夜の密会:悪魔の嘲笑
深夜2時…。
ハーベルが眠っている部屋のドアをゆっくりと開ける音が静かに響く。
キーーー…。
そこには、怪しい影がぬーっと忍び寄った。
影は、ベッドへゆっくりと近付いていく。手にはナイフのような物が月明かりでキラリと光った。
グサッ…。
グサ…。グサグサグサ…。グサグサ…。グサッ…。
「フハアアア…。ハハハ…。死ね死ね死ね!」
グサ…グサ…グサッ…。
「はあはあ…。死んだか?」
影は散々ナイフで突き刺して疲れて肩で息をしていた。
影がベッドの毛布をサッとめくると…。
そこには、丸太が寝ていた…。
「なんだと!?」
村長は明かりをつけて愕然とした。その顔は、焦りと恐怖に歪んでいた。
「まあ、そんなことだろうと思いましたよ!」
そこへ、部屋の隅の影から、静かにハーベルが姿を現した。
彼の瞳は、すでに眠気など微塵も感じさせず、村長をじっと見据えている。
「どうせ、他のメンバーのところへも襲撃にいっているのでしょう?」
ハーベルはあくびをしながら言った。その声には、一切の動揺がない。
「ど…。どうして、分かった?」
村長はナイフを振り回しながら叫ぶ。
「ノアールの言う通り、あれから相談して、用心に越したことはないと言うことになって、近くに家を建ててみんなはそちらへ移動して貰った!」
ハーベルは眠そうに説明をする。
「お前が、悪魔の手先ということは、薄々感じていた…。でも、料理もまともだったし、確信がなかった…。だから、俺だけお前を監視して待っていたのさ!」
「くそー!」
村長は苛立ちを隠せない。
「村の子供たちを人質にされとるんじゃ!仕方がなかったんじゃ…。許してくれ…。」
村長は急に、土下座をして頭を床に擦り付けた。
その顔が影でニヤリと笑う。
その時、ドアからカザキが現れた。
「おい、じいさん!よくそんなにペラペラと口からデマカセが出てくるな!」
カザキの顔には怒りがにじんでいる。
「子供たちなら、オレがすでに救出済みだぜ!」
子供たちを縛っていた縄を投げつけた。
「自分達で監禁しておいて、よく言うぜ!」
カザキの怒りが頂点に達していた。
「フフフ…。フハハハ…。フォフォフォ…!」
村長は、怪しい笑い声をあげながら、身体中から真っ黒のオーラを垂れ流した。
両手をあげると、村長の顔の皮が「バリバリッ…。」と音を立てて破れ去った。
中からは、中級悪魔のガーゴイルが現れ、「ペッぺ…。」とつばを吐きながら頭を何度か横に振った。
「あーーー、めんどくせ!喰ってやる!」
ガーゴイルが飛びかかって来た。
「正体を現したか!」
ハーベルは素早く攻撃を避けると、格闘の構えを決めた。
「おお、格闘か!お手並み拝見!」
カザキは腕組みをしながら高みの見物と決め込んだ。
「バカにしやがって!」
ガーゴイルの目が光ると、ハーベル目掛けてビームが飛んできた。ハーベルは、無表情で避けるとガーゴイルの顔面に一発パンチを決める。
ガーゴイルの顔から鼻血が「ツーー」っと垂れると、顔を真っ赤にして飛びかかって来た。
ハーベルは向かってくる奴の顔面をパンチで何度も打ち抜いて、どんどんと顔が腫れ上がっていく。
「バカに…。するな…。」
ガーゴイルは完全にグロッキー状態で倒れてしまった。
「なんか、よく分からない奴だったな…。」
カザキがそう言うと、
「ええ、光:第8上級魔法!セレスティアル・ラディアント!」
ハーベルはおもむろに詠唱すると、ガーゴイルは青い炎に包まれて灰になってしまった。
ハーベルは、カザキとハイタッチすると、眠そうに自分の家へ戻って寝てしまった。
次回 夜明けの攻防:無垢なる刃
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