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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン6 【六大精霊塔編】(エレメンタルスパイア)

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聖獣王、ホーリーウルフ~光輝なる盟約~

ハーベルが朝早くに目を覚まし、窓を開けて外の新鮮な空気をいっぱいに吸い込んだ。あたりはまだ朝霧に包まれているが、心地よい風が吹き抜け、清々しい朝だった。


「はあ……。いい空気だ!なんか、良いことがありそうな気がする!」

ハーベルは大きく両手を広げながら、満面の笑みで呟いた。彼の心は、この清らかな空気に満たされていくようだった。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


「次が、40階層のボスだ!」

ハーベルが、皆に声をかけた。彼らの前には、次の試練が待ち構えている。


「ホーリーウルフ…。強敵よ!」

クラリッサが、その名を聞いて警戒するように言った。彼女の表情には、相手の強大さへの警戒と、わずかな緊張が浮かんでいる。


「ハーベル、こいつはどうだ?」

カザキが、ハーベルに意図を確認するように尋ねた。

「はい、お願いします!なるべく、傷つけずに!」

ハーベルは、ホーリーウルフを傷つけたくないという強い願いを込めてお願いした。彼の慈悲深い心が表れている。


彼らの目の前には、黄金に輝く、一頭の非常に美しい毛並みを持つ狼が静かに佇んでいた。その姿は、荘厳で、まるで王者の風格さえ感じさせるほどだった。


ホーリーウルフの周囲には、光の膜のような結界が張られており、近づく者を拒むように輝いている。


「まずは、私が!」

クラリッサが、手にした【邪神の杖】を掲げた。彼女の瞳には、自信が宿っている。


「闇の精霊に感謝します。闇の恐怖、ホーリーウルフに攻撃を!闇:第7上級魔法!シャドウ・ウルフ!」

クラリッサの前方に、影でできた狼たちが5頭現れると、ホーリーウルフに一斉に飛びかかった。


しかし、ホーリーウルフは片手で軽く払うだけで、影の狼たちはまるで存在しなかったかのように、簡単に消滅してしまった。


「瞬殺……。」

カザキが、その圧倒的な力に驚愕し、思わず呟いた。


「次は、私が!」

アクシアは、手にした【神器;ディープブルー】から、無数の水流の矢を放った。その矢は、まるで生きているかのように、ホーリーウルフめがけて飛んでいく。


ワォーーーーーーン!


ホーリーウルフは、遠吠えを上げた。その遠吠えと共に、周囲の結界が虹色に眩く光り出し、アクシアの放った水流の矢をことごとく消し去っていった。何本かはホーリーウルフを直撃したが、その傷は、まるで幻のようにスーッと消えてしまった。


「マジか…。反則だろ!」

カザキが、その尋常ならざる回復力と防御力に驚きの声を上げた。


「あれは、自動回復魔法と魔法防御の結界です!」

クラリッサが、その結界の正体を叫んだ。その情報は、彼らにとって大きなヒントとなる。


「強いな…。でも、結界から出たら効果はないんだろ?」

ハーベルが、その可能性に気づき、尋ねた。

「おそらく…。」

クラリッサが、自信なさげに答えた。確証はないが、それが唯一の攻略法かもしれない。


「いい手があります!」

ネルが、皆に提案した。彼女の顔には、確信的な笑みが浮かんでいる。


「なるほど、その手で行くか!」

カザキとフレアは、ネルの提案を聞くと、素早く左右に分かれ、剣撃だけで結界内に飛び込み、ホーリーウルフに斬りかかった。


ネルの提案とは、魔法を使わない「物理的な攻撃」ならば、結界を貫通するのではないかというものだった。


ホーリーウルフは、物理攻撃に対しては弱かったが、それでも自動回復魔法によって傷はみるみる回復していく。しかし、カザキとフレアは構わず斬りかかり続けた。彼らの猛攻が、ホーリーウルフの回復速度を上回ろうとしていた。


「今だ!」

二人がハーベルに声をかけた。その声は、連携のタイミングを知らせる合図だった。


「虚空:第7上級魔法!ヴォイド・バニッシャー!」

ハーベルの左手に光の塊が、右手に闇の塊が現れると、彼は身体の前方で二つの塊を叩き合わせた。光と闇が混ざり合い、渦のようにどんどんと広がっていく。その渦は、ホーリーウルフの結界を飲み込むように広がり、結界を「無」へと還してしまった。


ゴクリ…。


「すげえ……。」

カザキが、その圧倒的な威力に息を飲んだ。彼の顔には、驚愕と、そしてハーベルへの畏敬の念が浮かんでいた。


ハーベルは、さらに詠唱を続ける。

「虚空:第9上級魔法!エクリプス・アルカナム!」

無防備になったホーリーウルフの上に、まるで太陽のような巨大な光が輝き、ホーリーウルフを包み込んだ。その光を、闇が食らうようにどんどんと消し去っていき、ホーリーウルフの生命力を極限まで削っていった。


「怖すぎ…。」

フレアが、その光景を見て震えた。ハーベルの放つ魔法の威力は、仲間たちをも圧倒するほどだった。


ホーリーウルフは、その場で力尽きたように倒れ込み、虫の息だった。その美しい毛並みは汚れ、覇気が失われている。


「すまない…。やり過ぎた!」

ハーベルは、その様子を見て素早くホーリーウルフに近づき、手をかざした。

「光:第10究極魔法!フェニックス・レストレーション!」

ハーベルの掌から、まばゆい光が放たれ、ホーリーウルフの傷をみるみるうちに回復させていく。その光は、生命力を吹き込むかのように輝いていた。


「うう、我は……。どうなったのだ……。」

ホーリーウルフは、意識が朦朧としたまま、ハーベルに呟いた。

「ホーリーウルフ…。すまない、やり過ぎてしまった。別に戦いたい訳じゃないんだ!」

ハーベルは、ホーリーウルフの頭を優しく撫でながら、心からの言葉をかけた。


「お主は…?」

ホーリーウルフは、ハーベルの優しさに戸惑いながら尋ねた。

「俺は、ハーベル!人間だ…。」

ハーベルは、自分の名を告げた。


「人間で…。このような強さと魔力を持つ者がおるとは驚きだな……。」

ホーリーウルフは、その言葉に少し嬉しそうな表情を見せた。


ハーベルの力に、畏敬の念を抱いたようだった。

「俺の仲間になってもらえないか?」

ハーベルは、お願いするようにホーリーウルフに尋ねた。


「なぜ……。命令しない!」

ホーリーウルフは、ハーベルの態度に不思議そうに問いかけた。通常、力を示す者は命令するものだからだ。

「俺は、無理やり道具のように使うのは嫌いだ…。できれば、お前の意思で仲間になってほしい……。」

ハーベルは、偽りのない気持ちを伝え、手を差し出した。彼の言葉には、ホーリーウルフへの深い敬意が込められている。


「フ……。フハハハハ………!」

ホーリーウルフは、ハーベルの言葉に心底嬉しそうに笑った。その笑い声は、彼の心がハーベルの言葉に触発されたことを示していた。


「お主……。気に入った!我の主人になってはくれまいか!」

ホーリーウルフは、ハーベルの差し出した手を取り、自ら仲間になることを申し出た。

「ああ、ホーリーウルフ…。よろしく!」

ハーベルは、ホーリーウルフの言葉に喜び、その頭を優しく撫でた。すると、彼の頭の中に、一つの呪文が流れ込んできた。


ハーベルの脳裏に響く呪文

「光の精霊に感謝します。浄化の守護者、ホーリーウルフよ、この地に降臨せよ!光召喚:第7上級魔法!セレスティアル・ハウル!」


「ハーベル、その呪文を覚えておいて!」

ノアールが、その呪文を忘れないようにと叫んだ。

「分かった!」

ハーベルは、力強く答えた。彼の記憶力は、医術師として培われたものだ。


さらに、ホーリーウルフの上に、光の文字でできた魔法陣がゆっくりと写し出された。

「ハーベル、その魔法陣を描き写して!」

ノアールが、再び指示を出した。


••••••••••

結構、厄介だが、伊達に医学部を卒業した訳じゃないんだ。記憶力には自信がある!ここは、「切断」スキルで魔法陣を切り取り、「転写」スキルで何かに写しておこう!そう言えば、医術書があったな……。

••••••••••


ハーベルは、素早く「切断」スキルを発動し、空中に浮かぶ魔法陣を切り取ると、自身の医術書のページにその魔法陣を貼り付けた。さらに、先ほどの詠唱も正確に書き留めておいた。


••••••••••

ハーベル ♂ 【医術師】【ネクロマンサー】【召喚士】

種族:ヒューマン

武器:【シックスセンス】【神器:金剛の短剣】【神器:金剛の盾】

召喚獣:【ホーリーウルフ】

魔法属性:全属性

固有スキル:「統合」「破壊」「精製」「合成」「構築」「解析」「分解」

獲得スキル:「設定」「把握」「毒耐性」「召喚」「魔法陣」「ライブラリー」「分離」「蘇生」「切断」「転写」「怒号」「万華鏡」「反射」「自動回復」「魔法防御」

光:究極魔法10 神聖:上級魔法7 薬剤:上級魔法7

闇:究極魔法10 虚空:上級魔法9 召喚:上級魔法7 

炎:上級魔法8  黒炎:応用魔法5

水:上級魔法9

風:究極魔法10  雷鳴:上級魔法8

土:上級魔法9

••••••••••


すると、ホーリーウルフの上にあった魔法陣がゆっくりと下降し始め、ホーリーウルフをどこかへ消し去ってしまった。それは、召喚獣としてハーベルの元へと帰還したことを意味する。


「ハーベル、一度「召喚」してみたら?」

ノアールが優しく言った。

「オッケー!」

ハーベルは、快活に返事をした。

「ハーベルのオッケーが出ましたわ!」

アクシアが、楽しそうにハーベルの言葉を真似た。


ハーベルは頭の中で魔法陣を思い浮かべながら、覚えたばかりの呪文を唱えた。

「光の精霊に感謝します。浄化の守護者、ホーリーウルフよ、この地に降臨せよ!光召喚:第7上級魔法!セレスティアル・ハウル!」

空中に美しく光る文字でできた魔法陣が現れると、ゆっくりと下降し始め、その中から再びホーリーウルフが姿を現した。


ウァオーーーン!


あるじよ!我に名を与えたまえ!」

ホーリーウルフは、ハーベルにその身を捧げるかのように、名を求めた。

「ああ……。名前か!」

ハーベルは、その言葉に楽しそうにホーリーウルフと話し始めた。彼は、自分の召喚獣に名前をつけることを心から楽しんでいた。


「おい…。ノアールの言ってた話と違うくないか?」

カザキが、その光景を見て困惑したように呟いた。

「そうよ…。魔法陣を用意するのに時間がかかるんじゃ?」

アクシアも、その予期せぬ展開に戸惑いを隠せない。

「それに、あんな上級の魔物を一人で召喚できるものなのか?」

フレアも疑問を口にする。

「そうですよね?」

「分からない……。」

ノアールもまた、ハーベルの行動に驚きを隠せない様子だった。

彼の知識と経験からは、ハーベルの現状は説明がつかなかったのだ…。


「しかも、召喚中は常に魔力が消費され続けるから、そんなに長くは持たないはずなんだけど……。」

クラリッサも、ハーベルの魔力消費の少なさに驚いていた。


「楽しそうに話してるぞ?」

彼らの目の前では、ハーベルがホーリーウルフと楽しそうに会話を続けている。


「うーん…。不思議…。」

クラリッサは、その光景に首を傾げた。


「みんな、ホーリーウルフの名前は何がいいかな?」

ハーベルが、皆に楽しそうに尋ねた。

「ウルルンは?」

ネルが提案した。

「でも、雄だよ?」

ハーベルが首を傾げた。ウルルンという響きは、可愛らしい印象を与える。


「じゃあ、ウルンはどうでしょうか?」

今度はアクシアが提案した。

「おお、我はその名が気に入りました!」

ホーリーウルフが、その名に喜び、嬉しそうに言った。


「ウルン!よろしくな!」

ハーベルは、新しい仲間「ウルン」に笑顔で語りかけた。

あるじよ!よろしくお頼み申す!」

ウルンは、ハーベルの横に座り込み、その頭にすりすりと甘えるように頭をこすりつけた。


ハーベルは、満足そうにウルンの頭を撫でていた。彼の心は、新たな仲間を得た喜びで満たされているようだった。


次回 アクシア覚醒!~聖獣王の願いと闇の階段~

続きの気になった方は、

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リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。

頑張って続きを書いちゃいます!

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