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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン6 【六大精霊塔編】(エレメンタルスパイア)

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聖なる再誕~バルトロス降臨~

ただ一ヶ所、塔の頂へと続く階段があるだけだ。


その階段をまるで守護するかのように、ただの光とは形容し難いほどの、燦然と輝く太陽そのものを纏ったような神々しい一体のドラゴンが、悠然と横たわっていた。


それは、まさに最終決戦の地であることを告げる、圧倒的な存在感を放っていた。


「よくぞ、ここまで来たな!我はバルトロス!貴様らの未来を奪うものだ!」

バルトロスは、その巨大な躯体をゆっくりと起こすと、天地を揺るがすような威厳に満ちた声で告げた。


彼の眼光は鋭く、全身から放たれる圧倒的なプレッシャーは、その場にいる者たちの心を深くえぐり取る。


しかし、ハーベルの胸中には、なぜか不思議な親近感が芽生えていた。まるで、遠い昔に出会った旧友のような、あるいは自分と似た魂を持つ存在であるかのような、漠然とした感覚。


それは、彼の「統合」のスキルが、バルトロスの本質を無意識のうちに捉えているからだろうか。


「ハーベル、彼も魂が丸いわ…。」

その親近感に気づいたのか、クラリッサが驚きの表情でハーベルを見つめる。彼女の鋭い洞察力は、バルトロスの威圧的な外見の裏に隠された、純粋な魂の輝きを見抜いていた。


「ああ、絶対に助ける!」

ハーベルの言葉に迷いはなかった。彼の心は、目の前の強大な存在を打ち倒すことよりも、その魂を救うという強い意思に満ちていた。


「でも…。今までの相手とは格が違い過ぎる………。」

クラリッサの声には、絶望にも似た感情がにじみ出ていた。


バルトロスの放つ魔力は、今まで相対してきたどの敵よりも強大であり、勝利への道筋が見えないことに、彼女の心は押し潰されそうになっていた。


「どうしたのかしら?」

そのただならぬ光景を見て、アクシアが心配そうに尋ねる。

彼女の視線は、ハーベルたちのただならぬ雰囲気に注がれていた。


「分からないけど、あのドラゴンを助けたいみたい…。」

ネルは、ハーベルの心境を察したかのように、その不安げな表情のまま彼を見つめた。ハーベルの秘めたる想いが、周囲の仲間たちにも伝播していく。


「そんな余裕はない!ハーベル、しっかりしろ!」

カザキの厳しい声が、迷いの中にあったハーベルを奮い立たせた。戦場の状況は刻一刻と変化しており、感傷に浸る余裕などないことを、彼は身をもって示そうとしていた。


「カザキさん、分かっています!死ぬ気で戦わないといけないことも、バルトロスを助けたい気持ちも!」

ハーベルは自問自答するように、しかし強い決意を込めて呟いた。彼の心の中では、使命感と慈悲の心がせめぎ合っていた。


バルトロスが大きく口を開くと、純白の光の粒が空中で弾け、目も眩むばかりに燦然と輝く六つの巨大な魔法陣が、彼の前方へと展開された。


それらの魔法陣は、まるで意志を持っているかのようにクルクルと回転し、ハーベルたちの周囲を高速で旋回する。

そして、あらゆる方向から、灼熱の光線が雨霰と降り注ぎ始めた。


ハーベルとカザキは、瞬時に反応し、仲間たちを庇いながら、その光線攻撃を紙一重でかわしていく。地面には、光線が掠めるたびに焦げ跡が残り、熱気が立ち上る。


「あんなのに当たったら一瞬で蒸発するぞ!」

カザキが叫んだ瞬間、彼の足元を光線が掠め、地面からジュウー!と音を立てて煙が上がった。その威力は想像を絶する。


「ヤバすぎだろ!、ハーベル!」

フレアもまた、その恐るべき攻撃に恐怖を滲ませながら叫んだ。


「闇:第8上級魔法!アビサル・ヴェール!」

ハーベルは、【神器:シックスセンス】を掲げ、淀みない詠唱を開始する。漆黒のカーテンが、ヒラヒラと回転しながらハーベルのパーティー全体を覆い尽くし、バルトロスが放った光線を次々と吸収していく。闇のヴェールは、光の攻撃を完全に無力化し、仲間たちを守り抜いた。


「闇の精霊に感謝します。闇の恐怖、バルトロスに攻撃を!闇:第8上級魔法!ヴォイド・プリズン!」

ハーベルの防御を機に、クラリッサがすかさず詠唱を始めた。


彼女の魔力が暗黒のオーラを放ち、「シャキーン!」という音と共に、巨大な漆黒の檻がバルトロスを捕えた。それは、闇の力によって編み上げられた、強固な牢獄だった。


「フハハハ…。こんなお粗末な檻で我を閉じ込めたつもりか?」

バルトロスは高笑いをしながらそう言うと、その美しい翼を一羽ばたきさせた。


「バサッ!」と風を切る音と共に、翼の先から放たれた星の輝きが、すべての闇を消し去るかのように闇の檻を完全に崩壊させてしまった。彼の力は、クラリッサの魔法をも凌駕する。


その時、クラリッサはすでにデスサイスを構えたまま、バルトロスの目の前に跳び上がっていた。彼女の動きは電光石火、まるで獲物を狙う死神のようだ。


「シャドウ・リーパーズ!」


デスサイスから放たれた闇魔法が間髪入れずに炸裂する。

無数の漆黒の大鎌が、バルトロスの巨体をあらゆる方向から切り刻んでいった。


「グウォーーーーーー!」という咆哮が響き渡り、さすがのバルトロスも、自身の弱点である闇魔法をもろに浴びて、悶え苦しんでいるようだった。


クラリッサはデスサイスをクルクルと回しながら、さらに追い討ちをかけようとする。


「クラリッサ!待って!」

ネルが思わず叫んだ。ハーベルの「助けたい」という気持ちを汲み取ったのだ。


「ああ、やり過ぎてしまいました……。」

デスサイスが、まるで自我を持っているかのように呟いた。

その言葉は、クラリッサの心にも響いたのだろう、彼女の手が止まる。


ハーベルは素早くバルトロスに近付くと、連続で詠唱を開始した。


「光:第10究極魔法!フェニックス・レストレーション!」

癒しの光がバルトロスを包み込み、彼の傷を急速に回復させていく。さらに、ハーベルは次なる魔法の詠唱に移る。


「リヴェレーション・アルカナム・10!」

彼の頭の中に、古の知識と呪文が洪水のように流れ込む。


「聖なる光に感謝する。星海の彼方より来たりし神威よ、我が意志を奉じ、その姿を顕現せよ!バルトロス!光召喚:第10究極魔法!ホーリー・ソラリス!」


美しく虹色に輝く、複雑な魔法陣がバルトロスの足元に展開され、彼を優しい光で包み込む。その光は、バルトロスの体に宿っていた邪悪な存在を浄化し、彼を消し去るかのように思われた。


•••••••••• 

ハーベル ♂ 【医術師】【ネクロマンサー】【召喚士】

種族:ヒューマン

武器:【神器:シックスセンス】

【神器:金剛の短剣】【神器:金剛の盾】

召喚獣:【ホーリードラゴン】【ペガサス】

【ホーリーウルフ】【ムーンウルフ】

【グリーンスライム】など

魔法属性:全属性

固有スキル:「統合」

「破壊」「精製」「合成」「構築」「解析」「分解」

獲得スキル:「設定」「把握」「毒耐性」「召喚」「魔法陣」「ライブラリー」「分離」「蘇生」「切断」「転写」「怒号」「万華鏡」「反射」「自動回復」「魔法防御」「再生」

光:究極魔法10 神聖:究極魔法10 薬剤:上級魔法8

闇:究極魔法10 虚空:上級魔法9  召喚:究極魔法10 

炎:究極魔法10 黒炎:応用魔法5  解放:究極魔法10

水:究極魔法10 

風:究極魔法10 雷鳴:上級魔法8

土:究極魔法10 再生:応用魔法6

•••••••••• 


魔法陣の輝きが収まると、そこにバルトロスの姿はなかった。


だが、ハーベルは間髪入れずに、再び同じ詠唱を始めた。

「聖なる光に感謝する。星海の彼方より来たりし神威よ、我が意志を奉じ、その姿を顕現せよ!バルトロス!光召喚:第10究極魔法!ホーリー・ソラリス!」


今度は、消え去ったのではなく、清らかな光を纏ったバルトロスが、再びその場に召喚された。彼の眼には、先ほどまでの凶悪な光はなく、どこか戸惑いの色が浮かんでいた。


「我は、何を?」

バルトロスは困惑した表情で、己の身に何が起こったのかを問う。


「ああ、悪魔に意識を支配されて操られていたんだ!」

ハーベルは、優しく、しかしはっきりと告げた。彼の言葉は、バルトロスの心を覆っていた霞を晴らすかのように響いた。


「お主は?」

バルトロスは、目の前の小さな存在に問いかける。


「俺は、ハーベル!ただの人間さ!」

ハーベルは、臆することなく自分の名を名乗った。彼の言葉には、何の虚飾もなく、ただ真実だけがあった。


「人間ごときがこの我を倒せるものか!」

バルトロスは、まだ完全に状況を把握しきれていないのか、威厳を取り繕うように言い放った。


「もちろん、俺一人の力じゃない!たくさんの仲間のおかげだよ!」

ハーベルは、傍らに立つ仲間たちを振り返り、笑顔を見せた。彼の言葉は、単なる強がりではなく、心からの感謝と信頼に満ちていた。


「フハハハ…。面白い奴じゃのお…。我は、お主を気に入ったぞ!ハーベルよ!」

バルトロスは、ハーベルの言葉に満足げに笑った。その笑い声には、どこか以前のような凶悪さはなく、親しみやすさが感じられた。


「俺に力を貸してくれるのか?」

ハーベルは、希望に満ちた眼差しでバルトロスを見つめた。


「ああ、いいだろう!ただし、今のままではお主の力には、なれんのじゃ!」

バルトロスは承諾の意を示したが、すぐに条件を付け加えた。


「どう言うことだ?」

ハーベルは首を傾げた。


「ここに捕えられてから魔力の補給を全く出来ておらぬのだ!我にお主の魔力を分け与えよ!」

バルトロスは、自身の置かれている状況を説明した。彼が本来の力を発揮するためには、魔力の補給が不可欠なのだ。


「分かった。どうすればいい?」

ハーベルは迷うことなく問いかけた。


「簡単なこと…。我の爪に触れるだけだ!」

バルトロスは、その巨大な爪をハーベルの方へと差し出した。


「こうか?」

ハーベルは、バルトロスの大きな爪に手のひらで優しく触れた。すると、まるで生命力が吸い取られるかのように、彼の魔力がどんどんとバルトロスへと流れ込んでいく。


「はあ、はあ、はあ…。終わりか?」

ハーベルは、魔力を半分ほど持っていかれ、息を切らせて問いかけた。


バルトロスは満足そうに舌なめずりをすると、

「ごちそうさま!久しぶりの極上の魔力に我も満足じゃ!」

そう言うと、みるみるバルトロスの体が縮んでいき、あっという間にハーベルの手のひらに乗るほどの小さな姿になってしまった。


その可愛らしい姿に、その場にいた女子たちは目を輝かせた。

「バルちゃん、可愛い!」

手のひらサイズのバルトロスを取り囲んで、女子たちが嬌声を上げ始めた。その愛らしさに、みんなの警戒心はあっという間に解けてしまった。


「私にも触らせて!」

「可愛すぎるでしょ!」

「おお、いい感じだな!」

それぞれが、思い思いにバルトロスに触れようとする。


「お前ら、我をバカにしておるのか!これでも、魔力を吸収した分前よりの強くなっておるのじゃぞ!」

バルトロスは、その小さな体からは想像もつかないような威張った声で叫んだが、その姿とのギャップに、誰も彼を恐れることはなかった。


「じゃぞって、似合わねーぞ!」

フレアは、縮んだバルトロスの頭を撫でながら、茶化すように言った。


「くーーーー!お前ら全員食ってやろうか!」

バルトロスは、口元を歪めて威嚇するが、その仕草さえも可愛らしく見えてしまう。


「バルトロス、それより、悪魔のことを教えてくれ!」

ハーベルは、場の雰囲気を元に戻すように本題に入った。


「いいや、それよりも、頂上にあるエレメンタル・サンクタムへ向かって、ソーサリーエレメントを手にするのが先ではないか?」

バルトロスは、その小さな体とは裏腹に、冷静に諭すように言った。彼の言葉は、彼らが今何をすべきかを明確に示していた。


「そうだな…。ありがとう。バルトロス!」

ハーベルは、素直に感謝の言葉を述べた。


「照れるではないか…。」

バルトロスは、少し頬を赤くして、恥ずかしそうに視線を逸らした。その可愛らしい仕草に、ハーベルたちは改めて、彼がかけがえのない仲間になったことを確信した。


次回 終焉を告げる咆哮~師匠への誓い~

続きの気になった方は、

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リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。

頑張って続きを書いちゃいます!

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