魔物は食材!?驚きの食文化!
師匠が帰り支度を整えながら、穏やかな声でクラリッサに語りかける。
「クラリッサ、この『ゴーレムの心』を預けておくわ。もしかしたら、何かの役に立つかもしれないから。」
クラリッサはしっかりとうなずき、その小さな宝物を受け取った。
「師匠、分かりました。」
すると、ハーベルが優しい笑顔で尋ねる。
「師匠、零式でお送りしましょうか?」
しかし、師匠は優雅に微笑みながら首を横に振った。
「いいえ、他にも寄りたいところがあるから、ホウキでゆっくり帰るわね。ありがとう。」
「分かりました。」
師匠は皆に向かって軽やかに手を振る。
「じゃあ、みんなありがとう。行くわね。連絡待ってるわ。」
「師匠、気を付けて!」
「お気をつけて!」
仲間たちの声に見送られながら、師匠はホウキに乗り、美しい髪を風に棚引かせながら、優雅に空へと舞い上がっていった。
その姿はどこまでも自由でありながら、どこか切なさを感じさせた。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
ハーベルたちはリーフィアを送り出すと、次の目的地であるサンドリア王国を目指して飛んでいた。
「みんな、風の神殿に行く前に町へ寄ってもいいかな。」
「もちろんですわ!」
ハーベルの絨毯に乗っていたアクシアが微笑みながら答える。
「一度、戦利品を整理しておきたいんだ。」
「私たちも買い物をしたいから助かるわ!」
クラリッサがそう言いながら、綺麗な羽を翻して飛んでいた。
「うん、賛成!」
フレアはお腹が空いている様子でお腹を擦っていた。
「ハーベル、私もついていっていい?」
ネルが可愛く目を潤ませながらしがみつく。
「もちろん!」
ハーベルの気分は晴れやかだった。
「クラリッサ、近くに町はあるかな?」
「ええ、さっき『千里』スキルで確認したら、北の方角にそれなりの大きさの町があるみたいです。」
「ありがとう。」
ハーベル一行は進路を北へと調整して町へ向かうことにした。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
その頃……。
薄暗く、嫌な臭いの充満した部屋で、レオンは項垂れていた。
「くそ…何でハーベルばっかり…。」
苛立ちを隠しきれない様子だ。
レオンたち【MACOK】の部屋は、常にメルギド博士によって監視されている。
「ハーベルが…憎い…!」
そう呟きながら、暗器のナイフを壁の的に素早く放った。
ズバッ!
的のど真ん中に刺さったナイフが振動を帯びている。
「フフフ…素晴らしい!レオン、その感情をもっと蓄積させるのです!」
監視していたメルギド博士は嬉しそうに気味悪い笑みを浮かべた。
「そして、感情を爆発させ、心を完全に破壊するのです…!」
メルギドは自慢の魔法陣を眺めながら呟く。
こうして、レオンの心は少しずつ蝕まれ、崩壊の一途を辿っていった…。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「まだ距離があるみたいだから、この辺りで休んでいこうか。」
ハーベルが皆に声をかける。
「はい!」
ハーベルは、大きな樹の陰に家を設置すると、ネルとクラリッサが率先して食事の準備を始めた。
「ごめん、料理は苦手で!」
フレアはそう言いながら皿を並べるのを手伝う。
「いいえ、大丈夫ですわ!」
アクシアはサラダを担当しているようだ。
「アクシア、お姫様なのに料理もできるなんてすごいな。」
フレアが感心して褒める。
「ええ、淑女の嗜みですわ!」
アクシアは微笑みながら答えた。
「左様ですか…。」
フレアは少しふて腐れながら食器の準備を進める。
「でも、フレアだって野宿の時は料理するんでしょ?」
クラリッサが尋ねる。
「ああ、キラーラビットの串焼きとか!」
「はあ?」
クラリッサは露骨に嫌な顔をする。
「魔物は食べられないでしょ?」
クラリッサは眉間にシワを寄せる。
「何言ってるんだ?食えるぞ!アイテム化する前に魔昌石を取り除けば解体して焼くだけさ。」
「うっそ…。」
一同が絶句する。
「そう言えば、ハーベルも同じようなことを言ってた。」
クラリッサが思い出したように呟く。
「以前、『分離』スキルをキラーバットに使ったら、死体が残ってたって…。」
「ああ、キラーラビットなら魔昌石と角を取り除けばいいんだ。」
フレアは得意げに言う。
「マジですか…。」
「マジだ!」
フレア以外はドン引きしていた。
「ってことは…焼きガニも間違ってなかったの…?」
それを聞いたクラリッサの脳は、以前のハーベルの話を思い出して混乱を極めていた。
次回 操られし剣士と漆黒の影
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頑張って続きを書いちゃいます!