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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン1 【王立魔法学院編】
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深紅の刻印と地下室の謎

レオンが学院に通えるようになってしばらく経った、ある暑い昼下がりのことだった。


その日は妙に蒸し暑く、ハーベルは涼むために図書館に向かい、次の授業の予習に集中していた。

机に広げられたノートにペンを走らせていると、どこからともなく一枚の紙が花びらのようにヒラリと舞い落ちてきた。


「なんだこれ…MACOK?イタズラか?」

紙には「MACOK」という謎の単語とともに、簡単な地図が描かれていた。ハーベルは眉をひそめたが、すぐに気にも留めず、ごみ箱に放り込んでしまった。


「ハーベル、次の授業の時間よ!」

後ろからアンナが声をかけてきた。


「分かった、すぐ行くよ!ちょっと待って!」

ハーベルは急いでノートを片付けると、その場を後にした。


しかし、彼が去った後、ゴミ箱に投げ捨てられた紙切れに目を留めたのは、レオンだった。


「マコック…って、なんだろう?」

レオンはごみ箱からその紙を拾い上げ、じっくりと見つめた。その紙には地図が描かれており、旧校舎にある「魔法陣研究室の隣の準備室」を指しているようだった。そして、彼の左手に刻まれた深紅の魔法陣が、ぼんやりと輝いていた。


「これは…高等部の旧校舎か…」

レオンは、自分の体が妙な衝動に突き動かされていることに気づいた。気がつけば、その地図の示す場所を目指し始めていた。


高等部の旧校舎にたどり着くと、廃れた建物の不穏な空気が全身を包み込んだ。

「やっぱり、やめようかな…でも、僕が行かないと…」

言い知れぬ使命感に突き動かされ、レオンは震える足を抑えながら建物の中へと進んでいった。


準備室の扉を開けると、中には古びた本棚が立ち並んでいるだけだった。しかし、レオンの目はある一冊の奇妙な本に引き寄せられた。


「ここだけ、何かおかしいぞ…?」

レオンがその本を押し込むと、本棚がギギギと音を立てて動き出した。


ゴ… ゴ… ゴ… ゴゴ…ゴゴゴゴ…


本棚の後ろには暗い階段が現れた。


「なんだこれ…暗いな…行きたくないな…でも…」

レオンの足は自分の意思とは裏腹に、階段を一歩ずつ降りていった。


階段を降り切った先は暗闇が支配する部屋だった。レオンは震える手で魔法を唱えた。

「ライト!」

青白い光が部屋を照らすと、部屋の入り口に一人の男が立っていた。


男はフードを深く被り、口元しか見えない。黒いローブに身を包み、影そのもののように不気味だった。


「やれやれ、レオン君。頼みますよ。」

男は深いため息をつき、落胆した様子で呟いた。


「えっ…?誰?何を言ってるんだ?」

レオンは足を震わせながら問いかけた。


「あなたの左手のことですよ。」

男は冷たく言い放つと、レオンの左手を指差した。


「左手…これがどうしたんだよ!?」

レオンは左手を見下ろすが、赤い魔法陣がじんわりと光るだけだった。


「あなたは光栄に思うべきです。あなたは【MACOK】になったのですからね。」

男は広げた両手を上下に振りながら語り出した。


「MACOKってなんだよ!?教えてくれよ!」

レオンは涙目で叫んだ。


男はまた大きく息をつくと、呆れたように首を横に振った。

「あなたには理解できないでしょうね…。」


「何で…?ハーベルなら理解できるとでも?」

レオンが怒りに満ちた声で問い詰めると、男は不敵な笑みを浮かべた。


「その通りです。ハーベルさんなら理解できるでしょう。あなたとは違い…」


「ふざけるな!」

レオンは怒りを爆発させ、声を張り上げたが、男はどこまでも冷静だった。


「それでは、左手を出していただけますか。」

男は静かに言ったが、その声には不気味な力が宿っていた。


「…わかった。」

なぜか従ってしまう自分に戸惑いながらも、レオンは左手を差し出した。

次回 血塗られた部屋と魔法陣の呪縛

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頑張って続きを書いちゃいます!

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