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ファクト ~真実~  作者: 華ノ月
第二章 沼に足を取られた鳥は愛を知る

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16.


 ――――バチっ!!!


 奏が向かってきた男に咄嗟にスタンガンを向けて男の身体に当てる。


 ――――ドサッ!!


 電気ショックで男が倒れる。


「な……な……」


 男は何が起こったか分からなくて呻き声を上げる。



 ――――ファン!ファン!ファン!



 そこへ、通報を受けたパトカーと救急車が到着する。



 男たちは全員連れて行かれて、政明は病院に運ばれていった。




「し……神明さん!大変です!!」


 あの乱闘から逃げた一人の男が慌てて部屋に入ってくると、叫ぶように神明に告げた。




「奏、怪我はないか?」


 透が奏に声を掛ける。


「はい、私は大丈夫です」


 奏がそう言葉を綴る。


「まぁ、護身用に持たせたスタンガンが役に立って良かったわ」


 話を聞いた冴子が胸を撫で下ろしながら答える。


「はい、ありがとうございます。冴子さん」

 

 奏が冴子にお礼を言う。


 警察が到着して男たちが連れて行かれると、奏たちも警察署に戻った。そして、絵梨佳と徳二も事情を聞くのに警察に連れて行かれて、今は本山と杉原からそれぞれ事情聴取を受けている。


「……冴子さん、お願いがあるのですが……」


 奏が恐縮しながら冴子にある事をお願いした。




「初めまして、水無月といいます」


 絵梨佳と対面するように奏が座り、そう言葉を発する。


「ども……」


 奏の言葉に絵梨佳は言葉を軽く返し、頭を下げる。


「佐崎さんからいろいろとお話は聞きました。大変な思いをされたそうですね……」


 奏の言葉に絵梨佳が顔を下に向ける。


「あのさ……」


 絵梨佳がそう言って口を開く。


「マサは……大丈夫なの?」


 絵梨佳がどこか悲痛な表情でそう言葉を綴る。


「一命は取り留めました。今は薬で眠っているそうです」


「……良かった」


 奏の言葉に絵梨佳が安堵の顔をする。


「麻薬のことも佐崎さんから聞きました。政明さんから受け取ったそうですね……」


 その言葉に絵梨佳が顔を逸らし、苦しみを浮かべる。


「……なんでマサがそれをあたしに渡したのかは分からないんだ……。私を殺したかったのかな……?」


 そう言葉を漏らしながら絵梨佳が涙目になっていく。


「その理由は政明さんに聞かないと分かりません……。でも、殺すためではないと思います……。もし、殺すつもりなら新形さんが撃った時に庇わないと思います。きっと、何か別の理由だと思いますよ」


 奏が静かな口調で言葉を綴る。


「それと、佐崎さんの事ですが……」


 奏がそこまで言いかけた時だった。



 ――――ガチャ……。



 取調室の扉が開き、徳二が手錠を掛けられた状態で、杉原と部屋に入ってくる。


「な……なんでこいつに手錠がかかってんだよ?!こいつは今回の事には関係ないだろ!」


 徳二が手錠を掛けられていることに絵梨佳が怒りを露わにする。


「いや……、彼は別の件で逮捕状が出ている」


「別の件?」


 杉原の言葉に絵梨佳がその言葉を繰り返す。


「麻薬所持の件で逮捕した」


「?!」


 杉原の言葉に絵梨佳が驚きの顔をする。


「佐崎さんはヤクザのトップの人に命令されて渡された麻薬で人を一人狂わせて連れてくるように言われたそうです」


「なっ……?!」


 奏の言葉に絵梨佳が声を上げる。


「……ここに佐崎さんを連れてきてもらったのは、佐崎さんから絵梨佳さんに真実を伝えたいという事をお聞きしたので連れてきてもらったんです」


「真実?」


 絵梨佳が奏の言葉に訝しげな顔をする。


「佐崎さん、どうぞ……」


 奏がそう言って徳二に話を振る。徳二は頷くと、立ったまま絵梨佳に向き合い、言葉を発した。


「絵梨佳……。すまなかった……。俺が逃げ出したせいであんなことになってしまって……」


「……どういうこと?」


 徳二の話がよく分からなくて、絵梨佳が聞き返す。


「……俺は静香が身籠ったと分かった時に逃げ出した男だ……」



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