表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

166/188

第165話 あれ!?

 起床後、アメリアとローガンは、シルフィが運んできた朝食を向かい合って取ることになった。


 アメリアにはいつものバランスの取れた朝食が並んでいたが、ローガンには病み上がりを考慮して、温かく消化に良いものが用意されていた。


 しかしローガンはそんな配慮を余所に、目の前の料理に手を伸ばし勢いよく食べ進めている。


「も、物凄い食欲ですね……」


 アメリアが驚いたように声をかけると、ローガンは口のものを飲み込んでから答える。


「昨日はほぼ何も食べてないに等しいからな」

「確かに、すぐ寝てしまいましたもんね」

 一心不乱に食べ続けてるローガンに、アメリアはくすりと笑う。


 食欲を満たすだけではなく、生命の力を取り戻すために食事を摂っているように見えた。


「もうお身体は本当に大丈夫なのですか?」「お陰でほぼ全快した。ありがとう」 

 ローガンが元気さをアピールするように、腕や肩を大きく回して見せる。

 その動作を見て、アメリアは心底ホッとしたように微笑んだ。

 そのやり取りを眺めていたシルフィは、紅茶を注ぎながら話しかけた。


「帰る前に回復して良かったですね」

「まったくだ。もし、帰宅が遅れたり仕事に穴が開いたら、スケジュールが崩れて厄介だったからな」 

 ローガンは軽く息をつきながら、安堵の色を見せた。


 もともとローガンの仕事の都合で、今回の外出は船での移動を除くと、二泊三日という短い予定だった。


 今日は帰宅する日であり、船で帰途に就かなくてはならない。


 もし不調が長引いていたら、体調の優れない中で船旅をしなければならなかっただろうと考えると回復して良かったと思う。


「あっという間でしたね」 

 旅の終わりを惜しむように柔らかな声で呟くアメリア。


「楽しい時間はすぐ過ぎるというからな……帰ったら待っているのは仕事だ……」

「ふぁいとですよ、ローガン様!」


 少し気が重いとばかりに息を吐き出すローガンに、アメリアは胸の前でぎゅっと拳を握って激励するのだった。


 そうして、穏やかな食事を続けている時。

 ふとローガンが、アメリアをじっと見つめて声を上げた。


「そういえば今気がづいたのだが……」

「いかがなさいました?」


 ローガンがスッと、アメリアの胸元に指差して言う。


「ペンダントは、今日はつけてないのか?」

「え?」 

 その言葉の意図に気づき、自分の胸元を見る。


「あれ!?!?」


 いつもつけていたはずの、アクセサリー。


 ローガンから贈られたクラウン・ブラッドのペンダントが、首元から忽然と消えていることに気づき、アメリアは上擦った声を上げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓タイトルをクリックすると新作漫画のページに飛べます。

【漫画原作】花紡ぎの聖女は初恋の皇太子に溺愛される【1話無料】



― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ