疾風の剣士と悪魔の影
カザキを連れて、宿屋の食堂へとやってきて腰かけた。
「ありがとう、ハーベル。」
「はい。」
カザキは少し辛そうに腰を下ろす。戦いの疲れが残っているのか、動きに違和感があった。しかし、休む間もなく彼の表情は険しくなり、不安げに口を開く。
「でも、またさっきみたいなことがあったらと思うと、オレも気が気じゃない……。」
カザキの視線はテーブルに落ち、拳を握りしめる。彼はまだ先ほどの出来事を引きずっているようだった。
「大丈夫ですよ。その時は、俺がまた何とかしますから!」
ハーベルは力強くカザキの肩を叩いた。その言葉には揺るぎない自信があり、仲間を支える覚悟が込められている。カザキはその手のぬくもりを感じ、わずかに笑みを浮かべる。
「ハーベル……、言うようになったな。」
「はい、安心して。」
ハーベルはニッコリ微笑んだ。その笑顔には頼もしさが宿っており、場の雰囲気が少し和らいだ。
「ちょっと、いいかしら。」
クラリッサが手を上げ、カザキの装備を指差した。彼女の表情は真剣で、すぐに話し出した。
「その羽のような装備、それが元凶です!嫌な魔力を放出していますよ!」
クラリッサは息苦しそうに言った。彼女は強い魔力を感じ取れる能力があり、その装備から発せられる異質な気配に顔を歪める。
「これは、風の神殿の55階層で、神器と一緒にドロップしたんだ…。空が飛べる便利なアイテムだ。」
カザキは少し戸惑いながらアイテムを取ろうと手を伸ばす。しかし、すぐに違和感を覚えた。
「あれ、外れない!」
カザキが四苦八苦している。装備はまるで自身と一体化したかのように動かず、どんなに力を入れても剥がれない。
ハーベルも外そうとするが、まったく微動だにしない。二人は顔を見合わせ、焦りが増していく。
「その【悪魔の翼】は呪われています!そのせいで悪魔につけ狙われているのです!」
クラリッサが断言した。その言葉に場の空気が一変し、皆が装備をじっと見つめる。
「神聖:第6応用魔法!ディバイン・パージ!」
ハーベルが【悪魔の翼】に手をかざした。
光の女神と共にまばゆい光が飛び散ると、
コトン……。
「ああ、外れた!」
ハーベルが拾い上げた。【悪魔の翼】は床に転がり、今はただの無機物のように見える。しかし、その不気味な気配はまだ消えていない。
「ハーベル、そのおぞましいものをどこかへやってください!」
クラリッサが汚物でも捨てるような口調で指示した。彼女はその装備を見るのも嫌な様子だ。
「了解!零式!」
ハーベルは一瞬で消えると、土の神殿の54階層へ飛び、装備を放り投げてきた。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「おやおや、またしても邪魔が入りましたか…!あの坊や、目障りですね!」
どす黒くて怪しい影がスーッと消えた。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
ブルッ……。
クラリッサは身震いして辺りを見回した。魔の気配が一瞬、背後に現れたような錯覚を覚える。
「クラリッサ、助かったよ。オレは、以前ネルとハーベルと同じギルドに所属していた。カザキと呼んでくれ。」
カザキがクラリッサに頭を下げて、みんなに自己紹介をした。
「ハーベル、よろしくな。」
「はい、先輩。」
「もう、先輩はよしてくれ。」
「分かりました。カザキさん。」
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カザキ ♂ 【風の剣士】
種族・ヒューマン
武器・【神器・疾風剣】【神器・疾風脚】
魔法属性・風属性
固有スキル・「合成」
武器スキル・「神風」「舜脚」
光・応用魔法5
闇・応用魔法5
炎・応用魔法5
水・応用魔法5
風・究極魔法10
土・応用魔法5
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【神器・疾風剣】
風属性を特大アップし、眼にも止まらない早さで斬撃を放つ。「神風」スキルで巨大な竜巻を起こしてすべてを吹き飛ばす。
【神器・疾風脚】
風属性を特大アップし、「瞬脚」スキルで眼に見える範囲なら一瞬で移動が可能だ。
「オレは、風の魔法が得意で、剣をこよなく愛す!」
カザキが疾風剣を構えた。
「フレアと気が合いそうだな。」
ハーベルがそう言うと、
フレアが少し照れながら、
「カザキ、よろしくな。」
「ああ、フレアよろしく。」
「カザキさん、アクシアと申します。よろしくお願いいたします。」
アクシアが丁寧に頭を下げた。
「こちらは、フランとノアールだよ。」
「カザキ、よろしくね。」
「どうも。」
軽く挨拶をした。
「ええ、ネコがしゃべった!?」
カザキが驚いていると、
「ああ、二人はもともとピクシーなんだよ。」
ハーベルが二人を抱いて紹介した。
「なんか、ハーベルらしい楽しいパーティーだな。」
カザキが嬉しそうに微笑んだ。
「これで前衛もかなり強化されたね!作戦も立てやすくなって大助かりだわ!」
ネルはカザキとハーベルに視線を向け、満足げに微笑んだ。
その様子を見て、一同の顔にも自然と柔らかな笑みがこぼれる。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「アイツら……全員……殺す!」
「隠蔽」スキルを使い、ずっとハーベル一行を監視していたレオンは、その光景を見つめながら低く呟いた。
次の瞬間、彼の姿は闇の中へと溶けるように消えた。
次回 幻影の塔に挑む者たち
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頑張って続きを書いちゃいます!