


「心配ない。俺には、魔法がある。」

ハーベルはそう言うと、右手を壁に触れさせた。彼の指先から、微かな光が壁を伝っていく。


「虚空:第8応用魔法!ファントム・ヴェール!」

ハーベルの姿を虹色に輝くヴェールが包み込む。


「俺は、子供たちを傷つけずに、あの男を足止めする。その間に、みんなで子供たちの気を引いてくれ。あくまで、彼らを傷つけない範囲でだ!」

「ハーベル…!」

ネルが不安そうに名を呼ぶ。


「大丈夫だ、ネル。必ず戻る。」

ハーベルは力強く頷くと、壁の「設定」を解除し、一歩、外へと踏み出した。


外に出た瞬間、虚ろな目の子供たちが一斉に彼に群がった。

無数のナイフが、ハーベルめがけて振り下ろされる。


「ハーベル…!」

ネルは思わず顔を伏せた。


ローブの男は、ハーベルの行動を見て、嘲笑を浮かべた。


「ほう…自ら餌になるとは。愚かにも程があるな、人間。」

しかし、次の瞬間、男の笑みが凍り付く。


ハーベルは、迫りくる子供たちの刃を、まるで風のようにすり抜けた。彼の体は、子供たちの攻撃を一切受けず、まるでそこに存在しないかのように、彼らの間を縫ってローブの男へと一直線に向かっていた。


「なっ…!?」

ローブの男は驚愕に目を見開く。


ハーベルは、その驚愕の表情を正面から受け止めると、その場に立ち止まった。そして、静かに右手を、男の胸へと突き出した。

「お前は、俺の、大切なものを傷つけようとした。」

ハーベルの言葉には、怒りも憎しみも含まれていなかった。

ただ、絶対的な、静かな決意がそこにあった。


彼の掌から、眩いばかりの光が放たれる。

それは、闇を打ち払う、純粋な光の輝きだった。


「神聖:第7上級魔法!ラディアント・ダウンエクソシズム!」


ローブの男はスーッと浄化されるように消え去った。


子供たちは、何もなかったように我に返ると、自分の親に付き添われて、家々へと戻っていった。


「はあ…。長い夜だった…。」

ハーベルは疲れた身体をベッドへ投げ出すと深い眠りに落ちていった。

次回 レオンの闇:禁呪級魔法の深淵

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頑張って続きを書いちゃいます!

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