統合スキル!?禁断の力の覚醒
実は、俺には「解析」スキル以外にもう一つ、レアスキルがあった。
その名は「統合」。初めのうちは、このスキルが何に使えるのか、全く検討もつかなかった。
ある日、俺とレオンは学院の敷地内にある森へ遊びに来ていた。
「レオン、何して遊ぼうか?」
「そうだな、僕の魔法をちょっと見てくれない?」
「ああ、もちろんいいよ!」
俺は優しく答えた。
この森には、結界が張られており、魔物が入ってくる心配はなかった。
森の奥には、年老いた大きなマブイの樹がそびえており、俺たちはその周辺で遊ぶのが常だった。
特に、マブイの樹を相手にした簡単な魔法の打ち合いっこは、最高に楽しい時間だった。
「レオン、ウィンドを打ってみてよ!」
「うん、分かった!」
レオンが楽しそうに頷くと、
「ウィンド!」
魔法を詠唱し始めた。周囲の空気が振動を起こし、小さな渦から次第に大きくなり、竜巻のような風がマブイの樹に直撃した。
「レオン、やるねぇ!」
「へへへ…」
「レオンは闇属性だっけ?」
「うん、そうだよ!」
「じゃあ、スキルはあるの?」
「うん、分解スキルを持ってるけど、何に使えるのか分からないから、ほとんど使ったことないよ。」
「そうなんだ。」
俺はふと思い立ち、近くのプリアの樹から実を3つもぎ取った。プリアの実は、美味しそうなリンゴに似た果物だ。
「じゃあ、この実を分解してみなよ!」
俺が手渡すと、レオンは少し困惑しつつもうなずいた。
「ちょっと待って、そのままだと溢れちゃうから…」
俺は水筒の中身を地面に捨て、レオンの持つ実の下に置いた。
「じゃあ、いくよ!分解!」
レオンが「分解」を発動すると、プリアの実は一瞬でスカスカの皮だけになり、中の果汁が水筒に流れ込んだ。
「おお、すごいね!」
「でしょ!これでプリアジュースが飲み放題だよ!」
「やったー!」
レオンは残りの実を楽しげに次々と「分解」していった。
その様子を見て、俺はふと考えた。
「もしかして、『分解』を『統合』できるかも…?」
試すように、俺は「統合」を発動してみた。次の瞬間、体中の魔力が一気に放出され、そのまま意識を失ってしまった。
「ハーベル!おい、どうしたの?」
レオンはただ泣きわめきながら、俺を揺り動かしていた。周囲が薄暗くなり始め、近くの池からポイズントードの低い鳴き声が響くだけだった。
やがて、泣き疲れたレオンは、俺に寄りかかりながら涙を流したまま眠ってしまった。
「ふぁー…うん?レオン!」
俺が大きなあくびとともに目を覚ますと、寄りかかっているレオンをそっと揺り起こした。
「…うん、朝?」
寝ぼけたレオンは目をこすりながらつぶやいた。
「さあ、帰らなきゃ怒られちゃうよ!」
「あーーっ、もうこんな時間だ!」
慌てたレオンは、一目散に家へと走り出してしまった。
俺は少し呼吸を整えると、樹からもぎ取ったプリアの実を握りしめ、
「分解!」
再びスキルを発動してみた。実はカスカスになり、ジュースが地面にこぼれた。
「やっぱり、統合できる…でも、魔力消費が多すぎる。もっと魔力量を増やさないと。」
そう、後天的にスキルを得ることは不可能とされていたが、俺だけは「解析」と「統合」を組み合わせることで、それを成し遂げてしまったのだった。
だが、この力を使うたびに気絶してしまうという難点を抱えていた。
次回 学院戦闘試練録
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