傀儡の支配者~レオンの冷徹なる一手~
「俺様は、ヴァレロス様だ!」
ダークネスドラゴンは、自らの名を告げ、その巨体に見合うかのような威厳ある態度を取った。彼の声は、空間を震わせるほど響き渡る。
「貴様らは、見込みがありそうだ…。俺様の眷属にしてやろう!」
ヴァレロスは、高慢な態度で提案した。彼の目には、レオンたちを配下にするという確信が宿っているようだった。
しかし、レオンたちの反応は、ヴァレロスが予想していたものとは全く違っていた。
「うるせえ!」
「そうだ、何でおまえみたいなでかいトカゲに仕えまきゃいけねえんだよ!」
「殺す!」
「ふん…。」
「滑稽ね…。」
レオンたち全員が、ヴァレロスを小馬鹿にするような態度で吐き捨てた。彼らの言葉には、一切の畏怖がなく、むしろ侮蔑が込められている。
「ト…トカゲだとーーー!貴様ら全員喰ってやる!」
ヴァレロスは、その言葉に激怒し、口からヨダレを撒き散らしながら、地団駄を踏んで咆哮した。その憤怒は、空間をも震わせるほどだった。
グワァーーーーーーー!
ヴァレロスの咆哮に応じるかのように、彼の目の前に無数の紫色に輝く文字で構成された魔方陣が展開された。その魔方陣の中からは、おどろおどろしい姿をした魔物が、ぬめりとした音を立てながら這い出てきた。その姿は、おぞましさに満ちていた。
「うえ、気持ち悪!」
アルカは、サクナと抱き合いながら後ずさりをした。彼女の顔には、生理的な嫌悪感がはっきりと浮かんでいた。
「また、こんな技か!」
トリガーは、慣れたように「砲弾魔法陣」を展開し、そこから出現させた機関銃を手に、這い出てくる魔物を片っ端から撃ち抜いていく。
真っ黒な血が飛び散る中を、レオンが、遅い来る雑魚の魔物をナイフで蹴散らしながら、颯爽と中央を歩いていく。彼の姿は、まさに闇夜を駆ける死神のようだった。
「ヴァレロス!僕からも提案がある…。僕の召喚獣になれ!」
レオンは、躊躇なくヴァレロスの前まで歩み出ると、静かに、しかし有無を言わせぬ口調で告げた。彼の視線は、ヴァレロスの巨体を射抜くかのように鋭い。
ゴクリ…。
レオンから放たれる圧倒的な威圧感に、ヴァレロスは思わず息を飲んだ。その巨大な体は、わずかに震えている。
「ふ…。ふざけるな!人間ごときが!」
ヴァレロスは、その屈辱に耐えかねたかのように叫んだ。彼のプライドが、レオンの提案を拒絶する。
「まあ、おまえの力もこの程度だろ?死ぬくらいなら…。どっちがいいか分かるだろ?」
レオンは、不気味に微笑んだ。その笑みは、ヴァレロスを精神的に追い詰めるには十分だった。彼の言葉は、ヴァレロスの心に重くのしかかる。
ヴァレロスは、屈辱と怒りから、巨大な漆黒の腕を振り上げ、レオンを叩き潰そうとした。その一撃は、大地をも砕くほどの破壊力を持っていた。
「はあ…。やっぱり、トカゲはトカゲか…。」
レオンは、諦めたかのようにため息をついた。そして、一瞬にしてヴァレロスの頭上へ移動すると、「金属魔法陣」で瞬時に取り出した、彼の体躯に不釣り合いなほどの巨大なハンマーで、ヴァレロスの頭を思いっきりどついた。
ドスーーン…。
ヴァレロスの目玉が飛び出るほどの衝撃が走り、そのまま彼は後ろに大きな音と共にぶっ倒れてしまった。その巨体が地面に叩きつけられる音は、フロア全体に響き渡った。
「大したことないな…。」
レオンは、冷めた声で呟きながら下へ降りると、リセに声をかけた。
「リセ、一応、確保しておいてくれるか?」
「分かったよ。」
リセは、にこやかに頷くと、「布陣魔法陣」を展開し、倒れたヴァレロスを小さな黒い繭の中に閉じ込めてしまった。その繭は、ヴァレロスを完全に無力化するほどの力を持っているようだった。
「はい!」
リセは、レオンに嬉しそうに黒い繭を手渡した。
「リセ、ありがとう!」
レオンは、優しくリセの肩に手を置いた。彼の表情には、仲間への感謝と、目的達成への安堵が浮かんでいた。
「さあ、頂上だな!」
レオンの言葉に、トリガーが力強く頷く。
「ああ…。」
レオンとトリガーががっしりと腕を組んだ。彼らの間には、互いへの信頼と、これまでの道のりを共に歩んできた達成感が満ちていた。
一行が、エレメンタルスパイアの頂上にあるエレメンタル・サンクタムへと到達すると、そこは予想外にも、漆黒の黒いバラが咲き誇る、幻想的な庭園のような場所だった。その美しさと不気味さが混じり合った光景に、彼らは息をのんだ。
「キレイ…。」
サクナは、そのバラの美しさに魅了され、思わず一輪摘んだ。
「ソーサリーエレメントはどこにあるんだ?」
トリガーが、急ぐように周囲を探し回る。彼の目的は、闇のソーサリーエレメントの獲得だ。
「あれを!」
ミリアが、庭園の中央にある噴水の近くに佇む、古びた石碑を見つけた。その石碑からは、微かな闇のオーラが放たれている。
なぜかその横には、すでにレオンの姿があった。
彼は、いつの間にかそこに移動し、石碑に手を伸ばそうとしているようだった。
次回 漆黒の覚醒~サリエルへ向かう冷血な道~
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頑張って続きを書いちゃいます!




