ケースⅢ 阪口琴音 3章
………それから琴音は同意書にサインをしたすると琴音は突然「あともう一つあるの。お婆ちゃんのお墓参りに行きたいの。でも場所もお墓参りの仕方も分からないの。一緒にしてくれない?」亜久田はめんどくさいと思いつつもこれも仕事の一環だと思い了承した。
その代わり3日間は待って欲しいと頼んだ。そして亜久田は琴音を駅の近くのビジネスホテルに泊まらせた。
あんな場所で変な男に引っかかって性病を移されたら台無しだ。もっとも既に性病になっているかもしれないがその点には目を逸らした。
翌日から亜久田は幾つかの芸能事務所に問い合わせ琴音の祖母に似てる女性を探した。声色を似てる人を探すのは難しいが琴音の事だから騙し通せる自信はあったが見た目はある程度寄せないといけないそういった考えからだった。3日後琴音と合流するとまず2人でお墓参りに向かった。琴音の実家の住所もお墓の場所も接触前に抑えていたので車で向かって丁寧にお墓参りをした。その後亜久田の運転する車は個室のあるレストランへと向かっていった。レストランに着くと亜久田はウエイターに「予約していた亜久田だ。」と話し掛けるウエイターは微笑みながら「お待ちしていました。どうぞこちらへ。」と案内した。亜久田は琴音に「ここからは2人の時間だからゆっくり楽しんでくれ。」と優しく語りかけた。
それからどれくらいの時間が経っただろうか亜久田は近くのコンビニで購入したコーヒー片手に読書に耽っていた。やがて琴音が車に乗り込んできた。琴音は開口一番。「死んだお婆ちゃんに会えるなんて夢見たい。亜久田さん本当にありがとうございます。」と亜久田に感謝を述べた。「どういたしまして。それでは琴音ちゃん行こうか。」そう言って車のエンジンをかけた。
………彼女を空港まで届けるとそこには黒いスーツに身を包んだ仲間が待っていた。彼らに琴音を預けると亜久田は家路についた。
某国の金持ちが綺麗で若くて胸の大きい女を高値で買いたいという1ヶ月前だった。亜久田が最初に狙いをつけたのは中根だった。日本人の女の年齢なんて外国人には分かりっこないとたかを括っていたのだがそもそも見た目が好みではなく破談となった。代わりとして裏で繋がっている警察から情報を貰い立ちんぼをしている若い20代の女をリストアップした結果琴音に決めたのだ。琴音は自分の年齢を理解していなかったが彼女は今年27歳で10年以上前に亡くした祖母の事を大事にしていたというと聞こえは良いが亜久田に言わせたら「祖母が亡くなってからの時間何も築いていない。」という事になる。
どうせ金持ちにすぐに飽きられてすぐに捨てられるだろうと亜久田は思っていたがその時は人身売買のネタでタダで肉体を頂いて臓器を売り払おうと思った。今回は出演料を払っても充分なプラスになる程の儲けがあった。組織が儲かったのだからそれで良いと亜久田は無理やり自分を納得させていた。