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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン4 【聖域巡礼編】(第二幕)
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人魚の願い:神殿へと続く旅路

ハーベルは食料の調達と探索のため、人気のない海岸線へと足を運んでいた。


「本当に、何にもないな…さっきの人魚さんもいないな…。」

潮風が吹き抜ける静かな海岸で、独り言を呟きながら砂浜を歩く。


「こうなったら、自分で魚でも獲ってみるか!」

そう言いながら、ハーベルは袋から鉄のインゴットを取り出した。


「鉄の網を作ってみようか…。」

器用に細い針金を作り出し、網状に編み込んでいく。しなやかでありながら強度のある網が次第に形を成していく。


「よし、これを海に浮かべて…。」

ハーベルは網を水面に広げると、魔法の詠唱を始めた。


「雷鳴:第5応用魔法!ハイパラライズ!」


金属の網に魔力が宿り、電流が放たれた。

網を中心に広範囲にわたって放電し、水面に激しい波紋が広がる。しばらくすると、次々と魚が痺れて浮かび上がってきた。


その中に、大きな影が動いた。


「…ああ、あれは人?ヤバい!」


ハーベルの顔が驚愕に歪む。すぐさま海へ飛び込み、浮かび上がった影を掴んだ。力強く腕を伸ばし、波に揺られる身体を岸へと引き上げる。


「…さっきの人魚さんだ。」

ハーベルは水滴を拭いながら、目の前の人影を確認する。


彼女は意識を失ったまま、浅い呼吸を繰り返していた。


ハーベルは迷うことなくテルミットを掲げた。


「大変です!師匠、さっきの人魚さんにパラライズをかけてしまいました…すいません…。」

「こっちへ寝かせて!」


「ハイライフ!」

ハーベルが詠唱し、魔法の力で体力を回復すると、彼女を優しく寝かせた。


「パラライズは、痺れが回復するのを待つしかないか…。」


その時、駆け寄る足音が聞こえた。


「ハーベル、どうしたんです?」

クラリッサが息を切らしながらやってくる。


「ああ、さっきの人魚?」

「やっちゃいました…。」

「ええ、殺しちゃったの?」

「いや、パラライズですって…。」

「ビックリした…。」


「…ああ、ここは?」

低い声が響く。


アクシアがうっすらと目を開けた。


「ごめんなさい…。」


ハーベルはすぐさま土下座し、深く頭を下げた。


「ええ、私はどうなったの?」

「俺がミスして、パラライズをかけちゃいました…ごめんなさい…。」


アクシアは自分の手を動かそうとするが、まだ完全には力が戻らない。


「急に痺れたからビックリしちゃった…。」

「申し訳なかったわね、うちの弟子が…。」


リーフィアもアクシアに向かって丁寧に頭を下げる。


「私は、リーフィアといいます。あなたのお名前は?」

「私は、アクシアと申しますの!」


「アクシアさん、お詫びと言ってはなんですが、よろしかったら夕食でもご一緒にいかがですか?」

「ええ、嬉しいお誘いですわ!」


アクシアはふわりと微笑みながら、ゆっくりと身を起こした。


「ええ、足が…。」


その様子を見ていたハーベルの表情が驚きに変わる。


「ああ、人魚は陸に上がると、足で歩くこともできるのですよ。ただし、時間制限がありますが…。」

「どのくらい人間でいられるんですか?」

「そうですね、半日くらいなら大丈夫ですわ!」

「それを超えると?」

「人魚に戻れなくなってしまいます…。」

「それは、大変だ…。」


ハーベルは無意識に息を呑んだ。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


テーブルについた四人が楽しそうにリーフィアの美味しい食事に舌鼓を打っている。


「お口に合いますか?」

ハーベルがアクシアに尋ねる。


「ええ、こんな美味しい食事、食べたことがありませんわ!」

アクシアは夢中で食べ進めている。


「よかった!」


「師匠、アクシアさんにテルミットを渡してもいいですか?」

「そうね、お詫びにどうぞ。」


リーフィアがアクシアに光る珠を手渡した。


「何でしょうか?綺麗ですね!」

アクシアは不思議そうに珠を眺める。


「ここは、私が説明します!」

クラリッサが説明を買って出る。


「なるほど、とても便利そうですね。ありがとうございますわ!」

アクシアは丁寧にお辞儀をした。


「あの~もしかして、水の神殿へ行かれるのでしょうか?」

「はい、俺の修行に行くつもりです!」


「大変ぶしつけとは存じますが、私もご一緒させていただけないでしょうか?」


「俺は、全く問題ないですが…。」


ハーベルが後ろを向くと、リーフィアとクラリッサが微笑んでいた。


「うん、オッケーです!」

「オッケー?」


「アクシアさん、了解したということです…。」

クラリッサが説明した。


「アクシアさん、差し支えなければ理由を教えていただけますか?」


リーフィアが丁寧に尋ねる。


「実は、私、人間になりたいのです!でも、完全に人魚に戻れないというのも困るのです…。そこで、いい噂を聞いたのです!」

「どんな?」

「何でも水の神殿に【人魚の涙】というアイテムがあって、それを身につければいつでも人魚に戻れるというのです!」

「なるほど、それをゲットするのが目的なんですね!」


「ゲット?」

アクシアが不思議そうに首をかしげる。


「ハーベル!もっと分かりやすい言葉で話して!」

クラリッサが少し怒る。


「じゃあ、決まりだね!」

ハーベルは嬉しそうに笑った。


「では、お師匠様、よろしくお願いいたします!」

アクシアが丁寧に頭を下げた。

次回 水の神殿と封じられし秘密

続きの気になった方は、

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リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。

頑張って続きを書いちゃいます!

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