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ケースⅤ 東堂美織 1章 (なんて言ったってアイドル)

ーーー令和5年の自殺者21,818人。自ら命を絶つ者が後を絶たない中1人の悪魔が取り引きを持ち掛けて自殺を食い止める。そんな物語。

………ステージ上に可愛らしい衣装を身に纏って5人の女の子達が4.5年前に売れたアイドルソングを笑顔で歌っていた。彼女達「Happy Smile」は俗にいう地下アイドルだ。その中で緑色をメインの衣装を身に纏っているのが東堂美織。通称ミオリンだ。

彼女達の演奏に10人の観客は思い思いに楽しんでいた…

やがてライブが終わり東堂も帰路についていた。出入り口には2.3人の出待ちのファンがいたが、全員東堂が目当てではない事を悟っていた。「Happy Smile」には梶本杏奈という絶対的なエースが所属していた。この出待ちファンも全員梶本目当てだろう。

東堂は幼い頃からアイドルに憧れていた。ただ自分の顔に自信が待てなかった。そこで東堂は町工場を経営していた父を頼った。

父にとって娘は自慢の娘だった。そんな娘がアイドルになりたいと言うのだからどんな事でもしてあげた。

幼い頃からレッスンに通わせ、整形費用も工面した。

ただ父が経営していた町工場は次第に傾き父は借金を苦に自殺した。今東堂家に残されたのは父親の借金と整形を繰り返した地下アイドルの娘とすっかりくたびれた母親だった。

東堂は自らのスタイルには自信があった。くたびれた母親や借金返済の為に性を売り物にしようかとぼんやりと考えながら駅へと向かおうとした。

すると目の前にハットを被りロングコートに身を包み手に花束を握った青年が立っていた。

(どうせ、コイツも梶本の出待ちでしょ。)そう東堂は内心毒付いていた。

そんな中青年が東堂に声を掛けた。

「私あなたのファンなんです。よろしかったら家までお送りします。」そう言って東堂に花束を手渡した。

アイドルとして一ファンと個人的な繋がりを持つ事は許されないと東堂は思っていたが青年の美しい声とその雰囲気に圧倒され促されるまま車に乗り込むのだった。

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