神聖魔法も届かぬ死神~ハーベルたちの新たな試練~
51階層でのハーベルの「解放の書」による無双っぷりに、前衛を務めるはずだったカザキとフレアは「ハーベル、マジでヤバイね…。」「ああ、無双どころじゃないぞ…。」と、少し苛立ちを隠せない様子で小声で話し合っていた。
一行は60階層へ到達すると、そこは余計な装飾は一切ない無機質な空間が広がっていた。
物音一つしない絶対的な静けさが支配し、荘厳で重苦しい空気が漂っていた。
中央付近には、時が刻々と過ぎる大きな砂時計だけがその存在感を増し、訪問者たちの精神に重くのしかかるようだった。
次の瞬間、その砂時計の前に大鎌を携えた死神のようなものがスーッと姿を現す。
漆黒のローブを纏い、目深にかぶったフードで顔を見ることはかなわず、微かに伺える手が白骨死体のそれのようにも見えた。
大鎌をブルンっと一振すると、フードの奥で怪しく目が光ったように見えた。
「デスサイスですね…。」
クラリッサが呟く。
ゴクリ…。
「さすがに、あれは無理だろ…。」
カザキが息を飲んだ。
「ええ、ここは戦うしかありません!」
ハーベルが死神を睨みながら答える。
「じゃあ、いつもの作戦で!」
ネルがパーティー全体に指示を出した。
パーティーが一斉に配置につくと、死神がまたブルンっと大鎌を回した。
ネルとフランが全員に防御魔法と魔力回復をかけてくれた。
「土:第8上級魔法!ヴォルダー・シールド!」
「リフレッシュ!」
「では、俺の神聖魔法を合図に!」
ハーベルがそう言うと、
「了解!」
全員が答えた。
「神聖:第8上級魔法!エリシアン・イルミネーション!」
ハーベルの詠唱で死神の真上から神々しい光が照らし出し、周りには花園が見えるようだった。
しかし、死神には全く効果がないようで微動だにしない。
カザキとフレアは少し躊躇するがそのまま、左右から斬りかかった。
その斬撃は、スッと空を斬りカザキとフレアはお互いを攻撃してしまいそうになって、焦りの表情を浮かべる。
「危ね!」
間一髪でお互いの攻撃を避けるが、デスサイスはまだ微動だにしなかった。
静寂の中、砂時計の砂の落ちる音だけがサラサラと聞こえる。
「物理攻撃無効か!?」
ハーベルも焦りが隠しきれない。
「私にお任せを!」
アクシアが【神器:ディープブルー】を構えると、
「セレスティアル・アローズ!」
神聖な魔法の無数の矢がデスサイスに襲いかかる。
デスサイスは、大鎌をブルン、ブルンと回して、すべての矢を叩き落としてしまった。
「魔法攻撃も効かないの?」
フレアが叫ぶ。
絶体絶命かのように思えたその時、
「ハーベル、クラリッサ、よくデスサイスを見て!」
ノアールが何かに気が付いたように叫んだ。
次回 デスサイスの真実と新たな仲間
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