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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン5 【魔刻印者編】(逆襲)
122/133

【MACOK】~交錯する暗殺者たち~

その部屋は、何重にも積み重ねられた本で埋め尽くされており、大きな机の上には、いくつもの書きかけの論文のようなものが散らばっていた。


メルギド博士は机に向かって筆を走らせながら、レオンを部屋へ呼び出していた。


「レオン、依頼が来ています!」

メルギドは忙しそうにしながら指令を伝える。


「はい、メルギド博士……。」

レオンの目は死んでいたが、その奥には微かな希望のようなものも見える。


「サンドリア王国にあるベルメール地方だ。ターゲットは、新興貴族であるバルムント男爵だ!」

「はい……。」

「依頼主からの情報では、他国からも狙われているとのことだ、早いところ片付けてしまいなさい!」

「承知しました!では……。」

レオンが、そう言って消えようとすると、


「ああ、待ちたまえ、今回はリナも同行させる!」

リナが秘書のような格好で現れた。


「あ……。はい!」

レオンは眉を潜めた。

「では……。」

レオンはリナの腕を掴むと、さっさとベルメール地方へと移動してしまった。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


「相変わらず、便利な能力ね!」

リナが羨ましそうに言った。


「ああ……。さっさと済ませるぞ!」

「了解!」

「僕一人でも十分に対処可能だが……。」

レオンが皮肉めいた口調で言うと、


「貴族の屋敷は、手練れの警備もいるし結構厄介なところが多いのよ!」

リナは少し上から物を言う感じだった。


「まあ……。僕には関係ないけどね……。」

そう言って、男爵の屋敷を観察できる丘の上にうつ伏せになって双眼鏡を取り出した。


「どう?」

「ああ、確かに警備はかなり厳重だな!」

「そうでしょ!」


•••••••••

リナの奴、助っ人というよりは、僕の仕事の監視に付けられたみたいだな……。

最近、失敗続きだから、それも仕方がないか……。

•••••••••


「いつ仕掛けるの?」

リナが急かせるように小声でささやく。

「まずは、隙を探してからだろ!」

レオンは監視を続けながら隙を探していた。


リナに気を取られたその瞬間、


シュッ……。


「ああ……。殺られた!」

「ええ、狙撃?」

リナが驚いて呟くと、レオンの姿はもうそこにはなかった。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


「今のは、お前か?」

レオンはその男の首もとに右手の剣を突き付けながら言った。

「うっ……。いつの間に!お前は……。」

その男は完全に不意を突かれて為す術がなかった。


「いい腕してるな!」

「あ……、ああ……。ありがとう……。」

彼は怪訝そうに後ろをゆっくり振り返って両手を上げた。

「名前は?」

「と……トリガーだ……。そう言うお前は?」

トリガーはつい問い返してしまった。

「レオンだ……。」

一瞬、時が止まった気がした……。


レオンが答えた瞬間、トリガーは一瞬の隙をついて魔法陣でバリアを展開して、素早く距離を取った。


「死ね!」

トリガーが魔法陣からアサルトのような銃を取り出すと、レオン目掛けて連射してきた。


レオンは無表情のまますべての弾丸を空間魔法陣で避けきると、一気にトリガーとの距離を詰めた。

それに呼応するように、トリガーも一瞬で姿を消し一気に距離を広げた。


トリガーは魔法陣からバズーカを取り出して、躊躇なくレオンへ撃ち込んだ。


ドキューン……ドカーン……。


「ハハハ……。さすがに死んだか?」

トリガーは冷や汗を拭きながら言った。


レオンが思っていたよりもかなり爆発範囲が広く、気がつくのが少し遅れていたら危なかった。

「なかなか……、やるね!」

レオンがニヤリとした。


「マジか……。」

トリガーは闘い慣れた感じでレオンとの間合いを取りながら、多種多様な武器で攻撃してきた。

しかし、レオンは少し嬉しそうな表情を見せながらも、攻撃を紙一重で全て交わすと、トリガーの動きに合わせて飛んだ。

「そこまでだ!」

レオンがトリガーの背後から剣で首を押さえた。

剣先が首に触れると血が滲む。


ゴクリ……。


「くそ、接近戦では分が悪いか……。殺れ!」

トリガーは持っていた銃を落とすと、両手を上げた。

「お前……。強いな!」

レオンが嬉しそうに笑った。

「殺られる相手に誉められても……嬉しくもない!」

トリガーが吐き捨てるように言った。


その瞬間、トリガーが一瞬の隙をついてレオンの腕を掴み、体制を入れ換えて、レオンを地面に押し付けながら首元にナイフを突き付けた。

「お見事……。僕の完全に敗けだ!」

レオンは両手を上げて満面の笑みで言った。


「気持ち悪い奴だな!?」

トリガーは眉間に皺を寄せる。


「トリガー……。お前、僕の仲間になれ!」

「はあ?」

トリガーは思わぬ提案に動揺した。


「もちろん……断る!」

「まあ……。そう言うわな!」

「お前も【MACOK】だろ?なぜ、殺さない?」

「いや、お前だってさっき、何度でも殺すチャンスがあっただろ?」

トリガーは手を緩めナイフをどけた。


「レオン、次はないからな……!」

トリガーも少し嬉しそうだった。

「それは、こっちの台詞だ!」

レオンはそのまま一瞬でスーッと消えていった。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


「面白い奴だな!」

レオンは何か思い付いたように微笑む。


「レオン、勝手にいなくならないでよ!」

リナが怒りを露わにしながら近付いてくる。

「ああ、悪い……。」

「悪いと思ってないくせに……。」

リナが首を振りながら呟く。


「他国の【MACOK】の仕業ね?」

「ああ……。少し手合わせしたが、かなりの強敵だ!今回は、見逃してもらう形になった……。」

「あなたが!?珍しいわね……。」

リナが驚いていた。


「まあ、いいわ……。今回のことは私から報告しておく!」

「ああ……。任せた……。」

レオンは少し不安げに言った。


レオンは不安な気持ちを押し殺して、リナの腕を掴んでアジトへと飛んだ。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


レオンは俯いていた。


「メルギド博士、依頼は無事完了しました!」

リナが膝をついて報告すると、

「ご苦労様!他に報告することは?」

「特に、取り立ててはありません!」

「そうですか……。レオンもご苦労様!」

「はい……。」


レオンとリナが部屋へ戻る途中、

「なぜ……。報告しなかった?」

レオンはリナの顔色を窺った。

「なんのこと?」

リナは思わせぶりに答える。


「いや……。他国の【MACOK】のことだ!」

「ああ……。今はこれでいいのよ!フフフ……。」

リナが呟くように笑う。


「相変わらず、なに考えてるか分からない奴だな……。」

レオンは首を傾げて自分の部屋へと戻っていった。


「それにしても、銃の魔法陣か……。珍しいな……。かなり使えそうだ!」

レオンは画策しながらニヤついて、瞑想に入った。


ちなみに、トリガーの魔法陣の正確な名称は、「砲弾魔法陣」といい、近距離から遠距離まで、ありとあらゆる銃を使いこなすことが可能で、近接では「防御魔法陣」でバリアを展開して、ナイフと格闘で応戦できるが、レオンのような近接特化型には苦戦を強いられる。

次回 契約の代償 ~姉妹の運命~

続きの気になった方は、

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リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。

頑張って続きを書いちゃいます!

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