表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン6 【六大精霊塔編】(エレメンタルスパイア)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

163/201

光と闇の分岐点~二つの使命、一つの頂へ~


「リーフィア…。さっきは感情的になってすまなかった…。」

涙を拭い、ハーベルは深く反省した様子でリーフィアに頭を下げた。先ほどの激昂が嘘のように、彼の表情には申し訳なさがにじみ出ていた。


「いいえ、こちらこそ結果的に騙すようなことになって大変申し訳ありませんでした…。」

リーフィアもまた、全身全霊で謝罪した。彼女の透明な体はわずかに揺らめき、心からの悔恨を表しているようだった。


「リーフィア、これからサリエルの軍勢と戦うことになるんだろ?」

ハーベルは、場の雰囲気を変えようと、今後の戦いについて尋ねた。彼の声には、すでに冷静な思考が戻っていた。


「ええ…。」

リーフィアは小さく頷いた。


「今でも十分強いとは思うけど、ここにいるメンバーの力の底上げはできないかな?」

ハーベルは、仲間たちのことを思いやり、心配そうに懇願した。サリエルという強大な敵を前に、少しでも勝機を高めたいという彼の切実な願いだった。


「分かりました!」

リーフィアは、その願いを快く受け入れた。彼女の体から淡い光が放たれ、その光がメンバー一人一人に降り注ぐ。


光が触れるたびに、彼らの装備が変化していく。まるで呼吸をするかのように輝く神器クラスの武器や防具が具現化され、さらに彼らの体内に満ちる魔力量も底上げされていくのを感じた。


「ありがとう!」

ハーベルは、その変化に驚きつつも、安堵の表情を見せた。

これで、サリエルとの戦いに、より有利な状況で臨めるだろう。


「他のソーサリーエレメントはどうなるんだ?」

ふと、ハーベルは別の疑問を抱き、心配そうにリーフィアに尋ねた。


「それなんだけど…。他の属性の階段も100階層へ到達すればあるのだけれど、今のメンバーでは得ることはできないの…。」

リーフィアは、申し訳なさそうに視線を伏せた。


「転生者じゃないから…。」

ハーベルは、その理由を推測した。光のソーサリーエレメントを得る条件が「転生者」であったことを思い出したのだ。


「ええ…。それだけではありませんが…。残念です…。」

リーフィアは、さらに深くうつむいた。他にも複雑な条件があることを示唆しているようだった。


「他のソーサリーエレメントには、私のように各大精霊が候補者を連れてきているはずです…。」

リーフィアの言葉に、ハーベルは納得するように頷いた。この世界には、彼らがまだ知らない多くの秘密が隠されているようだ。


「俺は、サリエルを倒してリーフィア師匠を必ず元の世界へ戻してあげるよ!」

ハーベルは、改めて強く決意を表明した。彼の瞳には、師匠への揺るぎない愛情と、必ず約束を果たすという固い意志が宿っていた。


「うん、応援してるわ!」

リーフィアは、ハーベルの決意に深く感動した様子で、優しく微笑んだ。ハーベルのその言葉は、何よりも彼女の心を慰めるものだった。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


その頃、レオンたちは、薄暗い空間に佇んでいた。彼らはそれぞれ、新たな力を手に入れたばかりだった。


「トリガー…。遅かったわね!あなたが一番最後よ!」

アルカが、口元に笑みを浮かべ、少し小馬鹿にするように言った。彼女の挑発的な口調は相変わらずだ。


「チッ、最後か…。」

トリガーは舌打ちをし、悔しそうな表情を浮かべた。しかし、その顔にはどこか達成感も見て取れる。


「トリガー…。僕の分もありがとう!」

レオンが、落ち込むトリガーの肩に優しく手を置いた。仲間への気遣いを忘れない彼の姿勢は、リーダーとしての資質を示している。


「ああ…。大したことない!」

トリガーは、少し照れくさそうにしながらも、嬉しそうに答えた。レオンの言葉が、彼の心を温かくしたのだろう。


「よし、神器は6種類揃ったな?」

レオンが確認するように問いかけると、全員が力強く頷いた。


「ああ!」

「準備完了!」

「はい!」

「よろしいですわ!」

「いいようね!」

六人がそれぞれの神器を手に取り、円陣を組んだ。彼らの手には、それぞれ異なる属性の輝きを放つ、強力な武器や防具が握られている。


「ここから、俺たちの新しい人生が始まる!」

トリガーが、未来への期待を込めて叫ぶと、全員が揃って神器を天高く掲げた。それぞれの神器が共鳴し合い、まばゆい光を放ち始める。


「よし、エレメンタルスパイアへ!」

レオンが号令をかけると、彼らはあっさりと、巨大な螺旋状の塔、エレメンタルスパイアの前にたどり着くことができた。彼らは、すでにその場所への道筋を知っていたのだ。


「種が分かれば、あっけないな!」

アルカが、つまらなさそうに呟いた。彼女は、簡単に目標にたどり着けたことに、どこか不満げな様子だった。


レオン一行が、エレメンタルスパイアの入り口を潜ると、彼らの目の前には、五つの異なる属性の色に輝く階段が伸びていた。


「階段が五つ?」

サクナが不思議そうに周りを見回した。彼女の顔には、戸惑いの色が浮かんでいる。


「光の階段は、ハーベルたちが、すでに攻略済みのようだな!」

レオンは、地面を蹴りつけ、悔しそうに呟いた。ハーベルたちに先を越されたことに、彼の競争心が刺激されたのだ。


「レオン…。」

ミリアが、レオンの手を優しく握った。彼女の慰めの言葉が、彼の苛立ちを和らげる。


「ごめん……。じゃあ、闇の階段を攻略するぞ!」

レオンは、気持ちを切り替え、次の目標を定めた。

「了解!」

全員が顔を見合わせて頷いた。彼らの目には、新たな決意が宿っていた。


「レオン、他の属性はどうなるんだ?」

トリガーが心配そうに尋ねた。光の階段が攻略済みとなると、他の属性のソーサリーエレメントの行方も気になるところだ。


「さあ、分からない……。でも、闇の階段を攻略して頂上のエレメンタルサンクタムへ辿り着けば、分かるはず!」

レオンは、未知への期待を込めて答えた。


「ああ、了解した!」

レオンとトリガーががっしりと手を握り合った。二人の間には、固い信頼が築かれている。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


「なんだ、楽勝だな!」

アルカは、つまらなそうに先を急いだ。彼女は、戦いを心から楽しむタイプだ。


「ハーベルたちの仕業だな!」

彼らが足を踏み入れた闇の階段は、すでに多くの階層が攻略されていた。敵の姿が見当たらないことに、トリガーはハーベルたちの影を感じ取った。


「アイツら、なかなかやるな…。もう、60階層だぞ!」

レオンは、ハーベルたちの実力を認めざるを得なかった。


「そうね…。」

ミリアも同意する。


「ここからが、本番だ!」

レオンは、気合を入れ直した。ここからは、ハーベルたちも苦戦したであろう難関が待ち受けているはずだ。


「分かりました!」

サクナが力強く頷いた。


「なに…。ひたすら殺しまくればいいだけだろ?」

アルカが嬉しそうに言うと、その口元には邪悪な笑みが浮かんでいた。


「その通り!神器もあるし最高だぜ!」

トリガーも楽しそうにアルカに合図した。彼らは、手に入れた新たな力を使って、来るべき戦いを存分に楽しもうとしていた。

次回 魂を穿つ刃~闇を裂く死霊の園~

続きの気になった方は、

ぜひともブックマークをお願いいたします。

リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。

頑張って続きを書いちゃいます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ