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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン5 【魔刻印者編】(逆襲)
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救出の序曲~密かなる共闘~

レオンは人気のない自室の床に座り、深く瞑想していた。


意識を研ぎ澄ませ、精神を内へと深く沈めていく。

任務のない静かな時間、彼の思考は常に一つの目標に向かっていた――ミリアを、あの忌まわしい場所から救い出す方法を。


幾度となく頭の中で繰り返される救出劇のシミュレーション。敵の配置、警備の抜け穴、自身の能力と仲間の力を最大限に活かすための緻密な計画。その青写真は、着々と彼の心の中で完成に近づいていた。


その静寂を破るように、突如、レオンの脳内に直接響く、鋭く焦った声が割り込んできた。


「レオン!」

「うわ!」

鍛え抜かれたレオンといえども、予期せぬ通信に小さく肩を跳ねさせた。


「急になんだよ!」

「ごめんなさい……。急いで知らせたくって!」

声の主は、獣人のリセだった。耳に刻まれた音魔法陣を通じた緊急連絡だった。


「リセ……。いいんだ。続けて!」

「うん、以前話したサンゴルドの姉妹の件で、新しい情報が入ったんだ!」

リセの声は、普段の明るさとは裏腹に、深刻な響きを帯びていた。


「ああ……。」

「あれから、別の任務でサンゴルド帝国に行く機会があって、少し気になってサクナたちのことを調べたんだ。そしたら……どうも、とんでもなく酷いマスターにこき使われていて、想像以上に酷い扱いを受けているみたいなんだよ!」

リセの言葉の端々には、過去の自分自身を重ねているような痛みが滲んでいた。


「【MACOK】なら、みんな似たような境遇だろ?」

レオンの言葉は突き放しているようだが、その奥には同じ組織に身を置く者としての共感があった。


「そうなんだけど……。サクナは、アルカに比べて心が脆いみたいで……このまま放置したら、自分で自分の命を絶ってしまうかもしれない……。」

リセの声が、わずかに震えた。


「そう言うことか……。そんなに追い詰められているのか……。急がないと……。」

レオンの瞳の色が、一瞬鋭さを増した。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


レオンは、耳の音魔方陣に低い声で呼びかけた。

「おい、トリガー!」

少しの沈黙の後、やや息を切らしたような、しかしどこか楽しげな声が返ってきた。


「おお、レオン……。久しぶりだな!」

トリガーの声の向こうでは、何かが激しくぶつかり合うような音が聞こえた。


「今、大丈夫か?」

「ああ、少し待ってくれ、今片付ける!」

トリガーがそう言うと、


グシュっ…。グサグサ……。ドサッ…。ドキューン。


背後から生々しい音の数々が漏れ聞こえてきた。肉を断つ鈍い音、何かが崩れ落ちる音、そして最後に、爆発のような轟音。


「お待たせ!レオン、なんだ?急に……。」

「ああ、トリガー、仲間になれ!」

レオンは、いつものように単刀直入に言った。


「ああ、またその話か!懲りない奴だな。もちろん、嫌だが……。」

トリガーの返答も、予想通りだった。


「まあ、そう言うわな!だが、今回はいつもとは違うんだ!」

レオンの声には、普段の飄々とした雰囲気はなく、明確な真剣さが宿っていた。


その変化を敏感に感じ取ったのだろう。

「まさか、あれを実行に移すのか?」

トリガーの声にも、僅かながら驚きが混じった。


「ああ、そのまさかだ!」

レオンは、リセからの情報、サクナたちの置かれた過酷な状況、そして彼が密かに温めてきた計画の全容を、手短かつ的確にトリガーに伝えた。


「なるほどな……。それは、確かに急ぐ必要がありそうだ!」

トリガーの声のトーンが変わった。いつもの軽薄さは消え、共感と理解が滲み出ている。


「ああ、トリガー、お前が頼りだ!」

「柄にもない!」

トリガーはそう言いながらも、声には隠しきれない喜びが混じっていた。レオンに頼られることを、彼は内心では満更でもないと感じていた。


「しかし、マスターを殺したら、俺たちも死ぬんだぞ?」

トリガーは、計画の危険な側面を改めて確認した。


「ああ、その辺は僕に任せてくれ!」

レオンの言葉には、強い決意が込められていた。

「了解した!」

トリガーの返答は、簡潔ながらも信頼に満ちていた。


「くれぐれも、感づかれるな!」

レオンは念を押した。

「分かっている!」

トリガーは一瞬、何かを思い返したように微かに動揺を見せたが、すぐにいつもの調子を取り戻し、

「では、任務に戻る」

とだけ告げて通信を切った。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


レオンは再び音魔方陣で、今度はリセに連絡を取った。

「リセ!今、いいか?」

すぐに、明るくもどこか切迫したリセの声が返ってきた。


「レオン、待ってたよ!」

「ああ……。」

「どうなったの?」

「例の作戦を実行に移す時がきた!」

「いよいよだね……。」

リセの声は、待ちかねていたような高揚感を帯びていた。


「また連絡する!くれぐれも、マスターに悟られないように行動しろよ!」

「分かってるって!」

「あと、マスターの行動予定を常に把握するように!」

「了解!レオン……。」

「頼りにしてるよ、リセ……。」

レオンは通信を切った。


リセは、アルマニア出身の獣人だった。


彼女の身には、「布陣魔法陣」が刻まれており、その力は、あらゆるものを特殊な空間に包み込み、永遠にその時間の流れを止めてしまうというものだった。

また、巨大な物体でさえ、手のひらサイズにまで縮小して持ち運ぶことができる。


彼女の特殊な能力は、この危険な計画を実行する上で、極めて重要な役割を担っていた。

次回 今日で終わる~ レオンの解放計画~

続きの気になった方は、

ぜひともブックマークをお願いいたします。

リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。

頑張って続きを書いちゃいます!

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