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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン4 【聖域巡礼編】(第二幕)
121/133

幻影の塔に挑む者たち

いつもの鼻を突く悪臭と、牢屋を叩く耳障りな金属音だけが鳴り響く。ここは、レオンが最も嫌悪する場所だった。


「メルギド博士。アイツらをいつ殺れるんですか?」

レオンの心は完全に……。


「そうです…。レオン、それでいいのです!」

メルギド博士は満足そうに、レオンを見下ろしていた。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


町の朝は早かった。


「おはようございまーす!」

牛乳配達の小僧が声をかけながら、宿屋の主人に牛乳の入った籠を手渡していた。


ハーベルはその声に起こされ、少し不機嫌そうな表情を見せながらも、大あくびをしつつ起き上がる。


「ふぁーーー!おはようございます!」

「お客さん、早いね!」

「ああ、ちょっと起きちゃって…。」

宿屋の主人が声をかけてきた。


「ご主人。この辺りで買い取りをしてくれる店はあるかな?」

ハーベルが尋ねる。


「ああ、もちろんあるさ!」

主人が説明しようとすると、


「ああ、ちょっと待って!」

昨日、作っておいた町の地図を取り出した。


「なんだい…この細かい地図は……。」

主人は目を丸くしながら地図を食い入るように見ていた。


「どの辺ですか?」

「ああ、この辺りだな!」

ハーベルがその辺りに丸を書いた。


「ありがとう!」

「ああ、どういたしまして……。」

主人は少し呆気に取られている感じだった。


そのころ、他のメンバーも食堂へ降りてきた。


「朝食が済んだら、要らないアイテムの買い取りに行ってくるよ!」

ハーベルがそう言うと、


「私の分もお願いできるかしら?」

アクシアが机の上にいくつかのアイテムを並べた。


「ああ、いいよ!」

結局、ハーベルがみんなの分も売ってくることになった。


「ハーベル。オレもついていっていいか?」

「カザキさん。もちろんです。一緒にお願いします!」

ハーベルたちは、さっき教えてもらった店へ地図を見ながら歩いていた。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


「ここだな!すいませーーん!」

ハーベルが店の扉を開けた。


「おお、お客さん、早いね!」

「買い取りをお願いできますか?」

「もちろん…。ってモノはどこだい?」

店主は不思議そうに言った。


「ああ、ここだよ!」

ハーベルはアイテムを袋から台の上へ取り出した。


「はあ!?ど…どこから出てきたんだい…?」

店主は驚いて後ろにひっくり返った。


「婆さん、大丈夫か!」

カザキが店主を起こしてあげた。


「最近は、変なアイテムが多くてついていけないよ……。」

店主は愚痴をこぼす。


「ハハハ……変なアイテムって……。」

ハーベルが苦笑する。


「そう言えば、あんたたち。あの噂は聞いたかい?」

店主は慣れた手付きで鑑定をしながら話し始めた。


「噂ですか?」

ハーベルが興味深そうに聞いた。


「何でも、風の神殿のそのまた向こうに、大きな塔みたいな建物が現れたらしいよ!」

「ほお、塔ですか?」

ハーベルはさらに突っ込んで質問する。


「ああ、それが不思議でさ……。誰もその塔へ行けないらしいんだ…。」

「行けない?ってどういうことだよ…婆さん!」


カザキも気になってきた様子だった。


「歩きはもちろん。空を飛べる魔導師が上からでもたどり着けないらしいんだよ……。」

店主は鑑定を終えたようだった。


「上からでも?」

「不思議だな!?」

二人は顔を見合わせた。


「あいよ、買い取り代金だ!」

「婆さん、計算間違ってるだろう!多いぞ!」

カザキが驚いて半分返そうとする。


「いいや。その指輪のおかげさ!持っていきな!」

「指輪?」

カザキがハーベルのつけていた【ドラゴンヘッド】を見つめた。


「ああ、忘れてました…。カザキさん。これをつけていると、買い取りが2倍になるんですよ!」

「マジか…。」

「マジです!」

「うう…欲しい…。」

カザキは普通に羨ましそうだった。


「お婆さん、ありがとう!」

ハーベルたちはお礼を言いながら店を後にした。


「あれですね!」

「本当だ、昨日は気がつかなかったな…。」

「はい…。」

二人は遠くに見える霞がかった大きな塔を見て、興味をそそられていた。


「ちょっと、みんなで行ってみるか?」

カザキがそう言うと、


「そう来なくちゃ!」

ハーベルの顔が一気に明るくなり、冒険心に火をつけたようだった。

次回 シーズン5 【魔刻印者編】(逆襲)

【MACOK】~交錯する暗殺者たち~

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頑張って続きを書いちゃいます!

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