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ケースⅥ 清田直道 1章 (極・ドルオタ)

ーーー令和5年の自殺者21,818人。自ら命を絶つ者が後を絶たない中1人の悪魔が取り引きを持ち掛けて自殺を食い止める。そんな物語。

………(割りの良い日雇いバイトだったな)

そんな事を思いながら清田直道はバイトの帰路に着いていた。

清田が今回参加したのはあるアイドルのライブのサクラだった。そのアイドルの名前も顔も知らなかったが、ただSNSのダイレクトメッセージで「1時間のライブを盛り上がるだけで5000円」と書かれていたので、

その日特に用のない清田は参加して日銭を稼ぐ事に決めたのだ。電車に揺られる事40分。ようやく清田の自宅に着いた。清田は現在年老いた両親と同居をしている。元々は東京の中堅私大を卒業後、都内の新興不動産会社の営業職の仕事に就いた。しかし過剰なノルマ、残業はほぼ毎日で、上司のパワハラに至っては毎日だった。毎日仕事でボロボロな中、大学の頃の友人に誘われたのが「新宿メモリーズ」のライブだった。

彼女達の懸命なパフォーマンスが清田に元気を与えてくれた。しかし現実は残酷なもので清田自身は中々結果を残せない日々が続いた。それでも清田はどんなに残業しても上司から罵倒されても彼女達がいれば頑張れた。そんなある日清田は営業部長から呼び出された。普段は清田に対して眉間に皺を寄せて今から罵倒しますよ、といった表情なのだがこの日は全然違っていた。「言いにくいのだが今回清田君に相談があるんだ。」普段は呼び捨てなのに君付けだ。

「現在、我が社は業績不振でな。契約を取れない営業職を中心に人員整理をしようと思っている。ただ解雇は最終手段だ。そこで何人かピックアップして退職勧奨…要は仕事を辞めるよう促すという事だね。今回清田君が退職してくれたら当然会社都合になるから失業保険は速やかに支給されるよ。あ、我が社は退職金は出さないという事は最初の労働契約書に明示されているから。ま、そんな訳なんだけど清田君はまだまだ若い。向いていない仕事を続けるよりも失業保険を貰いながら新しい仕事を探した方が良いんじゃないかな?」普段とは全然違う部長の語り口だった。いやコレが彼の本来の性格なのだろう。今までは結果の出ない自分だから厳しく接していたのだと清田は思った。

「分かりました。今までお世話になりました。」

こうして清田は営業の仕事を離職するとすぐさま都内の家を引き払い実家に戻った。そしてフリーター生活をしながら「新宿メモリーズ」を追いかけるそんな日常が始まった。

そんな昔の事を思い出していたらいつのまにか眠りに落ちていた。そして朝を過ぎて昼間になってようやく清田は目を覚ました。

そしてSNSを開くとそこには「新宿メモリーズ」解散という衝撃的なポストがあった。

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