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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン5 【魔刻印者編】(逆襲)
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眠り姫の真実 ~魔法陣使いとの訣別 ~

エリスはミリアに向かって静かに言った。

「ミリア、少し離れて見ていなさい!」

ミリアはわずかに躊躇したものの、「分かりました」と答え、エリスの少し後ろへと下がった。


その目は、複雑な感情を宿してエリスだけを見つめていた。


「ラディアント・バラージ!」

エリスはさらに魔法を紡ぎ、その周囲には先ほどよりも遥かに多い、無数の魔法陣が瞬時に展開された。


魔法陣が輝きを増すと同時に、そこから雨あられとばかりに無数の光の矢が放たれ、レオンたちに向かって襲い掛かった。


その猛攻に対し、トリガーは即座に反応し、「防御魔法陣!」と叫びながら、蒼い光のバリアを瞬時に展開、全員を覆い守った。


「トリガー、助かった!」

レオンは背後を振り返らずに感謝の意を示した。


「おう!」

トリガーは短く応え、バリアの維持に集中した。


「トリガー、このまま援護を頼む!」

「任された!」

トリガーは頷くと同時に、「砲弾魔法陣」を展開し、そこから漆黒のアサルトライフルを取り出した。そして、容赦なくエリス目掛けて銃弾の雨を降らせ始めた。


エリスは冷静に杖を軽く振るい、自身の周囲に透明な魔法防御を展開し、銃弾を弾き返した。


その銃撃の隙をついて、レオンとアルカは連携して動いた。

二人はエリスの左右に分かれ、同時に間合いを詰めて襲いかかった。


アルカの操る「蛇鞭魔法陣」から、まるで生きているかのようにうねる、蛇の顔を持つ漆黒の鞭が伸び、エリスを絡め取ろうとする。その異様な形状に、エリスは一瞬眉をひそめた。


「何ですか…。この気持ちが悪いものは!」

蛇の鞭は素早くエリスの動きを拘束し始めた。


その隙を逃さず、レオンは一瞬でエリスに肉薄し、冷たい刃をその白皙の首筋へと突きつけた。


絶対的な危機を前にしても、エリスは余裕の笑みを浮かべた。

「私を殺せるのですか?もし私に何かあれば、ミリアも無事では済まないでしょうね!」

彼女の言葉には、勝利を確信する響きがあった。


「うう、幻覚か…。」

エリスの言葉に呼応するように、レオンは一瞬意識が揺らぎ、目の前のエリスの姿が歪んで見えた。

彼はわずかにふらつき、困惑の色を浮かべた。


「ああ、くそ、捕まえられてないだと!」

アルカもまた、鞭で拘束したはずのエリスに実体がないような感触を覚え、苛立ちを露わにした。


その直後、エリスは高速でレオンたちの周囲を旋回し始め、まるで蜃気楼のように三体の分身を作り出した。


それぞれの分身が、黄金に輝く杖【アウレリアンテンペストフレア】を天に掲げた。


すると、その杖は光、炎、風の三種の杖に分裂し、それぞれのエリスが異なる杖を構えた。


凄まじいまでの魔力がそれぞれの杖の先から放出され、三人のエリスは同時に詠唱を開始した。


「ブレイズ!」

「クイーバー!」

「ルミナス!」


そして、三つの詠唱が重なり合った。

「ブレイズ・クイーバー・ルミナス!」


トリガーが展開していた防御バリアは、既に複合魔法の奔流の前に消し飛んでいた。


三属性の複合魔法は、虹色に輝く巨大な龍の形を成して天へと昇り、信じられないほどの速度でレオンたちを直撃した。


「キャーーーー!」


悲鳴にも似た叫びが響き渡ると同時に、虹色の龍は地面を抉るように激突し、巨大なクレーターを作り出した。しかし、その爆心地には、レオンたちの姿は影も形もなかった……。


辺りは深い静寂に包まれ、エリスの作り出した分身たちは、静かに元の姿へと戻っていった。


「こんなもんですか……?」

エリスは勝利を確信したように、静かに呟いた。


その瞬間だった。

「今よ!」

ミリアの鋭い叫びが静寂を切り裂いた。


どこからともなく、レオンとアルカが姿を現した。

アルカの「蛇鞭魔法陣」が、元の姿に戻る一瞬のエリスを捉えた。今度は確かに、鞭がエリスの実体を捕らえた感触があった。


「さすがに、この瞬間は実体だろ!」

トリガーが安堵したように叫んだ。


レオンはミリアと目を合わせ、自信に満ちた笑みを浮かべた。

「今だ!」

ミリアは頷き、間髪入れずに「白昼夢魔法陣」を素早く発動させた。淡い光がエリスを包み込む。


「ああ……。ミリア……。」

エリスは悲しそうな、どこか諦めたような表情を浮かべ、ゆっくりと意識を失い、眠りに落ちた。


「ミリア…。起きて!」

心配そうにサクナがミリアの肩を優しく揺さぶった。


「リセ!」

レオンが声をかけると、リセは即座に反応した。

「あいよ!」

そして、眠り込んだエリスを素早く「布陣魔法陣」で包み込み、小さな繭のような形状にしてミリアに手渡した。


「ああ、自由だよ!」

ミリアは安堵の表情を浮かべ、レオンに飛びついてキスを交わした。


一同は、その微笑ましい光景を温かく見守っていた。


キスを終えたミリアは、どこかホッとした表情で言った。

「エリスは、かなり厄介なお人なので、先に処理ができてよかったです。」

「処理って…。」

その言葉の重みに、みんなは思わず苦笑いを浮かべた。


サクナは、少し寂しそうな表情で呟いた。

「今回も、私は何もできなかった…。」

レオンはサクナの肩をポンと叩き、励ますように言った。


「サクナ…。君は男性相手のときが一番役に立つんだ。これからに期待してるよ!」

レオンの言葉に、サクナは照れたように、しかし嬉しそうに微笑んだ。

次回 アズール王国潜入 ~奪われた自由のために~

続きの気になった方は、

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リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。

頑張って続きを書いちゃいます!

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