プレゼントなデート!
実は昨日の放課後になってすぐ、あたしは明智くんのところまで飛んでいって、「ねえ光男さん、明日は二人で、どこか遊びに行こうか?」と誘い、彼からクールな笑顔で、「いいよ」と返事して貰うことができたの。
つ・ま・り、デートの約束をしたってことね。
だから今日、十二月二十三日、駅前で待ち合わせ。
「あ、ごめん。あたし遅れちゃったね」
「そうでもないよ。僕が早く着き過ぎたんだ」
「まあ光男さんってば、優しいのね。ふふ」
朝十時、駅の入り口近く、周囲の人たちに見せつけちゃったね。へへ。
これから近くの映画館に入って、サスペンス映画を鑑賞するの。
「チケット代、払って貰うなんて、いいのかな?」
「いいってば。だって今日はお誕生日でしょ。十四歳おめでとう、光男さん」
「うん、ありがとう。僕の人生で一番に嬉しいバースデイ・プレゼントだよ」
あたしの選んだサスペンス映画は、最初から最後までハラハラしっぱなしの内容だったから、ついつい、明智くんの右手を握り、ずっとその状態でいた。
だから、あたしの胸はダブルでドキドキだったの。
映画の後は、二人でランチを楽しんだ。お支払いをあたしが持とうとしたら、明智くんが「ここは僕に任せてよ」というから、彼の言うように任せたわ。
だって、彼氏の顔を立ててあげるのも、パートナーの立派な務めだもの。
楽しくてウキウキで、アッという間に過ぎ去ったデートの帰り道。
あたしは、昨日のお楽しみランチ・タイムに明智くんが皆に言ったパーティーについて、尋ねてみることにする。
「ねえ光男さん、明日やることにしているパーティー、どんな風になるの?」
「明日の夕方はクリスマス・イブニングだからね」
「そうそう。だからあたし、洋風の立食スタイルみたいなのかな、とか想像してるんだけど。ホントのところ、どうなの?」
「実は、お寺の境内でやろうと思うパーティーの企画があってね」
「えっ、どんなの? ねえ聞かせて? どんなこと考えてるの?」
「あわてなくても、パーティーは逃げないよ。あはは」
「そうだわ。あたしってば、落ちつきがないね。うふふ」
「バーベキュー・パーティーを、やってみようかと思うんだよ」
えっ、お寺の境内で、お肉を焼いて食べるってこと??
そんな殺生な! とか、ちょっとだけ気になったのだけど、でも明智くんの考えた企画をぶち壊したくないから、「言わないでおくのが華」ということにした。
だから、「明智家、納本寺境内で開催、バーベキュー・パーティー!」に、素直な気持ちで賛同する、あたしだった。