森の囁き:湖畔の神秘と新たな仲間
無限に広がるかのような大森林の中に、美しい湖畔が広がっていた。 その湖畔にそびえ立つのは、白亜の神殿。
太陽の光が湖面に反射し、神殿を優雅に輝かせている。
ハーベルたちは、フィラルティア公国の西に位置する森を抜け、神殿へと向かって歩いていた。
周囲には小鳥のさえずりが響き、水の流れる音が心を落ち着かせてくれる。
そんな穏やかな道を歩く中、フレアが突然足を止めた。
「…あれ、女の子が!」
フレアが真っ先に気付き、指を差す。
神殿へ向かう道の途中に、一人の少女がしゃがみ込んでいた。
「おい!大丈夫か?」
ハーベルが心配して声をかけると、少女が振り向く。
「ハーベル!」
次の瞬間、少女はハーベルに飛びついた。
「…ああ、ネルさん!?」
ハーベルが驚いたように声を上げる。
「ハーベル、お久しぶり!」
一同が首をかしげ、視線を交わした。
「ああ、この方は、高等部時代の先輩のネルさんです!」
「ああ、ハーベルがいつも話してた!」
リーフィアがフランを抱きながら、微笑んでお辞儀をする。
「こちらは、俺の師匠のリーフィアさんです!」
「フレアだ、よろしくな!」
「アクシアと申します!」
「クラリッサよ!」
「僕は、ノワール!」
「私は、フランよ!」
「私は、ネルといいます。ふつつかものですが、よろしくお願いいたします。」
ネルは深々とお辞儀をした。
「ネルさん、嫁入りじゃないんだから…。」
ハーベルが冗談めかして言う。
「それより、なんでこんなところにしゃがんでたんですか?」
「うん、この構造が面白いのよ!」
「また観察ですか…こんなところに一人じゃ危ないですよ!」
「一人じゃないよ…あれ…。」
「仲間がいるんですか?」
「うん、五人パーティーできてたんだけど…。」
「じゃあ、一緒に探しましょう!」
ハーベルがそう言うと、ネルの手を握り、優しく立たせてあげた。
「ありがとう、ハーベル!」
ネルが優しく微笑む。
「俺たちも土の神殿へ向かう途中だったんです!」
「一緒だね!」
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
神殿の前に着くと、辺りは静まり返っていた。
「皆さん、いないですね?」
ネルが不安そうに周囲を見回す。
「ハーベル、手紙があるよ!」
クラリッサが落ちていた手紙を拾い、ハーベルに手渡した。
•••••••••
ネルへ
俺たちは、先に行く!
着いてきたかったら一人で来い!
•••••••••
「なんか、嫌な感じですね…。」
「確かに…。」
ネルは寂しそうな表情を浮かべ、うつむいた。
そんなネルを見たハーベルは、優しく声をかける。
「じゃあ、一緒にダンジョンへ行きましょうか!」
「うん、お願いできますか…?」
「ネルさん、久しぶりにあれが見たいな!」
ハーベルがおねだりするような顔をする。
「はい、把握!」
ネルがスキルを発動すると、両手の中にダンジョンの内部構造がみるみるうちに構築されていった。
「うわ、すごい!」
「こんなの見たことない!」
「どうだ!ネルさんはすごいだろ!」
「なんでハーベルがどや顔してるんだ!」
フレアがツッコミを入れる。
「エヘヘ…!」
ハーベルは嬉しそうに笑った。
ネルはみんなの特性を分析し、ダンジョン攻略の方法と戦闘の立ち回りをレクチャーしてくれた。
「ネルさん、最高!」
リーフィアもネルの能力を称賛する。
こうして、新たな仲間と共に、土の神殿へと挑む準備が整っていった。
次回 迷宮の怪物:砂に潜む影
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