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ケースⅤ 東堂美織 2章(なんて言ったってアイドル)

………「今日もミオリンは輝いていましたよ〜

そんな人を家までお送り出来るなんて光栄だなぁ〜」

そう青年が東堂を持ち上げた。

わざとらしいヨイショだが青年の美しい声のお陰で東堂は気分良くしていた。

「でも私全然人気なくてピンクの杏奈が1番人気なんだ。なんで緑って地味な色が私の色なのかな…」

そう東堂は愚痴を漏らした。続けて、

「私借金もあるんだ…へへへ…もうアイドル辞めようかな…」東堂は愚痴を続けていた。内心この青年がまた持ち上げてくれると信じて。

すると青年が「整形を繰り返してアイドルになったにも関わらず人気が出ずその上で父親が借金を苦にして自殺して自分自身の人生に絶望している…私には分かりますよ…そんなあなたに良い話があるんです。」

予想外の青年の話に驚きつつも良い話の続きが気になった。普通なら話もしていない自分の身の上話を知っている事を追求するべきなのだがそんな思考にさせない。そんな不思議な魔力をこの青年は持っていた。

青年はハンドルを握り前を見据えながら話を続けた。

「私亜久田と申します。私は世界中のお金持ちの男性と美しい日本の女性をマッチングさせるそんな仕事をしているんです。そこであなたの様な美しい女性に目を付けたという訳です。どうでしょう私が紹介する男性の元はお嫁に行きませんか?私が紹介する男性の元へ行けば借金はチャラですし家事も全て家政婦に任せたら良いですし自分磨きに幾ら使っても旦那様は文句を言いません。それでも異国の地は行くのは恐ろしいでしょう。もちろんタダでとは言いません。日本に滞在している間あなたの望みを一つ叶えましょう。」

胡散臭い。胡散臭い事この上ない。

ただ自らの才能の限界を感じていた、東堂にとってこの亜久田の申し出は最初で最後のチャンスに思えた。

「私最後に沢山の人の前で歌を歌いたい。

売れない地下アイドルだけど最後くらいはそんな体験をしてみたいの?無理?」

亜久田は相変わらず前を見据え表情一つ変えないが、静かに頷いた。

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