迷宮の怪物:砂に潜む影
「じゃあ、お仲間さんを探しながら、ネルの作戦通りに!」
ハーベルがそう言うと、パーティー全体がまとまり、計画通りに進行していった。
「ちょっと…今までが嘘みたい…。」
「マジか…。」
「すごいスムーズなんですけど…。」
「作戦の重要性が身に染みますわね…。」
今までの苦労が嘘のように、作戦通りの動きでダンジョン攻略が進んでいく。
みんなは信じられない様子だった。
「ネルさん、マジですごいね!」
ハーベルは感嘆の声を漏らし、尊敬の気持ちを隠せなかった。
「もう15階層のボスね…。」
「まだ15分くらいしか経ってないけど…。」
「早すぎる…。」
ネルがボス部屋の扉に手をかけ、慎重に少し開いて中を覗いた。
「よいしょっと…。」
確認すると、ネルは静かに扉を閉める。
「ああ、覗いて閉めれるのか…。」
ハーベルが愕然とした表情を浮かべる。
「今まで、すぐ開けて閉じ込められてたんだよね…。」
「なんか、恥ずかしい…。」
「ですわね…。」
今までの自分たちの行動を思い返して、みんなは照れ臭そうに顔を見合わせた。
「今見たら、ボスはスライムでした!」
「ええ、砂のスライム?」
「うーん、よく分からん…。」
ネルは腕を組んで考え込むと、軽く肩をすくめて言った。
「あれは、固めてポイですね!」
ネルがごみを捨てる仕草をすると、ハーベルがニヤリと笑った。
「じゃあ、俺にやらせて!」
「ハーベル、任せた!」
「それで!」
「頼みましたわ!」
ハーベルは素早く扉を開けると――
「水:第8上級魔法!グレイシャル・ロック!」
詠唱と共に、スライムは一瞬で氷漬けになった!
「よっしゃ!」
ハーベルは氷結したスライムに一気に接近し、二刀流で滅多切りにして粉々にする。
「終わり!」
「早っ!」
「ハーベル、ステキ!」
ネルが手を叩いて喜んだ。
「へへへ…!」
ハーベルは得意気に微笑む。
そんなやり取りを、みんなが微笑ましく眺めていた。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「25階層はどうかな?」
ハーベルが扉を少し開けて中を覗いた。
「なんか、小さいカエルが一匹いるだけだけど…?」
不思議そうに言った。
「まあ、行ってみましょう!」
「本当だ、カエルだね~。」
「カエル…。」
「チッさ!」
ゲロゲロ、ゲロ…?
フレアが剣を軽く振ってカエルを払うと、そのままサラサラと砂になり消えた。
「ええ、これだけ?」
しかし―― 。
周囲の砂が次々と中央に集まり、巨大なカエルへと姿を変えた。
「そんなわけないか…。」
「私が行く!百花繚乱!」
フレアが神器のスキルを炸裂させた。
幾千もの斬撃が真っ赤な花びらと共に砂のカエルへと吸収されていく。
しかし―― 。
「げげ、あんまり効果がない…。」
「砂には効果が薄そうですね!」
ネルが瞬時に分析をし、指示を出した。
「砂の魔物に、炎は効きません!ハーベル、風魔法で足止めをお願いします!」
「オッケー!」
「風:第8上級魔法!テンペスタス・レグナム!」
ハーベルの詠唱で、砂嵐が巻き起こり、サンドキングトードの周囲を包み込んで動きを止める。
ネルはアクシアへと視線を向けた。
「アクシアさん、さっきの小さいカエルが核です!それを潰してください!」
「かしこまりました!」
アクシアがディープブルーを構える。
「ディープブルーショット!」
矢が放たれ、鋭く一直線にサンドキングトードへ突き刺ささり貫通した。
後ろの壁に刺さった矢の先には、あの小さなカエルが串刺しとなっていた。
次の瞬間――。
小さなカエルが消滅し、サンドキングトードの巨大な体が崩れ去った。
サラサラと砂の山となり、完全に消えてしまった。
「さすが、『的中』スキル、ナイスショット!」
「ナイスショット?」
アクシアは首をかしげた。
仲間たちは微笑みながら、その場の緊張が解けていくのを感じていた。
次回 残酷な選択:仲間か、追放か!?
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頑張って続きを書いちゃいます!