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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン4 【聖域巡礼編】(第二幕)
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炎の神殿と孤独な戦士

26階層を越えると、ダンジョンは広い部屋のような構造になっていた。これまでの狭い通路と違い、開けた空間は戦闘の自由度を格段に上げていた。


「広くなって、戦いやすくなった。」

ハーベルがナイフを手に、戦闘のシャドウを始める。軽快に動きながら、自身の戦闘感覚を研ぎ澄ませる。


しかし、その静けさを破るようにクラリッサが鋭い声を発した。


「静かに!」

クラリッサが皆を制止した。


「何か声が聞こえますわ…。」

アクシアが指をさす。


耳を澄ませると、どこかで戦闘の気配がする。


「とりゃ!うお、だっ!」

女性の叫び声と共に、激しい戦いの音が響いていた。


「誰か、魔物に襲われている?」

ハーベルが緊張した面持ちで言う。


「あれは、多数の魔物に一人が襲われています。」

クラリッサが不安そうにハーベルの腕にしがみつく。


見れば、数体の魔物が一人の女性を取り囲んでいた。彼女は必死に応戦していたが、魔物の数と力に押されつつあった。


ハーベルが、一瞬で彼女のところへ移動すると、素早く手を掴んでリーフィアの元へと飛んだ。


「師匠、少しお願いします!」

ハーベルは、その女性をリーフィアへと預けると、直ちに戦闘の指示を出す。


「アクシア、弓で殲滅お願い!」

「分かりましたわ!」


アクシアは深海弓を構え、一瞬で魔力を矢へと込める。


「クラリッサ、ネクロマンシーで周囲を警戒して!」

「了解しました!」


ハーベルが彼女の火傷のひどさに気がつき、すぐに治療の準備を始めた。


「今、回復しますね…すごい火傷だ…。」

ハーベルが心配そうに呟く。


「師匠、【神ノ雫石】で綺麗な流水を使い、火傷をゆっくり冷やしてあげてください!」

「了解よ!」


リーフィアが【神ノ雫石】を取り出し、魔力を込めると、澄みきった水が女性の傷へと流れ落ちる。炎で焼かれた皮膚を優しく冷やしながら回復を促す。


ハーベルはさらに治療を施すべく、詠唱を始めた。


「薬剤:第5応用魔法!アズレデュース!」

彼の魔法が発動すると、火傷部分に抗炎症の魔力が広がり、痛みを和らげていく。


「光:第7上級魔法!セレスティアル・レストレーション!」

ハーベルが傷へ向けて詠唱すると、みるみる綺麗な肌へと治っていった。


女性の息が落ち着き始め、表情が柔らかくなっていくのが分かる。


「ああ、よかった…。」

「女性にあんな傷を残すわけにはいきませんからね…。」

ハーベルが彼女の身体を優しく支えながら言った。


「ハーベル、ありがとう…。」

弱々しい声でその女性が呟いた。


ハーベルがその声に驚いて顔を見直す。


「ええ、フレアさん!?」

「ハーベル、知り合いなの?」

「中等部で一緒だった、フレアさんです!」


目の前にいたのは、かつての知人だった。


「ハーベル、ありがとう。」

フレアが立ち上がり、もう一度お礼を言って頭を下げた。


「フレアさん、ここまで一人で来たんですか?」

「修行で来ていたんだが、急に魔物がたくさん湧いてきて、対処しきれなくなった…。」

「そうだったんですか…。」


「リフレッシュ!、リゲイン!」


ハーベルはついでに、魔力回復と体力回復の魔法をかけた!


「ありがとう…。」

フレアは懐かしそうにハーベルを眺めながらお礼を口にした。


•••••••••

フレアは、実家が道場で師範の父親に修行の旅に出るように言われ、各地のダンジョンを巡っていた。

炎の神殿には、神器を探しに来ていたのだった。

•••••••••


「じゃあ、俺たちと行きましょう。」

ハーベルが優しく手を添えながら提案する。


「でも、それじゃ修行にならないし、アイテムも分配しないとな…。」

フレアは迷っているようだった。


「アイテムは、要らないからフレアがもらえばいいよ!」

ハーベルがそう言うと、皆も頷いた。


「でも…。」

申し訳なさそうに俯くフレア。


「俺は、一人で何でもすることが、必ずしもいいとは限らないと、仲間に教えてもらった。だから、フレアにも知ってもらいたいんだよ!」


「フレアさん、この方たちは信頼のおける方々です!私も先日助けられたばかりですのよ!」

アクシアがフレアの肩に優しく手を置いた。


フレアは仲間を得ることに躊躇いを感じていた。これまで一人で戦ってきたため、誰かと共に戦うことへの戸惑いがあったのだ。


しかし、ハーベルの言葉とアクシアの優しい励ましが、その迷いを吹き飛ばしたのだった。


「うん、お願いできるか?」

フレアは少し嬉しそうに言った。


「もちろん!フレア、よろしく!」

ハーベルが手を差し出す。


「うん、よろしく!ハーベル!」

フレアも元気を取り戻したようにハーベルの手を掴んで嬉しさを噛みしめるように握手するのだった。

次回 戦場の美しき花:剣士の誇り

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頑張って続きを書いちゃいます!

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