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二十六から三十
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感嘆符 啀む世問ひに 稚気記し 機知に人読む 回文短歌
かんたんふ いがむよとひに ちきしる(し きちにひとよむ かいぶんたんか)
27
異端知る この遠坂に 咲く春は 草に風音 遺る神代
いたんしる このとおざかに さくはる(は くさにかざおと のこるじんだい)
28
岸中の 石二度放れ 海の香の 身憂うほどに 思惟の悲しき
きしなかの いしにどほうれ うみのか(の みうれうほどに しいのかなしき)
29
人と慣れ 賭け勝ちたのも 谷陰か 似たものたちが 穢れなど問ひ
ひととなれ かけかちたのも たにかげ(か にたものたちが けがれなどとひ)
30
この誤解 恋の落差よ 渇き浮き 我が世桜の 憩いがこの児
このごかい こいのらくさよ かわきう(き わがよざくらの いこいがこのこ)