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ファクト ~真実~  作者: 華ノ月
第五章 羽を失った鳥は猛獣をエサにする

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19.


「真奈美さん、罪を認めましたかね……?」


 特殊捜査室で待機している奏がそうぽつりと呟く。


「どうだろうな……」


 その言葉に透がそう呟く。


「まさか、真奈美って人が零士と関係を持っていたなんてな……。その上、子供まで身籠っていたとは……」


 紅蓮が「信じられない」と言う顔でそう言葉を綴る。


 金森から聞いた話は「零士の子供を身籠った子がいて、その子供を堕ろさせた」と言う話だった。その話を聞いたときは信じられなかったが、薬品や道具などが見つかったことで真実だと分かる。


「でも、意外だな。あんな男に真奈美って人が関係を持つだなんて……」


 透が眞子から聞いた真奈美のイメージと異なるのか、そう言葉を綴る。


「零士さんと一緒になるつもりだったのでしょうか……」


 奏がそうぽつりと呟く。


「あんな男と一緒になったところで幸せになれるとは思わないがな」


 槙が淡々と言葉を綴る。


 奏たちは本山の連絡を待ちながらいろいろと考えを巡らせた。




「はぁ~……」


 真奈美が連れていかれて、ママがため息を吐く。


(まさか真奈美ちゃんまで連れていかれるなんて……)


 この店ももう終わりかもしれない……。そう言った考えが浮かんでくる。真奈美が連れていかれたことで、より客足は遠のいていくだろう……。これ以上客が減れば店の継続は難しいかもしれない。


(どうしましょうかね……。あ……)


 ママがあることを思い出す。


(眞子ちゃんにはこの事、どうやって言おうかしら……。真奈美ちゃんのことかなり慕っていたし……)


 眞子の事を考えると、真奈美が警察に連れていかれたという事は黙っていた方がいいような気がする。慕っていた真奈美が警察に連れていかれたと聞けばかなりのショックを受けるだろう……。


 どうやって眞子に話そうか悩む。


 その時だった。


「おっはよーごさいまーす!!」


 眞子が店に出勤してきて元気に挨拶をする。


「あ……あら、眞子ちゃん。今日もよろしく頼むわよ?」


 ママがいろいろと思案しているところに眞子が来て少し焦り気味でそう言葉を綴る。


「はーい!!……て、あれ?珍しく真奈美さんはまだ来ていないんですか?」


 眞子が真奈美がいないことに不思議そうに声を出す。いつも一番には店に出勤している真奈美がいないので不思議な顔をしていた。


「あ……あぁ……。真奈美ちゃんならしばらく旅行に行くからお休みをするそうよ?」


 ママが咄嗟にそう誤魔化す。


「えぇ~?!そうなんですか?!旅行に行くなら私も一緒に行きたかったですよぉ~……」


 眞子が「ブーブー」と口を鳴らしながらそう言葉を綴る。「何処に行ったのかな~?」とか「帰ったら聞いてみよう」とかそう言った事を呟きながら真奈美が本当に旅行に行ったのだと思っている。ママはその様子を見ながら胸を締め付けられる思いに駆られる。


 そして、他の女の子たちも出勤してきて時間が来ると、店の看板が灯った。




「四種類……?」


 本山から出てきた言葉に真奈美がそう声を出す。


「二種類じゃないんですか……?」


 真奈美が訝しげな表情でそう言葉発する。


「……?被害者の身体から採取した薬品は四種類だったぞ?」


「……え?」


 本山の言葉がよく分からないのか、真奈美が「どういうこと?」と言う表情をしながらそう言葉を発した。




「あぁ~!たくっ!!まだ取り調べ終わらないのかよ?!」


 紅蓮が駄々をこねた子供のようにそう声を発する。


「思ったより掛かっているな」


 透がそう呟く。


「なかなか認めていないのでしょうか?」


 奏がそう言葉を綴る。


「まぁ♪その内に連絡があるわよ♪」


 冴子がそう言葉を綴る。


 その時だった。



 ――――ガチャ……。



「……おい、ややこしいことになったぞ」



 本山が部屋に来て、そう声を発する。


「何かあったの?」


 冴子がそう声を発する。


「実はな……」


 本山がそう言って先程の真奈美とのやり取りを話した。




「……私が使った薬品は二種類ですよ?」


「なっ……?!」


 真奈美の口から出てきた言葉に本山がそう声を発する。


「……おいおい、今更何を言って……」


 本山が罪逃れ為の言葉だと思い、そう声を出す。


「本当です……。私が使った薬品は二種類です。それを二つのカプセルに忍ばせて渡しました」


「……杉原、確認を取れ」


「はい」


 聴取を記録していた杉原が部屋を出て行く。


 しばらくして、杉原が取調室に戻ってくる。そして、本山の耳元で小声で伝える。


「……本山さん。例のサプリメントケースから確かに二種類の低血圧の薬を混ぜたカプセルが二つあったそうです」


「……どういうことだ?」


 杉原の話を聞いて、本山がそう声を発した。




「……という事があったんだ。真奈美の様子からしても嘘をついている感じでもない」


 本山がその時のやり取りを話してそう言葉を締め括る。


「……ってことは……」


 透がその話を聞いてそう声を漏らす。


「あぁ……。真犯人は別にいるかもしれないという事だ……」


「一体……誰が……?」


 本山の言葉に紅蓮がそう声を発する。


「他に誰が零士と繋がりを持っているか調べて見よう……」


 透が真剣な表情でそう言葉を綴る。


 そして、零士が勤めていたクラブに足を運んだ。




「……あぁ、この子ですよ」


 透が見せた何枚かの写真の一つにホストが指を差してそう答える。


「本当ですか……?」


「えぇ、間違いないです」


 紅蓮の問いかけにホストがそう答える。


「この人は零士とどういう関係だったんですか?」


「関係と言うか、その子は――――」


 透の言葉にホストがある話をする。


 そして、話が終わり、お礼を言うと紅蓮と透はその場を後にした。


「どうでしたか?」


 店の外で待機していた奏がそう声を掛ける。


「誰か繋がりがいる奴はいたのか?」


「あぁ……」


 槙の言葉に紅蓮がそう答える。


「……なぁ、もしかして……」


 透があることを思い出し、その話をする。


「……じゃあ、あれはそういう意味ってことですか……?」


 奏が透の話を聞いてそう言葉を綴る。


「紅蓮、お前確か……」


 透がそう言って紅蓮からあるものを受け取る。


「ですが……、動機は何なのでしょうか?一体何があってそのようなことをしたのかが全く見当がつかないのですが……」


 奏が困惑しながらそう言葉を綴る。


「とりあえず、照合してみよう……」


 透がそう言葉を綴り、奏たちは署に戻った。



 署に戻り、急いで照合を掛けると、それは一致した。分からないのは動機だが、それは本人に聞かないと見当が付かないという事になり、奏たちはある場所に車で赴くことになった。




「……真犯人はあなただったんだね……」




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