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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン5 【魔刻印者編】(逆襲)
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契約の代償 ~姉妹の運命~

ここは、極東の島国、サンゴルド帝国である。


サンゴルド帝国は、島国のため特有の文化が根付いていて、一風変わった雰囲気を漂わせていた。

和風建築と着物を好んで着る風習があり、趣のある建物が多いこともあって、観光目的で訪れる者も多かった。


そんな国のある路地裏の掘っ立て小屋のような小さな家で、二人は生まれた。


「アルカ……。」

「サクナ……。」

怯えるように抱き合いながら、酒浸りの父親を睨み付けていた。


「なんだ……。その目は!文句でもあるのか?」

父親は机を蹴飛ばした。


「もう、お金も食べるものもないよ……。」

アルカが意を決して叫んだ。


「うるせぇーーー!だったら、お前が働け!」

酒を飲み干しながら怒鳴る。


「酒でも買ってこい!」

そう言って父親が酒瓶をサクナに投げつけた。

「キャー!」

アルカが間に入って酒瓶が割れると、額から真っ赤な血が滴っていた。


アルカは無言で睨み付ける。


「ちょ……ちょっと、出掛けてくる!」

父親はいたたまれなくなって、戸を強く閉めて出ていった。


母親を亡くしてから、そんな父親に愛想を尽かすのにそれほど時間はかからなかった。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


二人は街を彷徨いながら歩き続けたが、女二人で暮らしていけるはずもなく、路地裏で震えていた。


「おお、こんなところに上玉が転がってるじゃねえか!」

街のゴロツキが、サクナに目をつけた。


「やめろ!」

アルカが間に入ってサクナを庇った。


「うるせぇーーー!」

そのゴロツキは、アルカを殴り飛ばす。


「キャー、アルカ!助けて!」

サクナは抵抗するが、あっけなく捕まってしまった。


「サクナを返せ!」

アルカはゴロツキにしがみつく。


「よく見ると、顔だけは綺麗だな!」

ゴロツキはアルカの腹に一発食らわせると、右肩に担いだ。


「来い!」

サクナを強引に引っ張りながら、どこかの店のような建物に連れてこられた。


「ヨイザクラさん、これは上玉ですよ!」

ゴロツキが店のオーナーらしい女性に何やら交渉しているようだった。


「ハハハ……。今日はついてるぜ!」

ゴロツキは、幾らかの金を受け取ると上機嫌で帰っていった。


「おお、可哀想に……。私はヨイザクラと言う者だ!」

ヨイザクラが優しい声で二人を抱き寄せた。


「名前は?」

「サクナです……。」

「アルカだよ……。」

「うん、いい名前だね!うちの店は、踊りを見せてお客さんに喜んでもらうのが商売だ!あんたたちなら、努力次第でしっかり稼げるようになるよ!そうすれば、二人で一緒に部屋でも借りるといい!」

ヨイザクラが優しく説明してくれた。


「はい……。」

「でも、それまで住む場所がないんだ!」

アルカがサクナを抱きしめながら言った。


「なんだ、そんなの心配いらないよ!ここに住んで、食事も部屋も貸してあげるから、踊りの稽古に励みな!」

微笑みながらヨイザクラが言った。


「本当に……いいの?」

「ああ、もちろんだよ!」

ヨイザクラが二人の手を取った。


「でも、その前にこれを受け取ってもらいたいんだ!」

「何ですか?」

「まあ、契約書みたいなもんかな……。」

「契約?」

アルカが少し不安そうに聞き返す。


「ああ、契約といってもたいしたことじゃないよ!一応、ここに住まわせるにはそれなりのお金もかかることだから、念のためさ!」

ヨイザクラは微笑んだ。


「分かりました……。」

「まあ、確かにそれも一理あるか……。」

二人は了承した。


「そこへ座って、二人とも左手を前に!」

ヨイザクラが優しく手を出した。


「こうですか?」

「はい!」

二人が左手の甲を見せると、ヨイザクラはおもむろに黒い魔昌石を取り出して、二人の甲へ押し付けた。


「少し痛いけど我慢おし!」

そう言って何やら聞き慣れない呪文を唱え始めた。


「キャーーー!」

「ウワーーー!」

サクナとアルカが激痛に顔を歪めながら耐えている。


「さあ、できた……。ほら!立ちな!」

ヨイザクラの顔が一瞬で鬼の形相になり二人を強引に立たせた。


「ええ、ヨイザクラさん!?」

「なにするんだよ!?」

二人は何が起こっているのか全く理解できていなかった。


「察しの悪いグズどもだね!あんたたちは売られたんだよ!」

「ええ……。」

「はあ?」

「だからあんたたちは、もう私のモノなんだよ!」

ヨイザクラが大きな口を開けて笑いながら言った。


ヨイザクラも【魔法陣使い】で、娘たちを拐ってきては【MACOK】に仕立てあげて、夜の商売でボロ儲けをしている闇の人買いだった。


彼女の見た目は200kgはあろうかと言う巨漢で、お世辞にも美しいとは言えない風貌だった。

それもあり、美しい女性を心から憎んで、ただの商売道具にして憂さを晴らしている。まさにクズ中のクズだった。


次回 双華の鎖 ~ 逃れられない刻印~

続きの気になった方は、

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リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。

頑張って続きを書いちゃいます!

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