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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン4 【聖域巡礼編】(第二幕)
106/132

水の神殿最深部:姫と勇者の絆

闇の研究所にレオンが帰還していた。

薄暗く、鼻につく嫌な臭いが充満する、レオンが最も嫌う場所。


死んだ目をしたレオンが、重い足取りで姿を現した。


「メルギド博士、申し訳ありませんでした。」

「失敗ですか…。」

博士が冷静に問いかける。


「はい。ハーベルが姫の護衛に…。」

「なるほど、ハーベルさんですか…。」

メルギド博士の表情が明らかに変わった。


「ハーベルさんはどうでしたか?」

「はい、かなり強くなっているようでした…。」

「ほほう、あなたとどちらが強いでしょうね…。」

「はあ…。」

レオンはあえて答えなかった。


「まあ、いいでしょう!今回の任務は、私が先方にいいように報告しておきます!」

「はい…。」

「ただし、もう後はありませんよ!」

「分かっています!」

レオンは歯を食いしばった。


メルギド博士はニヤニヤと不気味に笑い、何かを想像しているようだった。その表情を見たレオンは、何とも言えない感情が爆発しそうだった。


「ハーベル…。」

レオンは何かを睨むように拳を握りしめる。


「しばらくは、そのままハーベルさんの監視を続けなさい!」

「姫は?」

「放っておきなさい…ハーベルさんには、決して手を出してはいけませんよ!」

「了解しました!」


レオンの表情は憎悪と共に少し安堵していた。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


「アクシア様、お姫様なら先に言ってください!」

ハーベルがかしこまっていた。


「皆さん、勝手なことを言って申し訳ありません。それと、今まで通りに接して頂けると助かります!」

アクシアは頭を下げた。


「アクシア、頭を上げて!」

「お師匠様…。」


「アクシアもこう言っていることだし、そうしましょう!」

リーフィアが皆に声をかけた。


「ありがとうございます!」


「水の神殿は、55階層までにしておきましょう!」

リーフィアがそう言うと、


「分かりました。」

「了解!」

「分かりましたわ!」


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


「55階層のボスって何かしら?」

アクシアが心配そうに尋ねた。


「なるほど…そうきたか…。」

「イカね…。」

「イカか…。」


「属性的に何が効くのかしら?」

「そうね…。」

「まあ、いろいろ試してみるしかないか!イカだけに…。」


し~~~ん。


「じゃあ、開けまーーす…。」

ハーベルは罰が悪そうに扉を開けた。


「おお、クラーケンJr.!?」

「何でジュニアなんでしょう?」

「そんなこといいから、敵に集中して!」

リーフィアが激を飛ばす。


「闇と風の精霊に感謝します。闇の恐怖、暴風の力、クラーケンJr.に幻を!

幻惑:第5応用魔法!ネザー・ヴェール!」


クラリッサが邪神の杖を華麗にくるりと回した。


クラーケンJr.の頭上に薄い紫色のヴェールが、妖艶な雰囲気で包み込んでいった。


クラーケンJr.の動きが止まった。


「ブリザード・プリズン!」

さらに、アクシアが荒れ狂う吹雪の檻に閉じ込める。


「来た来た!」

ハーベルが飛び上がって空中で制止すると、


「雷鳴:第7上級魔法!テンペスタス・オーバードライブ!」


黒雲が立ち込め、ビリビリと雷光が走る。

凄まじい竜巻と共に雷鳴が轟き、ブリザード・プリズンごとズタズタに吹き飛ばした。


「ハーベル、めちゃくちゃしすぎ!ってそうでもないかいも?!」

クラリッサが言いかけたその瞬間―― 。


ドヒャーーーーー!


クラーケンJr.が雄叫びをあげ、高速回転しながらすべてを弾き飛ばした。


「うそ!効いてない?」

「マジか…。」


「黒炎:第5応用魔法!オブシディアン・フレア!」


漆黒の太陽がクラーケンJr.の上へと落ち、黒い炎が包み込む。


しかし――。


「何だ、コイツ!硬すぎだろ!」

「どの属性も、効果が薄いようですね…。」

「どうする…。」

「あの表面の粘液がバリアの役割をしているようね…。」

リーフィアが嫌そうに顔を歪めている。


「粘液か…。」

ハーベルは昔、前世で見たテレビの料理番組を思い出しながら考えていた。


「最後にもうひとつだけ試してみたい魔法があるんだ!」

「光線:第5応用魔法!セレスティアル・レーザーグリット!」


清らかな光がシックスセンスの切っ先に灯り、格子状の光線が広がる。

クラーケンJr.の体を突き抜けた――。


「やったか!」


ギャヤーギャ、ギャ、ギャ!


「マジか、無傷って…。」

「いったいどうしたら倒せるのかしら…。」

リーフィアも考え込んだ。


「あの粘液さえどうにかできればね…。」

アクシアが呟いた。


「ああ、思い出した!アクシア!塩って大量に作れる?」

ハーベルが何かを思い出した様子で手をたたく。


「ええ、海水なら大量にあるので『精製』できますが?」

「その師匠の袋に、できるだけ多く作っておいて!」

「分かりましたわ!」


「クラリッサは、猛毒攻撃の準備を!」

「了解です!」


「塩ができたわよ!」

しばらくして、リーフィアが袋をハーベルへ投げた。


「零式!」

ハーベルが一瞬でクラーケンJr.の頭上へ飛ぶと、大量の塩をぶっかけ始め、塩まみれにしてしまった。


「なるほど、その手があったわね!」

リーフィアが手を叩いた。


すると、クラーケンJr.の粘液がみるみる固まっていき、カチコチになってしまった。


「土:第5応用魔法!ロック・フォール!」

大きな岩が次々と固まった粘液を砕いていった。


「今だ、クラリッサ!」


「闇と水の精霊に感謝します。闇の恐怖、天の恵み、クラーケンJr.に猛毒を!

毒素:第5応用魔法!ヴェノマス・エンブレイス!」


クラリッサが杖を掲げると、闇の女神が降臨し、クラーケンJr.を抱きかかえるように包み込む。

どす黒い毒のエキスが体中へ浸透し、内部から蝕んでいった。


「怖…!」

ハーベルが目を覆い隠した。


グギャーーーーー!


クラーケンJr.の断末魔が響き渡る。


「最後は、シザーズで切り刻んでやる!」

ハーベルが「切断」スキルを発動すると、クラーケンJr.の巨体は一瞬で粉微塵になってしまった。


「今のは、キツかったな…。」

ハーベルが息を整えながら呟いた。


「さて、お宝は?」

クラリッサが宝箱を開けると―― 。


【クラーケンJr.の目玉】2個

【神器:深海弓・ディープブルー】

【神ノ雫石】

【満月のネックレス】

【新月の指輪】


「うわ、大漁ですね!」

アクシアが喜んで手を叩いた。


【神器:深海弓・ディープブルー】

水属性アップ、炎耐性アップ。「的中」スキルにより使用者が水属性の場合、的中率が大幅に上昇する。


【神ノ雫石】

水属性アップの魔昌石。「源泉」スキルにより、水もしくはお湯を無限に出し続けることができる。


【満月のネックレス】

水属性大幅アップ、炎耐性大幅アップ。「新月」スキルにより【新月の指輪】を同時装備すると完全に姿と気配を隠せる。


【新月の指輪】

「満月」スキルにより、今困っていることを解決できる知恵を1日1つ得ることができる。


【クラーケンJr.の目玉】

至高の食材として高価に取引される、珍味。


「弓とネックレスと指輪は、アクシアが着けておいてね!」

「神ノ雫石は、私が頂いておくわ。」

リーフィアがアイテムをアクシアに渡した。


••••••••••

アクシア ♀ 【ミズリア王国の姫君】

種族:マーメイド

武器:【神器:深海弓・ディープブルー】

魔法属性:水属性

固有スキル:「精製」

武器スキル:「的中」「満月」「新月」

光:応用魔法5

闇:応用魔法5

炎:応用魔法5

水:究極魔法10

風:応用魔法5

土:応用魔法5

••••••••••


「こんなに頂いてよろしいのですか?」

「どう見てもアクシア用の装備だもんね!これで後衛からも攻撃できるようになるし!」

ハーベルがニコニコと笑いながら言った。

次回 深淵の守護者:紅き巨獣との死闘

続きの気になった方は、

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リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。

頑張って続きを書いちゃいます!

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