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最終話 はじめまして!

そんなわけで、最終話です。

 野々宮(ののみや)涼多りょうたは焦っていた。そろそろ日付が変わる時刻、今夜は帰宅したらば夕食と並行して洗濯機を回さねばならないのだ。しかし彼の思惑は突然に降り出した雨のおかげですっかり打ち砕かれてしまった。


「まいったなぁ、今夜洗濯できないと明日着るシャツも下着もないぞ」


 こうなったら頼みの綱は二十四時間営業のコインランドリーか。


「仕方ない、夕食はおあずけだ」


 ここ何か月か、涼多の毎日は仕事と家事に追われる日々だった。彼の職場でリストラが始まったのは今から二年ほど前、当初は退職金の上乗せなどそれなりの条件が提示されたおかげで次々と人が辞めていった。早期退職募集も三度目ともなればこれと言った目玉の好条件が提示されることもなくなっていたが、それでもポツポツと希望者が面談を申し込む。そのような状況になっても涼多が会社に残っているのは仕事の面白さと、なにより上司であるゼネラルマネージャーの神崎こうざき香苗かなえへの憧れのおかげだった。

 そんな彼もプロジェクトマネージャーの端くれ、今では自分でプログラムを組むよりも実作業は委託先に任せての進捗管理が主な仕事となっている。しかしそれだけに些細なトラブルがあった場合、その対処を自分の裁量で対処できないもどかしさがあった。そして今日この日も夕刻に発覚したシステムトラブルの原因調査から動作検証までを完了させるのにこの時間になってしまったのだった。



「とりあえず急ぐか」


 涼多の足は速足から小走りに変わる。やがて彼が住まうフラットが見えてきたとき、彼はその異変に気が付いた。

 部屋の灯りが点いている。しまった、部屋を出るときに消し忘れたか。何はともあれ彼は玄関のドアを開けた。すると……


「お帰りなさいませ、ご主人様!」


 彼を出迎えたのはメイド服に身を包んだ少女だった。黒い衣装に白いブラウスが涼多の部屋では妙に浮いて見えた。やさしい笑顔で彼女は言う。


「お夕飯ができてます。お洗濯も済ませておきました」


 涼多は混乱した。

 いったい何が起きているんだ、とにかく冷静になれ。

 深呼吸すると少しだけ気持ちに余裕が戻って来た。そうか、これは親父かおふくろの差し金だな。お見合いの代わりにこの娘を送り込んだのだろう、サプライズとか言って。そうだ、そうに違いない。

 涼多は屈託のない笑顔を見せる少女を前にしてなんとか平静を装いながらその名を尋ねる。すると彼女はおどけた敬礼をしながら答えた。


「モコだよ、これからよろしくです!」




(習作)モコ・あ・モコ ~ その前日譚


―― 終幕 ――


謝辞:

紹介文にも記載の通り、本作はここまでとなっております。構想ではかなり先までのストーリーを用意しておりますが、とっ散らかってしまった上に完結しそうになかったのでお蔵入りしております。

未完の公開ですみませんです。


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