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ファクト ~真実~  作者: 華ノ月
第五章 羽を失った鳥は猛獣をエサにする

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16.


 麗美はそう言って話し始めた。


 下井とは店で知り合い、最初は客の一人で麗美を気に入り、麗美もお金のために下井と寝たこともしていた。そして、その報酬として金銭を受け取り、そのお金を零士に使っていたという。


「零士に愛されたかったんです……。だから、零士に気に入られるためにお金が必要でした。稼いだお金を零士に使うことで身体の関係も持つことも出来るようになったんです……。でも、ある日……」


 麗美はそう言って零士に憎悪を抱いた日の事を話した。




「ねぇ、もっと……もっとしてよ……」


 ベッドの上で麗美がことが終わった後で更に零士にねだる。


「もう十分ヤッただろ?」


 零士がタバコを吸いながらうんざりするようにそう言葉を発する。


「ん~……足んないからもっと~♪」


 麗美が甘えた声を出しながら零士の背中に手を回す。


「離れろよ……。タバコが吸いにくいだろ……」


 零士がそう言って麗美の腕を解こうとする。


「えぇ~?!いいじゃん!あんだけ貢いでるんだから……」


 麗美が頬を膨らませながら不満そうにそう言葉を綴る。そして、零士の前に行くと、身体をくねらせて色っぽく見せるように零士の前で胸を揺らす。


「ね?もう一回……」


 甘い声を出して麗美が抱き付こうとする。


 その時だった。



 ――――ドンッ!!!



「きゃっ!!」


 零士が怒り顔で麗美を突き飛ばす。麗美は床に尻餅を付いて声を上げた。


「いい加減にしやがれ!この我が儘女!!お前なんてスタイルがいいだけの厄介女なんだよ!!一応貢いでもらっているから大人しくしていたが、「あれして」「これして」が多すぎんだよ!!そんな女と何回もする気になれねぇよ!!はっ!お前には黙っていたが、俺、あんたとのセックスに何も感じないから興奮剤を飲んでやってるんだよ!じゃないとお前みたいな女に感じないからな!!」


「う……うそ……」


 零士の言葉に麗美の顔が真っ青になっていく。


「もうお前との関係はこれで終わりだ!!うんざりなんだよ!!二度とその面見せんじゃねぇ!!」


 零士がそう言って、放心状態になっている麗美の横を通り過ぎて脱いでいた服を着ると、その部屋を出て行こうとする。


「あ、お前が誘ったんだからお会計はよろしくな♪」


 零士は最後にそう吐き捨てると、部屋を出て行った。


 部屋に一人残された麗美は、身体を震わせながら涙を流していた。


「薬を使って興奮させてたですって……?私のこの身体に何も魅力を感じなかったって言うの……?」


 わなわなと震えながら恨むような声で呟く。


「あんだけ貢いでいたのに……それなのに……」


 涙を流しながら唇を噛み締める。


「……許さない……絶対に報いを受けさせてやる……」


 鬼のような形相で相手を呪うように小さく言葉を吐いた。




「……それで殺害計画を立てたというわけか……」


 麗美の話を聞いて本山がそう言葉を発する。


「……それで、下井さんに毒を作ってもらえないかと言う話をしました……。その代わり、下井さんの女になるという条件付きで……」


「……その条件で下井がその話をのんだというわけだな」


 本山の言葉に麗美が力なく頷く。


「……で?零士にその毒はどうやって仕込んだんだ?」


「それは……」


 麗美がそう言って零士にどうやって毒を仕込んだかを話しだした。




「……透も厄介な女に気に入られたよな」


 紅蓮がコーヒーを飲みながらそう言葉を綴る。


 奏たちは特殊捜査室で本山から連絡が来るのを待つのに、各自でそれぞれ書類整理の仕事を行っていた。


「……で?どうなんだ?あの麗美って子、やたらスタイルは良かったよな?ちょっとはクラっときたんじゃないのか?」


 紅蓮が目をキラーンと光らせながらそう言葉を綴る。


「そんなわけないだろ……。最初から苦手だったよ……」


 透が呆れかえるように紅蓮を馬鹿にしたような口調でそう言葉を綴る。


「その女にクラっときたのはお前の方じゃないのか?野獣」


 槙が淡々と言葉を綴る。


「あぁ?槙!!誰が野獣だよ!俺だってあんな女はごめんだ!!」


 紅蓮が槙の言葉に怒り口調でそう言葉を叫ぶ。


「どうだかな。女に見境のないお前ならあり得る話だ」

「誰が見境ないんだよ?!俺だって女は選ぶさ!!」

「じゃあ、その麗美って女が誘ってきたらどうする?」


「……うっ」


 槙の言葉に紅蓮が声を詰まらす。


「ほれみろ。やっぱり見境ないじゃないか」


 槙が「してやったり」と言う得意げな表情でそう言葉を綴る。


「う……うるせぇぇぇぇぇぇ!!」


 紅蓮が顔を赤くしながら叫ぶ。


 奏はその様子に口が挟めなくて、アセアセとしながらその状況を見守る。


「とにかくこの書類をとっとと片付けるわよ~」


 そこへ、冴子がそう声を出す。


「まぁ、紅蓮の女好きは今に始まった事じゃないし、どうせその麗美って子もすぐに飽きると思うわよ?♪」


 冴子がサラッと毒を吐くように笑顔でそう言葉を綴る。


「さ……冴子さんまで酷いですよ?!」


 紅蓮が半泣き状態でそう訴える。


「……そういえば、一つ気になっているのですが、麗美さんが仕込んだのは毒ですよね?じゃあ、零士さんの遺体から検出されたのは……」


 奏がそこまで言いかけた時だった。



 ――――ガチャ……。



「……落ちたぞ」


 そこへ、本山が入って来てそう言葉を発する。


「お見事♪」


 冴子がその言葉に笑顔で両手を鳴らす。


「ただ……」




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