表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン6 【六大精霊塔編】(エレメンタルスパイア)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

147/201

再会、そして新たな絆~ウルンとカミナの物語~

魔法陣を展開しようとするムーンウルフに対し、ハーベルの力強い声が響き渡る。


「そうはさせない!」

ハーベルはムーンウルフへ急速に接近し、詠唱を開始する。


「光:第5応用魔法!ルミナス・ヴェール!」

ハーベルの言葉と共に、優しい光がムーンウルフをそよ風に吹かれるカーテンのように包み込んだ。


その光は、まるで魂を浄化するかのように、ムーンウルフを覆っていたどす黒いオーラを洗い流していく。光に包まれたムーンウルフの表情は、次第に安らぎを取り戻し、その身に宿る闇の力も弱体化していった。


意識が朦朧とするムーンウルフに、ウルンは必死に呼びかける。

「お前…。我だ!しっかりしろ!」

しかし、ムーンウルフの口からはうめき声しか漏れない。


ウルンは言葉を続ける。

あるじと一緒に助けに来た!」

その声に反応したのか、ムーンウルフは苦痛に満ちた叫びを上げた。

「うぉ…うわーー!」


ハーベルは問いかけた。

「どうだ?ウルン…。」

ウルンは力なく首を振る。

「我でも難しいようです…。」


最後の望みとしてウルンに説得を試みてもらったが、それでもムーンウルフは闇の支配から完全に解放されないようだった。


その時、ハーベルが何か閃いたように、ウルンの首元を指差して尋ねた。

「ウルン、その魔昌石は?」

ウルンは自分の首飾りの魔昌石に触れながら答える。

「これは、我らが捕まる直前に拾ったもの!」


ハーベルは確信に満ちた表情で叫んだ。

「それだ!それを目の前に!」

ウルンは迷わず首から魔昌石を外し、ムーンウルフの目の前に放り投げた。すると、ムーンウルフは突如として激しい苦痛にもがき始めた。


「許せ!神聖:第7上級魔法!ラディアント・エクソシズム!」

ハーベルの詠唱と共に、もがき苦しむムーンウルフの上に、全てを浄化する聖なる雨が降り注いだ。


その雨は、ムーンウルフの内に深く根付いていた哀愁と憎悪の念を、一つ残らず洗い流していく。浄化の雨を受け、ムーンウルフはぐったりと気絶した。


ハーベルは間髪入れずにムーンウルフに手をかざし、最後の魔法を放つ。


「光:第10究極魔法!フェニックス・レストレーション!」

慈愛に満ちた光がムーンウルフを包み込み、その肉体を癒していく。


ムーンウルフがゆっくりと目を開けると、ハーベルは優しく語りかけた。

「手荒なことをしてすまない…。お前の旦那もいるぞ!」

ウルンは目に涙を浮かべながら、目覚めたムーンウルフに駆け寄る。


「お前…。目が覚めたか…。」

ムーンウルフはぼんやりとした様子で呟いた。

「ああ……。私は何を…?」


ウルンは喜びを噛み締めながら説明する。

「お前は、あの悪魔に操られていたんだ。だが、あるじに助けていただいたのだ!」

ムーンウルフは自分の置かれた状況を理解し、深々と頭を下げた。

「そうでしたか…。失礼しました…。」


ハーベルはにこやかに答える。

「いいや、大丈夫だよ!」

ムーンウルフは今後のことを尋ねた。

「私はどうすればいいのですか?」

ウルンは力強く言った。

あるじの言うことをよく聞くんだ!」

ムーンウルフは素直に答えた。

「分かりました…。」


ハーベルはムーンウルフに、新たな提案を持ちかけた。

「俺と契約して、召喚獣になって欲しい。そうすれば、お前をここから解放してやれる!」

ムーンウルフは躊躇なく答えた。

「主様、よろしくお願いいたします。」

ハーベルの「よし、契約成立だ!」という叫び声と共に、ムーンウルフの真上には紫に輝く文字の魔法陣が浮かび上がった。


そして、その瞬間、新たな呪文がハーベルの頭に流れ込んできた。


ハーベルは流れるように呪文を詠唱する。

「闇の精霊に感謝します。深淵の影、月光の従者、ムーンウルフよ、この地に降臨せよ!闇召喚:第7上級魔法!ルナティック・ハウル!」


ハーベルはすかさず、現れた魔法陣を医術書に書き写し、同時に呪文も記録していった。


「これで、お互いも話ができるんじゃないか?」

ハーベルがそう問いかけると、ウルンとムーンウルフは涙を流しながら再会を喜び合った。


ウルンは「主よ、感謝します!」と、ムーンウルフは「本当に、ありがとうございます!」と、それぞれ感謝の言葉を述べた。


ハーベルは少し寂しそうな表情で尋ねた。

「ウルン、どうする?このままお前たちを解放して元の山へ返すこともできるが?」

ウルンとムーンウルフは顔を見合わせて話し合った後、ムーンウルフがハーベルに懇願するように言った。

「二人で話し合いましたが、このまま主様の力になりたいと思います!」


ハーベルは確認するように問いかけた。

「本当にいいのか?」

二匹は力強く「はい!」と答え、ウルンは「主よ、よろしくお頼み申す!」と続けた。

心なしか、二匹は微笑んでいるように見えた。


ハーベルは連続詠唱で二匹を呼び出した。


「光の精霊に感謝します。浄化の守護者、ホーリーウルフよ、この地に降臨せよ!光召喚:第7上級魔法!セレスティアル・ハウル!」


「闇の精霊に感謝します。深淵の影、月光の従者、ムーンウルフよ、この地に降臨せよ!闇召喚:第7上級魔法!ルナティック・ハウル!」


二つの、光と闇の魔法陣が同時に展開され、そこからゆっくりと二匹の狼が姿を現した。


突然の二体同時召喚に、フレアが驚いて叫んだ。

「ああ、ビックリした!」

ノアールとクラリッサも口をあんぐり開け、目を丸くして驚愕する。

「ええ、二体同時に?」

「どうなって…いるの?」

アクシアはネルと抱き合いながら、困惑した様子で呟いた。

「うーん…。どうなっているんでしょう?」


そんな中、ネルはハーベルの偉業に感嘆の声を漏らした。

「ハーベル…。凄すぎ!」


ハーベルは、召喚されたウルンとムーンウルフを自分の横に座らせ、その頭を優しく撫でていた。


カザキがみんなに尋ねた。

「奥さんの名前は?」

ネルが提案するように言った。

「うーん…。女の子だからウルルンは?」

しかしフレアは「分かりにくいだろ!」と即座に却下した。


アクシアが新たな名前を提案する。

「じゃあ、カミナなんてどうでしょうか?」

その提案に、ムーンウルフは嬉しそうに言った。

「私は、それが気に入りました!」


ハーベルはウルンとカミナの美しい毛並みを撫で、頬を寄せて優しく語りかけた。

「これからよろしくな!ウルンとカミナ!」


一行は、一度家へ戻り、カミナから詳しい話を聞くことになった。


次回 悪魔サリエルの支配~魂の真実を求めて~

続きの気になった方は、

ぜひともブックマークをお願いいたします。

リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。

頑張って続きを書いちゃいます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ