悪魔の封印:解かれる宿命
一行は、軽快にダンジョンを攻略し40階層まで降りてきていた。
「フレア、さっきの神器、試してみたら?」
ハーベルが神器の性能を期待して提案する。
「そうだな!」
フレアが軽く刀を振ると、両手刀を構えながらポーズを決める。
その瞬間、遠方から何かが接近してくる気配があった。
「ヘルリザードマンが来ました!」
クラリッサが警戒の声を上げる。
「フレア、お願い!」
「よし!」
フレアが左手の【狂い咲き】をキラリと輝かせると、静かな水面に一滴の水が落ちるように波紋が広がっていく。
「明鏡止水!」
それと同時に、接近していた30体ほどのヘルリザードマンの群れが突然動きを止めた。まるで時間が静止したかのような異様な光景だった。
さらに、右手の【乱れ咲き】を一振すると――。
「百花繚乱!」
フレアの剣が閃くたびに、無数の斬撃が深紅の花びらとなって舞い散り、ヘルリザードマンの群れは一瞬にして粉微塵になった。
静寂が訪れ、空間にはただ舞い散る炎の花びらが残されていた。
「強っ…。」
ハーベルがあまりの威力に思わず引いていた。
「ヘルリザードマン相手じゃ、オーバーキル過ぎるわね…。」
さすがのリーフィアも驚きを隠せない様子だった。
「フレアさん、かっこいいですわ!」
アクシアが感嘆の声を漏らすと――。
フレアは軽やかに着地し、フィニッシュのポーズを決めた。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
45階層のボス部屋。
扉の前に立ったハーベルたちは、刻まれたシンボルを確認した。
「何?」
アクシアが不思議そうに尋ねる。
「壺かな?」
「ああ、壺か…。」
フレアがマークを指でコンコンと叩いた。
ハーベルが慎重に扉を押し開ける。
そこは、静寂に包まれた空間で一面真っ白な部屋だった。
部屋の中央付近に、なぜか二つの台座があり、その上には白と黒の壷が静かに置かれていた。
「なんだこの部屋?」
「不思議な空間ですね…。」
アクシアがそう言って壺を眺める。
「ここに何か書いてある!」
フレアが台座に刻まれた文字を見つけ、読み上げた。
•••••••••
ここを通りたくば、壺の中身を取り出してみよ!
•••••••••
「どういう意味かしら?」
リーフィアもひとつの壺を手に取り、中を覗き込んだ。
「中には何もありませんわよ?」
アクシアが黒い壺を逆さにしながら軽く振ってみた。
その時――。
「あっ!」
アクシアが手を滑らせ、黒い壺を落としかけてしまった。
「危ないな!落としたら死んじゃうだろ!」
「ええ、何?」
どこからともなく、可愛らしい子供のような声が響いた。
「えっ、壺が喋ったのか?」
ハーベルが驚いて、リーフィアから白い壺を借り、床に叩きつけようとする。
すると―― 。
「ああ、待って、待って、割れたら死んじゃう!」
慌てた様子で叫んだ。
「やっぱり、壺が喋ってる!」
「信じられない…。」
「なんだろうな!」
フレアが手荒に黒い壺を扱うと、壺の中からさらに慌てた声が聞こえてきた。
「やめろ!やめてくれ!」
「どうやったら、出せるんだよ!」
「僕たちも分からないんだ…。」
壺たちも困惑している。
ハーベルたちは混乱しながらも、その壺の正体を探ることにした。
「僕たちは、フランとノアールって言うんだけど、本当はマルーレ火山の麓に住んでいたピクシーなんだ!」
黒い壺が経緯を話し出した。
「なんでこんなことに?」
クラリッサが不思議そうに問いかける。
「数年前、火山で遊んでいたら急に現れた悪魔に捕まって、この壺に封印されちゃったんだよ…。」
ピクシーたちの悲しげな声が響く。
「うう、私よりも扱いがひどい…。」
クラリッサが壺を優しく撫でながら、気の毒そうに声をかけてやった。
「なんてことしやがる!」
ハーベルは拳を握りしめながら、怒りを募らせていた。
次回 封印の謎:壺の中の囚われし魂
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