第180話 まだ終わっていない
そこは、かつての神聖さの面影もない、荒れ果てた廃墟の教会だった。
天井からは冷たい月光が差し込むものの、その光さえもどこか陰りを帯びている。
崩れかけたアーチ状の天井には苔がまとわりつき、割れたステンドグラスからは色とりどりの光がかろうじてこぼれ落ちるが、祭壇を照らすというよりも、闇の中で冷たく光る亡霊のように揺らめいていた。
そんな、静けさが支配するこの場所に、一人の男が現れた。
壁際にそっと身を寄せ、音を立てないように歩くその姿は、まるで周囲の闇に溶け込むかのよう。
彼が教会の奥に近づくにつれ、祭壇の陰から、黒い人影が姿を現す。
その影に男が近づき、耳打ちした。
「報告します。標的は生存。婚約者の男に助けられたようです」
すると黒い影は、盛大な舌打ちを鳴らした。
「ハグル家の当主め、しくじったか……」
影が忌々しげな声漏らす。役立たずが、と吐き捨てる。
しかし、すぐに気を取り直したように言った。
「まあいい。策はいくらでもある」
その言葉は、アメリアとローガンに、新たな危機が迫っていることを暗示していた──。
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また今話を以て醜穢令嬢5章完結となります。
5章はほっこりバカンスとシリアスピンチの交互浴な回となりましたが、いかがでしたでしょうか?
アメリアとローガンのドタバタを少しでも楽しんでいただけたら幸いでございます。
醜穢令嬢は6章も引き続き続いていきますが、他書籍の刊行作業や新作などの関係で、またまた更新再開は今しばらくお時間いただければと思います。
章毎に時間が空いてしまい恐縮ですが、必ず更新再開致しますので、気長にお待ちいただけますと幸いです。
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それではまた!