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ファクト ~真実~  作者: 華ノ月
第四章 黒い鴉に尽くしていた白い鳥

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1.

~プロローグ~



 ――――ガシャーン……!!!



 一人の男がテーブルの上にあったガラスコップを壁に投げつけて盛大な音を鳴らす。


「なんでこんなことも出来ないんだよ?!」


 そして、叫びながら一人の女に罵声を浴びせる。


 女はその男の様子に脅えたまま、ガタガタと震えていた。


「くそっ!くそっ!なんでお前みたいな女と付き合うことになったんだよ?!」


 男が女に向ってそう吐き捨てる。女はガタガタと震えたまま言葉を紡げない。そして……。


「ふ……ふぇぇぇぇぇん……」


 まるで子供が泣くような仕草で泣き始める。


「泣いてんじゃねぇよ!!お前がこんなに手のかかる女だったとはな!!」


 男が怒りを露わにしながらそう罵声を浴び続ける。


「あいつが……あいつが俺を捨てなきゃ俺はこんな女と付き合わずに済んだんだ……。全部……全部……あいつのせいだ!!!」


 そんな言葉を吐き続けながら女に暴言を投げ続ける。



 女は男の傍らでただただ声を上げて泣き続けた……。




「……げっ!やっちまった……」


 一人の男がそれを見て声を上げる。


 そして、それを隠すために別のものでそれを覆う。


 それから、それを通じてあることを感じ、興味本位であるものを仕掛ける。



 まさか、それがあんな形でこの事が表に出ることになるとは考えてもいなかった……。




1.


「……う~ん……。この続きはどうしたら良くなるかなぁ~……」


 奏が休みの日を利用して自室にあるノートパソコンに向き合いながら唸っている。


 奏は趣味で物語を書いている。今書いているのはヒューマンドラマのようなミステリーだ。しかし、話の流れは決まっているものの次の展開に持っていくにはどうしたら上手く繋がるかを悩み中である。


「あー!思い浮かばない!!うん!ちょっと気分転換しよう!!」


 奏はそう言って立ち上がるとお出かけの格好に着替えて、外に出て行くことにした。家を出る前に友達である絵美えみに電話をする。


「もしもし、絵美ちゃん?今いい?」


 そして二言三言交わして、会う約束を取り付けると、母親である雫にそのことを伝えて元気よく家を出て行った。


 最寄り駅まで歩いて行き、電車に乗る。その間も絵美とメッセージでやり取りをしながら電車に揺られていった。



「絵美ちゃん!久しぶり!!」


「久しぶり、元気そうだね。今日の服も素敵じゃん」


 ワンピース姿の奏を見ながら小坂こさか 絵美えみがそう言葉を綴る。絵美は黒のパンツタイプの上に黒のタンクトップを着てその上に長めのカーディガンを羽織っていた。


「絵美ちゃんの今日の格好もいいね!凄くカッコイイよ!!」


「ありがと!とりあえず、いつものカフェに行こうか」


「うん!」


 そうして、いつものカフェに向って歩きだした。



「……それにしても、あの頃と比べると本当に良くなったよね。綺麗になったし、表情も生き生きしてるよ」


 カフェに入り、絵美が注文したアイスコーヒーを飲みながらそう言葉を綴る。


「あの頃は本当に苦しかったからね。でも、今はとても楽しいよ!」


 笑顔で言葉を綴る奏を見ながら絵美がその様子に安堵感を覚える。


「なんか意外だよね、奏が警察官なんて……。仕事はどう?慣れてきた?」


「うん!まだまだだけど、やっていて楽しいかな?なんか、驚くことも多いけどね」


 絵美の言葉に奏が照れ笑いを浮かべながら嬉しそうに話す。


「広斗さんとはどうなの?上手くいってる?」


「うん!仕事は相変わらず忙しいけど、会える時は会いに来てくれるよ」


「そっか。良かったよ、いい人が出来て……」


 奏の言葉に絵美が安心したように言葉を綴る。


 そして、二人で最近の事を話し、穏やかな時間を過ごしていった。




「くそっ……、俺を捨てたくせにあんなに幸せそうに笑いやがって……。絶対、ぶち壊してやる……」


 アパートの一室で男がそう苛立ちながら呟く。ふとしたきっかけで別れたある女性を見かけた時、その女性が楽しそうに笑っていたのを思い出して苛立ちを覚える。手にはまだ昼間だというのにビール缶を持っている。そのビールを喉で鳴らすように飲みながら、その言葉を吐き続ける。


「もっちゃん……。昼間から飲んでたら体に悪いよ?」


「うるせぇよ!夏江なつえ!!俺に口答えしてんじゃねぇぞ!!」


 もっちゃんと呼ばれた男、飯田いいだ 基頼もとよりがビール缶を夏江に投げつける。


「出掛けてくる!!」


 基頼がそう言葉を言い放ち、アパートを出る。


「くそっ!くそっ!」


 小さく暴言を吐きながら街を彷徨いながら歩く。その表情からは憎しみが溢れ出ている。


「あいつ……許さねぇ……。俺を捨てたことを後悔させてやる……」


 基頼は瞳に狂気を孕みながらそう呟き、街を歩いて行った。




「……はぁ~、楽しかったね♪」


 奏と絵美がカフェを出てそう言葉を綴る。


 その時だった。


「……あれ?!奏ちゃんに絵美さんじゃん!」


 突然奏と絵美の後ろから声が聞こえて振り返ると、そこには背の高いのっぽとでも言うような男が立っていた。


「「たかし君!!」」


 笑顔で奏と絵美に声を掛けたのは奏の友達である小田原おだわら たかしだった。孝は広斗と奏を引き合わせた人であり、奏とは病院で知り合った。


「久しぶりだね!孝君!」

「どーも、孝君」


 孝に奏たちが笑顔でそう言葉を綴る。


「孝君は買い出し?」


 孝の持っている買い物袋に入っている食材を見て奏がそう言葉を綴る。


「そうだよ~。一人暮らしだからさ~……買い出しとかめっちゃ大変でさ……」


 孝が「あはは」と笑いながらそう言葉を綴るがその目は笑っていない。


「まぁ、一人暮らしって大変だよねぇ~。まぁ、何かあったらいつでも電話してきてよ。アドバイスならいくらでもあげるからさ!」


 絵美がそう笑いながら言葉を綴る。


「ありがとう、絵美さん。もう毎日がてんやわんやでさ……。でも、絵美さんのアドバイスはありがたいよ!また何かあったらよろしくお願いします」


 孝がそう言って、絵美に頭を下げる。


「了解♪まっ!いつでも相談には乗ってあげるよ♪」


「あざーっす!助かります!」


 絵美の言葉に孝の表情が柔らかになる。


「二人でお茶してたの?僕も呼んでくれれば良かったのに……」


 孝がちょっと恨めしそうに言葉を綴る。


「あははっ!良かったら今から夕飯がてら飲みに行くけど、孝君も来る?」


「え?!マジで?!行く行く♪」


 絵美のお誘いに孝がはしゃいだように声を出す。


 こうして、奏と絵美と孝の三人でよく行く店に向かうことになった。




「……気分転換に飲みに行くか……」


 基頼が財布の中身を確認して、「これだけあれば一、二杯は飲めるだろう」と思い、居酒屋に向って歩きだす。


「なるべく安いところは……」


 そう呟きながら、スマートフォンで居酒屋を検索して調べる。そして、一つの安い居酒屋に目星をつけて、スマートフォンのナビを頼りにその店に歩きだした。



「……あれか」


 ナビを頼りに目的の居酒屋を見つけてその店の近くまで歩き始めた時だった。



「あれは……?!」


 目的の居酒屋に入っていく人影を見て声を上げた。



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