表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン6 【六大精霊塔編】(エレメンタルスパイア)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

166/200

真闇の支配者~頂上で待ち受ける巨悪~

「やっと、100階層か…。意外とかかったな…。」

アルカは、息を切らしながら呟いた。これまでの激戦を物語るように、彼女の表情には疲労の色が濃く出ていた。


「ああ、でもこれで闇のソーサリーエレメントは俺たちのものだろ!」

トリガーは、達成感に満ちた表情で目を輝かせながら、レオンの肩を力強く叩いた。彼の声には、待ち望んだ頂上への期待が込められている。


「ああ、そうだな…。」

レオンは、どこか元気がない素振りで答えた。彼の視線は、眼前の光景に吸い寄せられているようだった。


100階層は、広大な暗闇に包まれた空間で、その中央に、唯一の光として頂上へと続く階段がそびえ立っていた。


その階段の前には、威厳と凶悪さを兼ね備えた漆黒のダークネスドラゴンが、堂々と立ちふさがっていた。その巨体から放たれるプレッシャーは、尋常ではなかった。


ダークネスドラゴンの周囲には、紫色の松明が円形に整然と配置されており、その炎が不気味に揺らめいている。まるで、これから何か恐ろしい存在でも召喚するかのような、禍々しい雰囲気を醸し出していた。


「貴様らか…。俺様の眠りを妨げたのは!」

ダークネスドラゴンが、地を揺るがすような低く唸る声で、怒りを露わにした。その声は、深淵の底から響き渡る咆哮のようだった。


「おい…。ド………ドラゴンがしゃべったぞ!」

アルカは、その光景に腰を抜かした。彼女の顔には、驚愕と恐怖が入り混じっていた。


「お姉ちゃん、大丈夫?」

サクナも、アルカに抱きつきながら、その巨大なドラゴンを怯えながら見つめる。二人の間には、恐怖が伝播していく。


「ああ、僕たちはそこを通りたいだけだ!」

レオンは、感情を抑え込んだ棒読みのセリフのように、何の感情も出さずに答えた。彼の視線は、ダークネスドラゴンに固定されている。


「貴様らは、俺様のディナーだ!」


グォーーーーーー!


ダークネスドラゴンが再び咆哮した。その瞬間、目の前の円形に配置された松明の紫の炎が「ボーーッ」と一際高く立ち上ったかと思うと、その中央から禍々しい魔方陣が展開された。


魔方陣の中から、巨大な目玉を中心に、その周囲から気持ちの悪い無数の触手が生えているような悍ましい魔物が、ぬめりとした音を立てながら競り上がってきた。


「なんだ、こいつ!」

トリガーは、直感的に危険を察知し、剣を構えた。彼の顔には、驚きと警戒の色が浮かんでいる。


「気をつけて!あの目玉を見てはだめ!」

ミリアが、この上ない緊迫感と恐怖を込めた声で叫んだ。彼女の経験と知識が、この魔物の危険性を示唆していた。


一行は、ミリアの警告を受けて直ぐ様目を伏せたが、トリガーだけは反応が間に合わず、その魔物の目を見てしまった。彼の体は、瞬く間に石のように硬直してしまっていた。


「ミリア、こいつはなんだ?」

レオンは、動けなくなったトリガーを見て、ミリアの肩を揺すりながら問いかけた。彼の声には、焦りと、そして状況を打開しようとする意思が混じっていた。


「アイツは、私の国に伝わる伝承の魔物で、オクルス・レックスと言います!」

ミリアは、震える声で答えた。


「弱点はないのか?」

レオンは、冷静に弱点を探ろうとする。


「弱点は、中央の目玉ですが、あれを見ると石化されてしまいます!」

ミリアの言葉に、レオンは絶望的な状況を悟った。弱点を攻撃できないのでは、どうすることもできない。


「じゃあ、どうすれば………。」

その間にも、オクルス・レックスは、ヨダレを滴らせながら、一行めがけて鈍重だが確実に走り寄ってきた。その不気味な動きは、彼らを精神的に追い詰める。


「みんな、アイツの目を見ないように散らばれ!」

レオンは、素早く指示を出した。彼の声には、リーダーとしての冷静な判断力が宿っている。


「了解!」

レオンの合図でパーティーが分散すると、レオンは目を瞑ったまま、オクルス・レックスの前に一歩踏み出した。彼は、自らを オトリとすることで、仲間を守ろうとしているのだ。


「レオーーン!」

ミリアが、その無謀な行動を制止するように手を伸ばす。彼女の瞳には、不安と心配が満ちていた。


オクルス・レックスの鋭い爪が、レオンの顔を引き裂こうと振り下ろされたその時、一瞬でレオンの姿が消えた。


オクルス・レックスは空を斬った自分の手を見て、困惑したように立ち止まる。


レオンは、【神器:ソウルレンダー】を手に、オクルス・レックスの背後から現れていた。

そして、彼のナイフが、魔物の頭を正確に真っ二つにした。その一撃で、オクルス・レックスは動きを止めた。


「うーー、うぉ!」

トリガーの石化が解けた。彼の体は、まだ硬直から解放されたばかりで、意識が朦朧としている。


「トリガー!」

リセが、思わず飛びつき、トリガーを抱きしめた。彼の無事を喜び、安堵の涙を流す。


「レオン、悪りい……。」

トリガーは、自分が足手まといになったことを詫びた。


「まあ、いいよ!」

レオンは、気にするなと言うように答えた。彼の顔には、勝利の後の疲労が浮かんでいる。


「それより、あのドラゴンをどうするかよ!」

ミリアが不安げにレオンの腕を掴んだ。オクルス・レックスは倒したが、まだダークネスドラゴンが残っている。


「私の鞭で拘束するから、一斉に攻撃を!」

アルカがそう叫んで、臆することなくダークネスドラゴンへと飛び出した。彼女の言葉に、仲間たちは攻撃態勢に入る。


アルカは「蛇鞭魔法陣」を展開し、その中から無限に伸びるヌメヌメとした蛇のような鞭が、ダークネスドラゴンを「グイグイ…」と締め付け始めた。その鞭は、まるで生きているかのように、ドラゴンの巨体に絡みついていく。


全員が攻撃を仕掛けようとしたその時…。


ダークネスドラゴンの全身から、毒々しい緑色の液体が噴出し、鞭を跡形もなく溶かしてしまった。その液体は、鞭だけでなく、周囲の空間をも侵食するかのようだった。


「こんな、ちんけな技で捕まえられるとでも思っているのか?」

ドラゴンは、アルカの攻撃を嘲笑うかのように吐き捨てた。その言葉には、侮蔑と、そして自身の力の絶対的な自信が込められていた。


「くそ…。」

アルカは、その圧倒的な力の差に、思わず悔しげに呟いた。


次回 傀儡の支配者~レオンの冷徹なる一手~

続きの気になった方は、

ぜひともブックマークをお願いいたします。

リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。

頑張って続きを書いちゃいます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ