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恋や事件やオチャコの騒がしい物語  作者: 水色十色
十四歳のつらい冬
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家族でファミレスへ

 二学期の終業式を終え、あたしはトシヨンと付属図書館へ行った。

 冬休み期間は普段より四冊多く借りていいことになっているから、厳正なチョイスで七冊を決めた。トシヨンは三冊だけ借りてたよ。

 バスを先に降りてゆくトシヨンと別れ、あたしは一人になった。

 正午を三十分近く過ぎた頃、ちょっと重くなってるカバンを背負って、浅井家に帰宅した。こんな状況のあたしだから、もうお腹ペコペコなのさ。

 二階のお部屋で着替え、また下に戻ってダイニングルームに入る。


「ねえねえお母さん、お昼なあに?」

「外へ出て食べるわよ。お父さんも、もうすぐしたら帰ってくるから」

「えっ、そうなの!?」


 休日でもないのに、こんなことって初めて。

 それで、あたしはピンとくる。オチャコ自慢の推理脳にね。


「ねえお母さん、なにかあったの? ねえ、あるんでしょ?」

「そうよ。あなたに話しておくことがあるから、今日はお父さん、お仕事を午前中だけにしているの。そろそろ帰ってくるわ」

「事件?」

「オチャコにとっては、ある意味そうかもね」

「ええっ、どんな事件なの? ねえ教えてよ!」


 このタイミングで玄関の開く音がして、お父さんの叫び声もする。


「おーい、準備できてるかーっ!」

「できてるわよー。すぐに行くからっ! オチャコ行きましょ。お話の続きは、お昼を食べながらよ。さあ急いで」

「分かった」


 お腹ペコペコだから、早くなにか食べたい気持ちに変わりはないからね。


 近くのファミレスに、お母さんが運転する車でやってきた。

 時刻は午後一時を過ぎていて、店内のお客さんはそれほど多くない。

 ほとんどの学校は、もう冬休みに入っていると思うけど、大人はまだ、もう少しお仕事が続くのだろうからね。


《ここにくるのも久しぶり。なに食べよっかなあ~》


 三人で、六人様用テーブルに陣取ることができた。

 向かい側にお父さんがいて、あたしとお母さんが並んでいる。


「あたし、ハンバーグ・ランチセットにするわ。お父さんは?」

「父さんは、ロースとんかつ膳にするって、もう決めてたんだ」

「ふうん。お母さんは?」

「私は、サイコロ・ステーキ定食よ。昨日からそうしようと決めてたの」


 笑顔のお母さんが呼び鈴を鳴らした。


「ねえ、もしかして昨日から、この予定決めてたの?」

「そうよ。でもお父さんの都合がハッキリしてなかったから、夕食になるかもしれなかったのよ」

「ふうん」


 学生アルバイトっぽい感じの若い店員さんが、テーブルまで注文を取りにきて、三人それぞれの選んだメニューを伝えた。

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