トマトは本当は赤くない
「真っ赤なトマトね、とてもおいしそう!」
ぷんすか。
ぷんすか。
トマトはいつも怒ってる。
こだわりの強いトマトたちは、自分のタイミングで収穫されたい。
一番いい時期に、収穫されたい。
素晴らしい自分を食べてほしい。
けれど、全然違うタイミングで収穫されるから。
ぷんぷん。
ぷんぷん。
真っ赤になってしまう。
顔を赤くして、トマトたちはいつも怒っていた。
「人間たちは、トマトの素晴らしさをまるでわかっちゃいない!」
「もっといい時期においらたちを食べておくれよ」