星降る夜の終焉 ~砕かれた絆と残された絶望~
レオンたちには、もはや為す術がなかった。圧倒的な力の前に、彼らはただ立ち尽くすしかなかったのだ。
「どうせ最後は、ミリアの白昼夢頼りでしょう!」
メルギドは、全てを見透かしたように冷酷に言い放った。その言葉は、レオンたちの最後の希望を打ち砕くようだった。
「うう…。完全にバレてる…。」
アルカは、メルギドの洞察力に舌打ちをし、歯を食い縛った。
次の瞬間、メルギドは信じられないほどの速さで移動し、ミリアの正面から「金属魔法陣」で錬成した鋭い剣で斬りかかった。
ズバッ………。
「ぐっは……。」
咄嗟にミリアを庇おうとしたレオンは、彼女を抱きしめたまま動けず、メルギドの剣撃を背中で受け止めた。
辛うじて「岩石魔法陣」で防御したものの、衝撃は大きかった。
「レオン……。」
メルギドは、レオンが身を挺してミリアを守ったことに、一瞬驚いたような表情を見せた。
「ミリア…。行くぞ!」
レオンは、苦痛に顔を歪めながらも呟くと、ミリアを強く抱き締めたまま、「空間魔法陣」でメルギドの後方へと移動した。
そのまま、レオンは体勢を崩したメルギドを羽交い締めにすると、
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
次の瞬間、レオンとミリアは、フィラルティア公国の夜空に放り出されていた。
満月が二人を静かに照らす中、空中で静止したレオンは、下方を見下ろしながら言った。
「メルギド博士…。今までありがとうございました!」
そして、そのまま拘束していたメルギドを勢いよく突き落とした。
「相変わらず、バカですね!」
落下していくメルギドの声が響いた。
「なんだと!」
メルギドは、落下しながらも冷静に言い放った。
「私も『空間魔法陣』を使えるのですよ!」
そう言うと、彼は一瞬で二人の真上へと移動した。
「死になさい!」
メルギドはさらに、「締縄魔法陣」を発動させ、縄でレオンたちを縛り上げると、そのまま首を締め付けた。
レオンをミノムシのように宙吊りにしたまま、メルギドは、捕らえたミリアの首を締め付けながら、遠心力を利用して上空へと勢いよく放り投げた。
「ギャーーーーーー!」
そして、冷酷にもメルギドは「金属魔法陣」で無数の鋭い針を錬成し、放り投げられた無防備なミリアを、まるで獲物を串刺しにするかのように貫いてしまった。
「嘘だーーーー!ミリアーーーー!」
レオンの全てを切り裂くような悲痛な叫びが響き渡った。
「あああああ……。ミリア…。ミリア!」
レオンは、半狂乱になりそうな声で、愛する者の名を叫び続けた。
「安心しなさい、すぐに後を追わせて差し上げます!」
メルギドは、冷酷な笑みを浮かべると、そのまま急降下し、凄まじい勢いでレオンを地面へと叩きつけた。
「ぐへ…。ぐっは……。」
激しい衝撃で、レオンは全身から血を流し、苦しそうに血反吐を吐いた。
メルギドは、満足そうにその痛ましい姿を見下ろしてニヤリと笑った。
「身の程を知りなさい!」
グサッ…………。
次の瞬間、メルギドの錬成した剣が、躊躇なくレオンの心臓を貫いていた。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
メルギドが「空間魔法陣」で瞬時に、高等部の旧校舎付近へ戻ってみると、そこには目を覆うばかりの惨状が広がっていた。
トリガーたちは、巨大なアイアンゴーレムの圧倒的な力によって、無残にも押し潰されていた。原型をとどめないその姿は、激しい戦いの痕跡を物語っていた。
サクナは、その悲劇的な光景をただ茫然と見つめ、涙を流すことしかできなかった。仲間たちの死を目の当たりにし、彼女の心は深く傷ついていた。
メルギドは、ゆっくりとサクナに近づき、冷酷な笑みを浮かべながら剣を振り上げた。
「サクナ…。に…逃げて!」
満身創痍のアルカが、辛うじて意識を保ち、震える手をサクナに向かって伸ばしながら、絞り出すような声で叫んだ。
「アルカ…。アルカ…!」
サクナも、姉の身を案じ、涙ながらに叫び返した。
その時、アイアンゴーレムの巨大な腕が振り上げられた。
ドサッ………。
鈍い音と共に、アルカの頭部は、まるで熟れたスイカが潰れるかのように、無残な姿を晒した。
「アルカーーーー!」
サクナは、悲痛な絶叫を上げながら、血塗られたアルカの元へ這いつくばって行こうとした…。
メルギドは、狂気を宿したような異様な笑顔で、サクナに問いかけた。
「お前の、『魅了魔法陣』ごときでは、どうしようもないでしょう?」
そして、彼女がアルカに気を取られている隙をつき、躊躇なくその背中から心臓を一突きにした。
「アルカ………。」
サクナの瞳から、ゆっくりと光が消えていった。
彼女の最後の言葉は、愛する姉の名だった。
次回 悪夢の終焉と希望の芽生え ~自由への翼~
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