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ケースⅠ 金田竜也 3章

………それから1週間亜久田はこの金田とデートを繰り返した。

1日目あのやり取りの後金田は同意書にサインをし、一錠の薬を服用して,高級ディナーへ繰り出した。

2日目は近所の遊園地に3日目は近所のファミレスで金田の話を聞かされ続けた挙句泊まり込みの温泉デートを申し込まれた。亜久田はやんわりと断ろうとするも親戚の旅館に無理矢理頼み込んで明日から部屋を取ったらしい。

4日目と5日目は亜久田にとって地獄の時間だった思い出したくもない。

「お、お、男同士だから一緒に入ろうよ〜」相変わらず吃りながら金田が醜く誘うがそれを何とかかわした。あと少しの我慢だと亜久田は思っていた。6日目この日の夜に元同僚と久々に会うとの事。その際"彼女"として紹介したいと言われてこの日の昼間は無理矢理女物の服を買わされ着せられた。おい、前から気になっていたんだがこの1週間のデート代はどこのサラ金で借りたお金なんだ?それを返すのは誰だと思ってるんだ?

そして待ち合わせの居酒屋に着くと元同僚らしい男が3人店前でたむろしていた。

「いやぁ〜金田もこんな可愛い彼女居たなんてなぁ〜」生ビールのジョッキ一杯で顔を赤くさせながら元同僚が喋れば、

「金田さん突然会社辞めたんですけどこんな彼女さんが居るんだったら幸せ確定ですね。」

後輩らしき男が乗っかる。

「ま、金田も彼女さん大事にして新しい仕事頑張って探せよ。」この話を締めるかの如くもう1人の元同僚が金田を励ます。

…おいおいめちゃくちゃ良い職場じゃん。

結局この場は元同僚の3人が割り勘で出してくれた。金田達は1円も払わずに解散した。

亜久田と金田の足音だけが響いている他に人気はない。亜久田はスマホの時間を確認する23:18…あともう少しだ。すると金田は亜久田を思い切り押し倒した。

「あ、あ、あと少しの人生なんだせめて最後やらせてよ!」そこに気弱で借金取りに怯えている金田はそこに居ないコイツは発情期のオスザルだ。

亜久田は金田を振り払い必死に逃げる。亜久田は無理矢理女装をさせられているだけなのだ普通に逃げ切れると思っていた。

しかし金田は亜久田に追いついて抱きついてきた。

そしてキスをしようと顔を近づけたその刹那時計の針は0時になった。そして金田はゆっくりとその場で倒れ込んだ。

……しばらくして黒いバンが到着して金田を運び出した。金田は気を失っただけだ。

ただ2度と目を覚ます事はない。

1日目に飲ませた薬は1週間後の午前0時に気を失うそんな超遅効性の薬だ。

そして2度と目を覚さない被験者の臓器をゴッソリ抜くのが亜久田達の組織だ。

亜久田達の組織はまず借金を抱えてたりして世の中に絶望してそうな人間をピックアップする。そして様々な情報を収集して絶望してそうな人間に言葉巧みに近づくのが亜久田の仕事。

ここで謝らなくてはならない。

亜久田はただ背が小さくスキンケアに力を入れている男だ。悪魔ではない。

もっとも彼は悪魔だと思い込む事で自分のやってる事から目を背けているのだ。

ちなみに亜久田は本名ではない。

                    

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