ゼリーの怪物と禁断の術式
「さっきの蟹って何か出ましたか?」
クラリッサが聞いた。
「ええっと、人魚の涙はないか…。」
ハーベルがアイテムを見せながら説明を始めた。
【クラブグラブ】【シザーズ】
【クラブグラブ】
ボクシングのグラブのような形をしているが、用途は不明。手にはめることで防御力を多少向上させる可能性がある?
【シザーズ】
巨大なハサミのような形をしており、特別なスキル「切断」と「転写」を持つ。
「切断」スキルにより、硬さに関係なく、どんな物でも切り取ることが可能。さらに、「転写」スキルを使えば、切り取ったものを別の物に貼り付けることができる。
例えば、絵や文字などを切り取って別の場所に転写することも可能。
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このシザーズの「切断」と「転写」は、何かに使えそうだから獲得しておこうかな… 。
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「シザーズは、もらっておいていいですか。」
ハーベルが皆に尋ねた。
「私は使わないからどうぞ。」
「私も結構です。」
「もちろん、ハーベルが使ってください!」
「ありがとう!」
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ハーベル ♂ 【医術師】【ネクロマンサー見習い】
種族:ヒューマン
武器:【シックスセンス】【シャークバイト】【シザーズ】
魔法属性:全属性
固有スキル:「統合」
「破壊」「精製」「合成」「構築」「解析」「分解」
獲得スキル:「設定」「把握」「毒耐性」「召喚」「魔法陣」「ライブラリー」「分離」「蘇生」「切断」「転写」
光:上級魔法9 神聖:応用魔法6 薬剤:応用魔法4
闇:上級魔法7 虚空:応用魔法4
炎:上級魔法7 黒炎:応用魔法4
水:上級魔法8
風:上級魔法8 雷鳴:応用魔法5
土:上級魔法8
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「次は、35階層のボスですね…。」
「これは何のマークですか。」
クラリッサが首をかしげながら聞いた。
「クラゲ?」
「そうね、クラゲみたいね…。」
「クラゲって何ですか?」
クラリッサはまだ見たことがなかった。
「うーん、説明しにくいな…。」
「見た方が早いですよ!」
そう言って、アクシアがボス部屋の扉を開けた。
そこにはこれまた巨大なクラゲがプカプカと浮いていた。
「何です、あのゼリーのお化けは…。」
「ゼリーのお化けか…うーん、的確な表現!」
「確かに…。」
「そんなことに、感心している場合じゃないですよ!」
「雷鳴:第4応用魔法!サンダー!」
ハーベルが間髪いれずに詠唱すると、鋭い稲妻がクラゲを直撃した、
プシューーー。
「効いてない?」
クラリッサがそう呟いた瞬間、クラゲが高速で回転すると、ハーベルの放った電撃が四方八方へ電気の矢のように襲いかかる。
「危ない!」
ハーベルが間一髪、アクシア目掛けて飛んできた矢を背中で防いだ。
「うう…。」
呻き声をあげてハーベルが倒れる。
「ハーベル、大丈夫!?」
アクシアたちがハーベルに駆け寄った。
「ああ、油断した…。でも、大したことないよ!」
ハーベルは痺れを我慢しながら立ち上がる。
「解析!」
「アイツ、雷耐性があるみたい…。」
ハーベルがクラゲを解析してみた。
「雷が効かないのは、厳しいわね…。」
「あんなのどうやって倒すの?」
クラリッサは困惑している。
「クラゲは熱に弱いですわ!」
アクシアがアドバイスをくれた。
「なるほど、じゃあ煮ちゃいましょう!」
リーフィアが右手の指を一本立てて、ふざけたように無茶を言い出した。
「いや、どうやって…?」
クラリッサもまだ困惑している。
「いいや、それはいい案かもしれませんよ!」
ハーベルが辛そうに身体を擦りながらニヤリと笑うと、なにやら思いついたようだった。
「アクシア、俺があのクラゲを壁で覆ったら、その中に大量の水を出してくれないかな!」
「お安い御用ですわ!」
ハーベルとアクシアが目で合図して頷いた。
「粘土:第4応用魔法!ラウンドウォール!」
ハーベルがシックスセンスを振り上げた。
ドドドド…ドドドド…ドド…。
クラゲの周りを覆うように巨大な円筒形の壁が競り上がってきた。
「アクシア、お願いできますか!」
「はい!」
「エイペックス・ダウンパー!」
アクシアが両手を上にあげて叫ぶと、巨大な壁の内側に集中豪雨のようにどんどん水が溜まっていった。
「うぉ、すげえ第9上級魔法だ!」
ハーベルが感動して目を輝かせながら叫ぶ。
「仕上げだ。加熱:第5応用魔法!ブレイジング・カルドロン!」
ハーベルがシックスセンスをクルっと回した。
大釜の周りにボッと炎がついて、一瞬で釜の中の水は沸騰してグツグツと煮え立ち始めた。
「本当に、クラゲを煮てる…。」
クラリッサはまたまた困惑してしまった。
「ああ、何でしょうこの光景は…。」
アクシアもよく分からない状況に困惑していた。
「もういいかな…。」
ハーベルがラウンドウォールを解除すると、すごい勢いで熱湯が周りに流れ出した。
クラゲは完全にどろどろに溶けてしまっていた。
「こんな倒し方があるんですね…。」
アクシアは逆に感心してしまっていた。
「アイテムはどうかな?」
【サンダーブローチ】【ゼリーな壺】
【サンダーブローチ】
雷属性アップ、痺れ耐性アップ。「避雷針」スキルにより、相手からの雷攻撃を無効化することができる。
【ゼリーな壺】
奇妙な色のゼリーが湧いてくる壺。未知の効果があるかもしれない…。
「サンダーブローチは、アクシアがつけといたら、もう感電せずにすむよ!」
「あ、ありがとうございます…。」
アクシアが微妙な表情で受けとる。
「いや、ハーベルぐらいしか海に向かってハイパラライズなんか使わないから…。」
クラリッサがおもいっきりツッコんだ。
「なかなか、人魚の涙が出ないね…。」
「次に期待ですね!」
アクシアが両手をぐっと握った。
次回 人魚の涙が導く運命の再会
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頑張って続きを書いちゃいます!