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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン6 【六大精霊塔編】(エレメンタルスパイア)

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医術師、ハーベル~再生の神業~

「さあ、ここからは真剣勝負だ!」

ハーベルの顔は、完全に昔の医者だった頃の、一切の迷いのない鋭い表情へと戻っていた。彼の瞳には、生命を救う者だけが持つ、強い決意と冷静さが宿っている。


「左腕を確認!1/3は切断するしかないな…。」

ハーベルは自分に言い聞かせるように、重く、しかし揺るぎない声で呟いた。その言葉は、彼自身の覚悟を固めるかのようだった。


「まずは、完全に解毒しないと!」

ハーベルはカザキの全身に向かって詠唱を始めた。

「光:第2見習い魔法!ハイアンチドート!」

カザキの顔に生気が戻り、少し穏やかになったように見える。


さらに、【神器:シックスセンス】を取り出すと、迷いなくアルコールで丹念に消毒する。続いて、カザキの左腕にも惜しみなく大量のアルコールを振りかけた。麻酔が効いているとはいえ、その刺激にカザキの顔が微かに歪む。


ゴクリ…。


ハーベルは軽く息をのむと、一切の躊躇なく、一瞬のうちにカザキの左腕の先を1/3ほど、まるで熟練の職人のように綺麗に切断した。その手際の良さは、彼がどれほどの修羅場をくぐり抜けてきたかを物語っていた。


「先に、化膿がこれ以上進まないようにと…。」

彼は独りごちるように呟くと、間髪入れずに詠唱した。

「薬剤:第4応用魔法!セファリックキュア!」

カザキの左腕の切り口が、まばゆい虹色に輝き、みるみるうちに化膿が引いていく。


「よし!次は、『再生』だ!ここで、ヒスイのスキルが役立つとは、天からの贈り物だな…。」

ハーベルは、その奇跡的な巡り合わせに感謝しながら呟いた。


彼はゆっくりと目を閉じ、過去の記憶を辿りながら、失われた左腕の複雑な構造を鮮明にイメージしていく。


•••••••••

まずは、腕の骨の形状と接合部、そして手のひらから指の先まで、すべての骨を正確に、詳細にイメージして…。

•••••••••


完璧なイメージが脳裏に構築されると、ハーベルは静かに、しかし力強く詠唱を始めた。

「再生:第6応用魔法!ボーン・リジェネレーション!」


ハーベルが詠唱を終えると同時に、カザキの左腕の切断された部分から、みるみるうちに骨が組み上がっていく。まるで、目に見えない職人が巧みに骨の模型を組み立てているかのようだ。


•••••••••

続けて、神経組織と筋肉組織を同時にイメージして…あとは、血管を細部まで正確に、血液の流れまで完璧に再現する…。

•••••••••


再び、緻密なイメージがハーベルの脳裏を駆け巡る。そして、次なる魔法が放たれた。

「再生:第5応用魔法!ヴァイタル・コンフラックス!」


組み上がった骨に沿って、しなやかな筋肉と繊細な神経組織が構築されていく。生命エネルギーが脈打つように流れ込み、一つ一つの細胞が次々と再結合され、失われた組織が形成されていった。


•••••••••

残りは、皮膚だな…。皮下組織…。真皮…。表皮…。表面を覆う、最も外側の層まで完全に再生する…。

•••••••••


仕上げの工程をイメージし終え、最後の詠唱が紡がれる。

「第4応用魔法!スキン・リジェネレーション!」


ハーベルの詠唱によって、カザキの左腕は完全に元通りに「再生」されていた。そこには、毒に爛れた醜い傷跡も、切断された痕跡も一切ない。まるで最初から何もなかったかのように、健康な肌が覆っていた。


「よし、術式完了!」

ハーベルは、達成感に満ちた表情でそう呟くと、カザキの左腕を優しく撫でた。そして、彼の耳元にそっと囁くように言葉をかけた。

「カザキさん、お疲れ様でした…。」



•••••••••• 

ハーベル ♂ 【医術師】【ネクロマンサー】【召喚士】

種族:ヒューマン

武器:【神器:シックスセンス】

【神器:金剛の短剣】【神器:金剛の盾】

召喚獣:【ホーリーウルフ】【ムーンウルフ】

【グリーンスライム】など

魔法属性:全属性

固有スキル:「統合」

「破壊」「精製」「合成」「構築」「解析」「分解」

獲得スキル:「設定」「把握」「毒耐性」「召喚」「魔法陣」「ライブラリー」「分離」「蘇生」「切断」「転写」「怒号」「万華鏡」「反射」「自動回復」「魔法防御」「再生」

光:究極魔法10  神聖:上級魔法7  薬剤:上級魔法7

闇:究極魔法10  虚空:上級魔法9  召喚:上級魔法7

炎:上級魔法8   黒炎:応用魔法5  解放:上級魔法7

水:上級魔法9

風:究極魔法10  雷鳴:上級魔法8

土:上級魔法9   再生:応用魔法6

•••••••••• 


ハーベルは、カザキに毛布を優しくかけると、静かに部屋のドアを開けた。そこには、カザキの安否を案じる仲間たちが、心配そうに彼を見つめていた。


「ハーベル……。」

みんなが、祈るような眼差しで彼に注目する。


「無事手術は終わったよ!」

ハーベルがそう告げると、安堵の空気が部屋に満ちる。


「手術とは、何ですの?」

アクシアが、聞き慣れない言葉に首を傾げながら不思議そうに尋ねた。


「ああ…。無事治療が済んだよってことです…。」

ハーベルは、少し苦笑いを浮かべて言い直した。この世界では、「手術」という概念が一般的ではないのだ。


「ああ、よかったですわ!」

アクシアもようやく安心した様子で、胸を撫で下ろした。


「ハーベル!よかった!」

「ハーベル!ありがとう!」

ネルとクラリッサが、喜びを爆発させるかのようにハーベルの腕に飛び付いた。その笑顔は、彼への深い信頼と感謝に満ちている。


「カザキさん、寝てるね…。」

ノアールが、ベッドに飛び乗るように駆け寄り、カザキを心配そうに覗き込んだ。


「カザキさんの左腕は…。」

フランが悲しげに呟いた。彼女は、カザキがもう剣を握れないのではないかと案じているようだった。


「ああ、この先、剣が握れないのか…?」

フレアもまた、心配そうにハーベルに詰め寄った。


「いや、左腕は無事だよ!剣もすぐに握れるはずさ!」

ハーベルが優しく、そして力強く言った。


その言葉に、ネルとクラリッサが顔を見合わせた。

「ええ?」

「あの状態から!?」

彼らには、信じられないことだった。


「みんな、見て!」

その時、ノアールがカザキの毛布をめくりながら興奮した声で叫んだ。


そこには、毒に爛れていたはずのカザキの左腕が、まるで何もなかったかのように、完璧に再生されていた。滑らかな皮膚、正常な形。一糸乱れぬその姿に、一同は息をのむ。


「信じられない……。」

クラリッサが、目の前の光景を理解できないかのように、カザキの左腕をまじまじと見つめた。


「ああ、ヒスイの『再生』スキルのおかげだよ!」

ハーベルが嬉しそうに言った。彼の表情は、仲間を救えた喜びで輝いている。


「それにしても、腕が完全に治るなんて……。神業!?」

ネルが感嘆の声を上げた。それは、ハーベルの成し遂げた偉業に対する、純粋な驚きと尊敬の念だった。


その場の全員が、ハーベルの類稀なる医術と、その偉大さに感服していた。彼の才能と献身が、絶望的な状況を覆した瞬間だった。

次回 傷つきし剣士と、癒やしの手~カザキ再起の誓い~

続きの気になった方は、

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頑張って続きを書いちゃいます!

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